「幸福の科学大学」認可問題


大学の概要

建学の精神

「幸福の探究」と「新文明の創造」

日本と世界が直面する様々な問題を解決するために、「幸福とは何か」という根源的なテーマを探究し、新たな時代、新たな文明の創造にチャレンジする、高い志を持った人材を世に送り出します。

教育の特色

「幅広い教養」を身につけ、国際社会への貢献をめざす

幸福の科学の精神に基づき、高い倫理観と豊かな人間性をもった社会人を育成すべく、総合的教養教育を大学の特色とします。知力・創造力・精神性の豊かさ、そして専門分野の基礎・基本を重視しながらも、高度な専門知識を身につけ、わが国そして国際社会に広く貢献できる人材の育成をめざします。

設置学部

  • 人間幸福学部
    幸福の科学の思想をベースに「人間を幸福にする考え方とは何か」を学問として学びます。異文化理解を深め、世界に通用する教養大を目指します。
    • どんな考え方が、人間を幸福にするのか?
      「どういう考え方が人間や社会を幸福にするのか」を、幸福の科学の思想を中心に学びます。哲学、倫理学、宗教学、心理学、心身健康科学などを幅広く学んでいきます。
    • めざすは、「徳あるリーダー」
      人間幸福学部は、幅広い教養と人格の高みによって、多くの人を導ける「徳あるリーダー」をつくりだし、人々の「幸福」に貢献することを目指しています。
    • 「幸福」という観点で、世界まるごと総点検!
      世界に通用する教養人をめざし、欧米・アジア・日本の文化などを比較研究します。歴史学、民俗学、文学・言語学、芸術史学、比較文化学などの視点で、異文化理解を深めていきます。
    • グローバル人材の輩出へ
      グローバル人材の輩出に向けて、実践的な英語をはじめとする語学の勉強を進めるとともに、海外からの留学生も受入れ、世界中にこの新しい学問を伝える人材を輩出していきたいと考えています。
  • 経営成功学部
    経営に成功するための「思想」「理想」「スキル」を習得し、いかなる業種の営業でも「百戦百勝」を目指します。
    • 「経営成功学」と「経営学」の違いは?
      経営学は、ともすれば分析中心になりがち。経営成功学は、「成功」という結果を出すところまで責任を持つ学問です。あらゆる業種で「百戦百勝」する方法の習得を目指します!
    • 成功する「思想」も学べる
      従来の経営学の科目をしっかり学びつつ、経営者に必要な「成功する思想や哲学」も習得します。経営を通して人格を高め、奉仕の精神を養います。
    • 本物のビジネスにふれる機会も
      第一線で活躍する経営者の講義や経営者との交流、企業と連携して新商品の開発などにトライする「産学協同」など、実戦的な経営を学べます。
    • マネジメントを国や社会に応用!
      「公共経営」分野では、公共政策、経済学、経済政策、非営利組織論などの科目を通して、国家や地方自治体をマネジメントして社会を豊かにする方法を探究します。異文化理解を深め、世界に通用する教養大を目指します。
  • 未来産業学部
    未来産業を創造するため、工学分野の柱である機械・電気電子・情報系の知識・技術を身につけた上、技術を産業へとつなぐノウハウも学びます。
    • 未来を拓く産業技術を学ぶ
      未来産業に必要な科学技術である、機械分野と電気電子分野の融合技術を学ぶことで、ロボット産業や自動車産業、家電など、様々な分野で活躍できる技術者を目指します。
    • ものづくりを通して体得する
      1年〜3年まで通して、電気自動車やロボットなど、実際にものづくりに取り組む科目が数多くあります。単に知識を頭で理解するだけでなく、実習を通し技術を体得してゆきます。
    • 技術をビジネスへつなぐ
      新しい科学技術をビジネスにつなげるためには、超えるべき壁があります。その壁を超えるために必要な「技術経営」についても学びます。
    • 世界で戦える技術者になる
      製造業をはじめ、技術の分野でも激しいグローバル競争が進んでいる今、技術者も世界で戦える力を持つことが必要です。そのために、幅広い「教養」と「英語科目」を通して「創造性」や「発信力」を高めます。

申請


不認可の理由



学校教育法(昭和22年法律第26号)第83条第1項、大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)第19条第1項及び第2項に基づき「不可」とする。

学校教育法(昭和22年3月31日法律第26号)

  • 第八十三条 大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。
    • 2(略)

大学設置基準(昭和31年10月22日文部省令第28号)

  • (教育課程の編成方針)
    • 第十九条 大学は、当該大学、学部及び学科又は課程等の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するものとする。
      • 2 教育課程の編成に当たつては、大学は、学部等の専攻に係る専門の学芸を教授するとともに、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮しなければならない。


「幸福の科学の精神に基づき、知力と創造力と精神性の豊かな人材を育成」することを目的とする大学を設置する計画であるが、以下に示すとおり、設置の趣旨・必要性、設置の目的を実現するための教育課程について、大学教育を提供できるものとは認められない。

設置の趣旨・必要性、教育課程

本大学の教育課程では3学部共通で、科目区分「建学の精神」として「創立者の精神を学ぶⅠ」「創立者の精神を学ぶⅡ」(いずれも必修科目)を、また、人間幸福学部には科目区分「自由科目」として「幸福の科学経典学A」、「幸福の科学経典学B」、「幸福の科学経典学C」、「幸福の科学実践教学」、「説法・修法実習」を設定しているが、これらの科目の内容と創立者である大川隆法氏の著作が深く関連していることが示された。例えば、必修科目である「創立者の精神を学ぶⅠ」は、幸福の科学大学の創立者として、「建学の精神」を主導し、精神的な主柱、精神的指導者に位置づけられている大川隆法氏の著作である「幸福の科学大学創立者の精神を学ぶⅠ(概論)-宗教的精神に基づく学問とは何か-」をベースにしており、大川隆法氏の著作が、本学の教育において重要な位置づけを占め、その根底となっていることが明らかとなった。
これらの著作物では、大川隆法氏の基本的な思想を証明するためにいわゆる「霊言(霊言集)」を科学的根拠として取り扱う旨の記述がなされている。例えば、「幸福の科学大学創立者の精神を学ぶⅠ(概論)-宗教的精神に基づく学問とは何か-」には、「(前略)死体になった場合には、食物を与えても、水を与えても動きません。点滴を打っても動きません。これを、『脳の機能が停止した』とだけ考えるのが、現代医学の流れではあるわけですが、そうではないことを証明するために、私は、ここ五年ほどで、二百七十冊以上もの『霊言集』を刊行しています。」、「『人間として脳がなかったら、何も考えられない』と、医学的には思われているのです。しかし、実際は、『焼かれて何もなくなっても、死んだあとの人には個性というものが残っていて、考える力がある』ということを証明するのが、一連の『霊言集』の機能であるわけです。」、「これは、ある意味での『科学的証明』をしていると思っています。」と書かれている。また、「創立者の精神を学ぶⅡ」、「幸福の科学経典学A」、「幸福の科学経典学B」、「幸福の科学経典学C」、「幸福の科学実践教学」、「説法・修法実習」についても、関連著作の中に同様の記述が見られる。
「霊言(霊言集)」については、新聞に全面広告として掲載されたという事実により「妄想や虚言、詐欺などと思われないだけの社会的信用がある」としているが、新聞広告にそのような機能はなく、また、一方的に多くの「霊言(霊言集)」を刊行することだけでは、「霊言(霊言集)」の科学的合理性を証明する根拠とは認められない。
「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用能力を展開させること」(学校教育法第83条第1項)を目的とする必要があり、その上で、憲法第23条が保障する「学問の自由」に基づき「教授の自由」が保障されている。この場合の「学問」とは、一定の理論に基づいて体系化された知識と方法であり、一般化・普遍化されたものであることが求められる。上記の「霊言(霊言集)」については、科学的根拠を持って一般化・普遍化されているとはいえず、学問の要件を満たしているとは認められない。
また、大学は、「体系的に教育課程を編成」(大学設置基準第19条第1項)し、「専門の学芸を教授」(同条第2項)するもので、「霊言(霊言集)」は大川隆法氏のみが行えるとされており、実証可能性や反証可能性を有しているか否かという点でも疑義があるため、このような{「霊言(霊言集)」を根拠とした教育内容を体系的に学生に教授することが可能とは認められない。
以上のことから、このような科学的合理性が立証できていない「霊言(霊言集)」を本大学における教育の根底に据えるということは、学校教育法第83条第1項の「学術の中心」としての大学の目的を達成できるものとは認められない。また、大学設置基準第19条第1項の「体系的に教育課程を編成する」及び同条第2項の「専門の学芸を教授し、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮」の各要件を満たしているものとは認められない。
なお、念のため付言すると、本指摘は、宗教活動における「霊言(霊言集)」の意味や妥当性に言及しているものではなく、あくまで学問的な見地からの指摘である。

幸福の科学大学(仮称)の審査過程における申請者の不適切な行為について(報告)

大学設置・学校法人審議会大学設置分科会は、「幸福の科学大学(仮称)」の設置認可申請について審査を行ってきた。
大学設置・学校法人審議会における審査は、大学の設置認可の適否を判断するための作業であり、公正さが厳しく求められている。そのため、審査は、大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成18年文部科学省令第12号)に基づき申請者から提出された認可申請書をもとに、「書面、面接又は実地により行う」(大学設置分科会審査運営内規(平成18年大学設置・学校法人審議会大学設置分科会決定)第3条第4項)とされ、審査すべき情報や審査方法が申請者により異なるということが排除されている。また、審査過程においては、審議会からの一方向の審査ではなく、申請者に意見・質問を伝え、適切な対応を求めるというプロセス(補正申請)も取り入れられている。
しかしながら、「幸福の科学大学(仮称)」については、審査途中において、創立者の大川隆法氏を著者とする大学新設に関連する書籍が数多く出版され、申請者も属する幸福の科学グループから本審議会の委員に送付されたり、今回の大学設置認可に関係すると思われる人物の守護霊本が複数出版されたりするなど、通常の審査プロセスを無視して、認可の強要を意図すると思われるような不適切な行為が行われたことは、極めて遺憾である。
本審議会としては、学校法人幸福の科学学園による上記の行為は、大学設置認可制度の根幹を揺るがすおそれのある問題であると考えており、大学設置認可に係る公正な審査を期すためにも、文部科学大臣に上記事項を報告するものである。
以上


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最終更新:2015年12月14日 23:28