関谷氏、大川に神託結婚を求められる(1987年12月)


関谷晧元著「虚業教団」より、関谷氏の回顧

  • 「『それでこの際、関谷さんにも結婚していただくことになりました』まるで事務処理を指示するような調子で、大川隆法が言った。思わず自分の耳を疑った。大川が結婚するのはいい。相手が誰でも、先生と呼ぶ人の結婿を、私は心から祝福するだろう。しかし、なぜ私が……。妻と五年間も別居しているとはいえ、まだ夫婦である。その私に結婚せよという大川の言葉は冗談としか思えなかった」
  • 「不思議なことに、大川とあれほど身近に接していながら、大川との個人的な会話はあまり私の記憶に残っていない。人の心に感動を呼び起こすもの、鮮烈な印象を残すものが少なかったように思う。しかし、このときの話はさすがに今でもハッキリと覚えている。記憶に従って、できるだけ忠実に再現してみよう。『先生、何をおっしゃいます。第一、私には相手がいませんし、そんな段階ではありません』『いや、それがちゃんと決まったんです。天上界の(高橋)信次先生からの通信です。これはもう、明日入籍していただきます。お正月には新婚旅行に行っていただくことになっています』『ハハハ……。なんだ、冗談ですか。先生も悪趣味ですね。でも、先生が結婚されるのははんとうでしょうね』『とんでもない。これは神託結婚です。天上界の計画通りにしていただきます』言うべき言葉が見つからなかった」
  • 「『関谷さんのお相手は、もう決まっているんです』『どんなふうに決定しているんですか。どこにそんな人がいるんですか』『はい、ここにいますよ。はら!』大川のこの声を待っていたように、中原幸枝がバッと畳に手をついた。『関谷さん、よろしくお願いします』『エッ! アレ!……そ、そりやあない……』」
  • 「このように書けば、一場の喜劇でしかない。ドタバタ喜劇のおかしさは、人間の尊厳というものを踏みにじるところに生まれる。だからピエロたちの演技はどこか悲しい。『よろしくお願いします』と手をついた中原の心中はどうだったろう。世俗的な幸せを捨て、ひたすら道を求めてきた中原の生き方は、このとき完膚なきまでに踏みにじられたのではなかったか。彼女はどんな気持ちで、私に手をついたのだろう。その気持ちを、私はいまだに聞きえずにいる」


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最終更新:2012年09月19日 10:51