海賊団ASS

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海賊団A SS



海賊A船員「ふーん、で、なんで君は毎ターン体力-1なるの?」


水男「オウフwwwいわゆるビックウェーブな質問ヨーソローですねwww
おっとっとwww拙者『ヨーソロー』などとつい海賊タームがwww
まあ拙者の場合体力減少とは言っても、いわゆる制約としての減少でなく
効果として見ているちょっと変わり者ですのでwww自重ダンゲロスの影響がですねwwww
ドプフォwwwついマニアックな知識が出てしまいましたwwwいや失敬失敬www
まあ自重のメタファーとしての純デメは純粋によく書けてるなと賞賛できますがwww
私みたいに一歩引いた見方をするとですねwwwバニラのアタッカーと
スタメン至上主義のマンチキンさを切り捨てたキャラとしてのですねwww
20/0/6/4/0の攻撃性はですねwwww
フォカヌポウwww拙者これではまるで弱能力者みたいwww
拙者は弱能力者ではござらんのでwwwコポォ」


海賊団A、全選手入場

(スーー・・・) 地上最強の男を見たいかーーーッ (オーーーーーー!!!!)
(バッ)ワシもじゃ ワシもじゃみんな!! 選手入場!!! 全選手入場です!!!!!

嫁殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!!
婆神!! マサ江だァ――――!!!   (ワァッ)

総合再生技はすでに我々が完成している!!
黒王"ルチア・ルサンチンマン"だァ――――!!!

組み付きしだい舐めまくってやる!!
五輪ペロリスト代表 日座右裸 なめこだァッ!!!

素手の殴り合いなら我々の嘔吐がものを言う!!
素手の吐瀉物 ゲロ吐ッキュアー ゲロゲロス・ハクトーシャ!!!

真のジャックを知らしめたい!! 殺人鬼歴三十六年海賊 ジャックだァ!!!

ケンカは3階級制覇だがウンコなら全階級オレのものだ!!
海の鉄便 フンバルト・ベンデルだ!!!

幽霊帝対策は完璧だ!! 全日本船道 幽霊船!!!!

全鬼畜エロゲー展開のベスト・ディフェンスは私の中にある!!
リョナロリゾンビの神様が来たッ ベティ“アンデッド”ベアー・藤原!!!

タイマンなら絶対に敗けん!!
二対一のタイマン見せたる 特攻隊長 白金航一郎だ!!!

バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!!
ラブアンドピースのピュア・ファイター 平和島和睦だ!!!

拳王親衛隊から炎の虎が上陸だ!! モヒカンザコ 船モヒカン!!!

ルールの無いライブがしたいからアイドル(吟遊詩人)になったのだ!!
プロのライブを見せてやる!!ノモディ・アッノ・ツーギ�鶚世!!!

めい土の土産にキャプテン=シルバーフックの財宝とはよく言ったもの!!
宇宙海賊の怨念が今 実戦でバクハツする!! 宇宙流呪術 ワンダー・ピュアフレンズ先生だ―――!!!

全海域ヘヴィ級チャンプこそが地球最強の代名詞だ!!
まさかこの生物がきてくれるとはッッ 島魚ジャスコニアス!!!

闘いたいからここまできたッ 能力一切不明!!!!
パイゲロスのマンチ(マンチキン)ファイター カーリーだ!!!

オレたちは遊戯最強ではない戦闘破壊海域で最強なのだ!!
御存知パッシブカウンター かごめかごめ!!!

ジャックの本場は今や海賊団Aにある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!
ジャック・ザ・ブラックリッパーだ!!!

コストデカアァァァァァいッ対策不要!! コスト50!!! 精神20!!! 鮫氷しゃちだ!!!

能力は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦能力!!
本家海域からフラッグ・キャリアーの登場だ!!!

ショタはあたしのもの 邪魔するやつは思いきり斬り思いきりハイパーエリート貫通するだけ!!
トップページ統一王者 一 二七三

自分を殺しに陸へきたッ!! ツバはき全海賊団チャンプ 水男!!!

性欲に更なる磨きをかけ ”紳士”ジョナさんが帰ってきたァ!!!

今の自分に死角はないッッ!! ショクシュート・レスラー姦崎 夢姦!!!

歩峰一族四千年の絶技が今ベールを脱ぐ!! 魁!ダンゲロスから 歩峰冥だ!!!

セイレーンの前でならワシはいつでも全盛期だ!! 燃える血潮 海野美津代 本名で登場だ!!!

商人の仕事はどーしたッ 木刀の在庫 未だ消えずッ!!
売るも壊すも思いのまま!! バルゲン・セラーだ!!!

特に理由はないッ 天使が強いのは当たりまえ!! 教会にはないしょだ!!!
水を司る天使! シーライトがきてくれた―――!!!

暗黒居酒屋で磨いた実戦ことわざ!! 「いごこち」のデンジャラス・ライオン 柳川憲孝だ!!!

実戦だったらこの人を外せない!! 超A級海月張り付け師 ジェイニー=J=ジャスティーンだ!!!

超一流シロナカーの超一流の補食だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
ダンゲロスの牛鮫!! オオメジロザメ!!!

巳年はこの男が完成させた!! 海賊団Aの切り札!! シースネーク先輩だ!!!

若き人魚が帰ってきたッ どこへ行っていたンだッ 転校生ッッ
俺達は君を待っていたッッッ セイレーンの登場だ――――――――ッ

以上32名によって 海賊団B争奪戦を行いますッ

加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを4名御用意致しました!!!

トラップ ヴィルジニー・ピエージュ!!

伝統派壮絶 鎌瀬芽有!!!!

西洋の魔人!メナ=クロッツバイド=シェナイ=ヴァイゼラ

……ッッ どーやらもう一名は到着が遅れている様ですが 到着次第ッ皆様に御紹介致しますッッッ

(アリガトォォォ)(アリガトーーーッ)(アリガトオオッ)
(アリガトォ~~~~~)(何でS字海賊団がいねぇんだ~~~~)(アリガトオオッ)

”ババァリアン”美津代 応援SS


娯楽らしい娯楽もない凡庸な港町。
夫の帰りを待つ海賊の奥様たちの楽しみといえば、大通りの洒落た喫茶店で紅茶を飲みつつ、噂話をするぐらいのものだ。

「港通りの香辛料屋、この間の大嵐のとき、せこいやり方で大儲けしたらしいじゃないの」
「あそこのババア、最近やけに着飾ってると思ったら・・・」
「そう言えばあそこの旦那さん、最近入った若いメイドに手を出したらしいわよ」
「まぁ、メイドにねぇ!」

大した根拠のない話が延々と繰り返される井戸端会議。
仮に噂している張本人が現れたところで、悲劇と呼べるほどのことは起こらない。
ばつの悪い顔をしてそそくさと立ち去り、ちょっとした遺恨が残るぐらいのものだ。
だが、その日の喫茶店には最悪の惨劇の引き金となるある海賊がいたのだ。

「まぁメイド?マァメイド?マーメイドだってぇぇぇぇぇ!」

そう叫びながら目を血走らせ、テーブルの上に飛び乗る老婆が一人。
赤く染まったちゃんちゃんこ、変色した血のこびりついたゲートボールスティック。
”ババァリアン”海野美津代、その人である。
いや、人と呼ぶには多少語弊があるかもしれない。
鎚を振るい、喫茶店をまたたく間に血の海へと変えたその姿は獣そのものだったのだから。

「なんだい、人魚じゃなくてただの人間じゃないか」

もはや肉の塊となった女たちの屍を眺めながら、美津代はそう言い捨てた。
『まぁ、メイド』を『人魚(マーメイド)』と聞き間違えることなど、本来有り得ることではない。
しかし、若さのために人魚の肉を追い求める焦燥が狂気を呼んだのか、それとも噂話に興じて無為に時間を過ごす若い女への嫉妬が怒りと化したのか。
いずれにせよ、その狂戦士ぶりは60年以上前、東洋の海で暴れまわった頃と同等、あるいはそれ以上であった。

「おい、そこのあんた、人魚のことなんか知らないかい?」

喫茶店のマスターは、目の前の惨状にポットから地面へと珈琲を注ぎ続けていた。
しかし、”ババァリアン”の言葉に、喉の奥から搾り出すようにしてこう言った。

「人魚セイレーンがいる島に、海賊団が攻め込むらしい・・・」

美津代はその言葉を聞き、鮫のように笑った。

海賊団Aに、恐るべきベテラン海賊が加わったのはその日の夜のことである。

島魚ジャスコニアス(×幽霊船?)応援SS


あるアップキープ(朝)のこと

島魚「んー、なんだか今日は身体が重たいな・・・」

???「(聞こえますか・・・ジャスコニアスさん・・・???です・・・今・・・あなたの・・・心に・・・直接・・・呼びかけています・・・)」

島魚「えっ、今さらそのネタなの」

???「やっぱり賞味期限切れでしたか」

島魚「うわ、普通に喋った。というか、あなたは誰?」

???「私はメタ視点 THE ゴッド、略してMTGです。あなたの今置かれている状況を説明しましょう」

島魚「ずいぶんとこじつけた名前だなぁ。まぁ、説明してくれるなら聞きましょう」

MTG「君の海賊団の陣地を見てください。3つの《島》が全てタップ(行動済み)しています」

島魚「ほんとだ・・・そうか、青マナが足りないからアンタップ(行動済みから行動可能な状態へ移行)できなかったのか」

※ぎゃざりんぐな解説
MTGにおける《島魚ジャスコニアス》は、青マナを3つ支払わないとターンが変わっても行動済み(タップ状態)のままなんだ!そして、青マナは一般的に《島》を行動済み(タップ状態)にすることで獲得できるぞ!

島魚ジャスコニアス(×幽霊船?)応援SS続き


島魚「しかし、なぜ島がタップしてしまっているんだろう。まだ、ターンは開始したばかりだというのに」

MTG「その理由を理解するには、隣の海賊団クルーを見る必要があります」

島魚「隣・・・?うわっ、幽霊船くん、いつの間に!」

MTG「その《幽霊船》さんが相手の特殊能力で破壊されそうになったので、3つの《島》をタップして青マナを3つ出し、再生能力を使ってしまったのです」

島魚「いやいや、MTGさん。たしかに《幽霊船》というカードはあるよ。でも、彼女はコスト4でもなければ、所持武器が『クリーチャー ― スピリット』だったりもしないよ!」

MTG「いえいえ、ジャスコニアスさん、マジック・ザ・ギャザリングにはオラクルというものがあるのです。名前さえ合っていればあとはどうとでもなります」

※ぎゃざりんぐな解説
MTGでは、オラクルと呼ばれる英語文献があるんだ!カードテキストがどう印刷されていたとしても、実際のテキストは名前からオラクルの内容を参照するんだ!だから、名前とコスト、イラストだけが印刷されたプロモーションカードなんかもあるんだよ!

島魚「そうだったのか・・・。うーん、精神ダメージを与えるとかは《幽霊船》というよりも《海賊船》に近いような気もするんだけどな。生息条件(島)の仲間が増えるし」

MTG「・・・・・・ジャスコニアスさん、もう生息条件(島)というルール用語はないんですよ」

島魚「えっ」

MTG「『~は防御プレイヤーが島をコントロールしていない限り、攻撃できない。あなたが島をコントロールしていないとき、~を生け贄に捧げる』です」

島魚「えらい長いな・・・あれ、じゃあこの特殊能力の『生息条件(島)』は・・・?」

MTG「それはあなたの魔人としての能力・・・即ち、あなたが最後の『生息条件(島)』持ちなのです」

島魚「そうか・・・ようし、なら最後に残った『生息条件(島)』持ちとして頑張らないとな!今から海賊団Bをぶっ潰しに行くぞ!」

MTG「えーと、話を最初に戻しますが、アンタップ(行動済みから行動可能な状態へ移行)してないので、次のターンまで戦闘に参加できないです」

島魚「あっ」

次のターン(明日)、島魚ジャスコニアスの運命がどうなるか、それは誰にもわからない・・・。

『ある女海賊の一日』



 耳に障る、金属同士が激しくぶつかる鋭い響き。
 それは打ち鳴らされる剣戟の音。
 潮の匂いに混ざるのは、生臭い血煙。
 野蛮と暴虐と略奪と惨事と。
 海の上で行われるその光景はしかし、この時代では特に珍しいものではない。
 中型帆船の帆が、悲鳴を上げるように波風にはためいていた。

 「よし、大体片付いたな? 野郎ども、積荷を奪うぞ!」
 剣戟の音が止んだ甲板の上で、ラム酒に焼けた喉から雷のようなガラガラ声が轟く。髭面の大男たちは哀れな犠牲者の血を吸ったカトラスを鞘に収めると、野卑な勝鬨を一斉に上げた。
 酒と食料と水、弾薬や船舶資材、そして交易品。
 価値のあるものは全て、彼らの戦利品だった。
 彼らは海賊であり──────────それが彼らの生き方だ。
 勇敢だが無謀だった商船員たちの屍が転がる船内をどやどやと足音荒く海賊たちが荒らし回り、逞しい腕で積荷を自分たちの海賊船へと運び込んでゆく。
 当然無法な行為だが、海の上の彼らを縛るものは何もない。海賊を縛るものは、彼ら自身の定める身内の掟だけだ。
 海賊団と一口に言っても、中には襲った相手を全て皆殺しにする血の気の多い者たちも居るし、金品の強奪さえ果たせば歯向かわない者には寛容な者たちも居る。
 そしてこの海賊たちはどちらかと言えば後者に分類された。勿論、必要以上の殺生を行わないとはいえ、彼らが極悪非道の無法者である事に変わりはない。
 食料と水を僅かばかり残して生存者を解放するのも慈悲の心からではなく、自分たちが無駄な戦闘を避ける海賊だと知らしめれば、以後はスムーズに降伏勧告も受け入れられやすくなり、少ないリスクで略奪効率を上げる目的を果たせるという冷徹な計算に基づいている。
 そして場合によっては、生存者たち全てを解放しない選択もする。
 奴隷。
 この時代において、人もまた商品になり得る事実。襲撃者に捕虜とされた水夫たちは人身売買され、過酷な奴隷労働に身を落とす事もある。
 そしてまた、或いは。


 ばたん、と大きな音を立てて船室の木扉が開かれる。続いてどさり、と柔らかく弾む音。
 貴族の令嬢が眠る寝所とは天と地程の差があるそのベッドは、純白のシーツと言うには真昼間の直射日光を少なくとも一分間は直視した後で無ければ不可能だったし、ふかふかのマットと言い張るには最低でも路上で数ヶ月は寝泊まりした後で無ければ難しかった。
 それでも唯一合格点を付けられる箇所があるとすれば、大人二人が並んでも寝られる程度には余裕のある大きさだけ。
 そんな寝台に投げ出された荷物──────────それは一人の少年だった。ふわふわとした金髪は柔らかすぎて少しくせっ毛で、出港前に散髪したのか中途半端な長さ。まだあどけない顔立ちは大人の船乗りたちと違い、乳臭さを感じさせる。落ち着かなさそうに瞳を彷徨わせる様子は、まるで知らない街に迷い込んで怯える子犬のようだった。
 年の頃はやっと二桁に手が届いたばかり、といったところだろう。海賊の襲撃を受けた商船に見習い船員として乗り込んでいた彼は、他の積荷と共に海賊たちに攫われてきたのだ。
 まだこれが初めての航海だった少年には海の上での暮らしは辛く苦しい事も多かったが、それにも漸く慣れ始めたところでの突然の事態。
 昨日まで自分をこき使い、怒鳴り散らしていた荒っぽい船乗りが、目の前で斬り捨てられる光景。戦う事など思いもよらなかったが、下手に抵抗などしていたら自分もあっさりと彼らの後を追う事になっていただろう。
 だが、その方が良かったのかもしれない。海賊に囚えられた者たちの末路は彼のような幼い少年でも知っている。
 奴隷水夫として狭くて臭いガレー船に閉じ込められ、死ぬまで漕ぎ手として働かされるか。
 暗く危険な鉱山に奴隷鉱夫として売り飛ばされ、落盤と有毒ガスによる死者数を積み上げる結果となるか。
 そのどちらかの運命しか待っていない。
 ──────────あぁ、こんな事ならもっと真面目に教会へ礼拝に行っておけば良かった。つい面倒だからと、昨日の就寝前のお祈りをさぼるんじゃなかった。
 後悔の念ばかりが少年の胸に宿る。
 哀れな自らの末路に恐れを抱きながら、少年は自分を運んできた海賊の姿を見上げた。
 自分が大人になったとしても見下ろす事など出来そうにない上背。
 子どもとはいえ、藁束のように軽々と片手で担いで此処まで来た屈強な腕力。
 逞しく引き締まった身体は強い日差しを浴びて小麦色に焼け、素肌にも関わらず靭やかな革鎧を思わせた。
 そしてその顔は残忍で獰猛な鯱のよう──────────。
 「…………え?」
 そこで少年は一瞬、我を忘れたように呆けた。彼の瞳に映ったのは髭面の赤ら顔ではなく、整った顔立ちの美女であった。
 強襲に巻き込まれた恐慌は今の今まで少年の正常な判断力を奪い、自分を運んで来たのが女性であった事さえ分からなかったのだ。
 「女の…………ひと?」
 思わず洩らした呟きに、女海賊は秀麗な容貌に一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに破顔する。
 「野郎にゃ、こんなのは付いてないと思うぜ?」
 そう言いながら、両手でも抱え切れない豊満な双乳をずっしりと掬い上げた。
 ずぶり、と指が沈み込む音が聞こえそうな程の柔らかさでありながら、手を離せば即座に元の形を取り戻す張りの良さと弾力。只の脂肪の塊ではなく、鍛え上げた肉体がその根底にあるという何よりの証拠だった。
 「そ、そうですよねっ…………」
 女性の胸を見つめるのは非常な失礼に当たる、と考えたのか少年は赤面しながら慌てて目を逸らす。さり気なさを装ったつもりだったが傍目にもそれは丸わかりで、快活な女海賊はそんな少年の純情に笑みを浮かべる。
 「あ、あの…………僕、何処に売られちゃうんですか? それともやっぱり、こ、殺され……」
 相手が見目麗しい女性だった驚きから立ち直ると、途端に忘れていた恐怖が蘇る。どんな姿をしていようと相手は残虐な海賊であり、無意識のうちに少年はカチカチと歯を鳴らしていた。
 「あはは、殺したりなんかしないし、売り飛ばしたりもしないさ…………そんな、勿体無い」
 「もったいない…………?」
 言葉の意味するところが理解できず、鸚鵡返しに口にする少年。そんな彼を女海賊は女豹のような眼差しで見つめて。
 「お前、名前は?」
 「せ、セシリオです……」
 「そっか、あたしはツナミ。…………なに、丁度一人寝が寂しい頃合いだったからな」
 言うが早いか、さっさと着衣を脱ぎ捨てるツナミ。窮屈そうに押し込められていた両の乳房が解放され、凶暴に揺れ弾んだ。
 「!?」
 母親以外に女性と接した事もないセシリオはあまりの事態に硬直し、易々とツナミによってベッドへと押し倒された。無論、抵抗したとしても力の差は歴然としていたが。
 「ほら、セシリオも脱ぎな」
 あれよあれよといううちに、セシリオの方も一糸纏わぬ姿に剥かれてしまう。全裸の少年の上に跨ったまま、褐色の女海賊はぺろり、と唇を舌で舐め上げて──────────。
 「初めてだろ? いいから力抜いて大人しくしてな」
 何をされるのか、と心の準備を整える前に。
 嵐のように情熱的な口付けが、少年の唇を奪っていた。
 息が苦しい。溺れてしまう。
 目を白黒させながらセシリオは酸素を求めてじたばたともがいた。それをあやすようにツナミはしっかりとその身体を抱き締め、そして舌を割り込ませる。
 逃げ惑う若魚を捕獲するような口内での追いかけっこはすぐに終わりを告げ、ツナミはセシリオの舌を絡め取り、吸い上げる。やがて観念したかのように抵抗は弱まり、もがいていた手足の動きも収まる。
 ちゅぷり、ぐちゅり、と脳内に響く淫らな水音の発生源が自分とは信じられず、セシリオは呆然とした面持ちでくってりと身体を投げ出していた。
 「さて、と……」
 たっぷり数分の間セシリオの舌と唇を堪能したツナミは漸く身を起こしたが、勿論満足などしていない。
 戦闘と略奪で火照った肌の熱を冷ます為に。或いは更に昂らせる為に。
 未だ性を知らぬ純真で幼い牡の肉体と温もりを求め、お互いの裸身を重ね合わせてゆくのだった。


 全ての人間の元には、朝が訪れる。
 それは嵐のような昨夜を過ごした少年も同じ事だった。
 窓からの眩しい朝日に目が覚め、ぼんやりとしていた頭が次第にはっきりとしてくると、セシリオは自分が裸のまま眠っていた事に気付いた。
 そしてそんな自分をふんわりと抱き締めている裸の女性の姿にも。
 「んー? もう朝か……」
 セシリオの身じろぎが腕を通して伝わったのか、ツナミも目を覚ます。
 「あ、あの……おはようございます」
 「あぁ、おはよう。良い抱き心地だったぜ。お蔭でぐっすりと眠れたよ」
 にかっ、と健康そうな白い歯を見せ、女海賊は快活に笑った。
 そう、セシリオはツナミに抱き枕にされていたのだった。それも、一晩中。
 「ふわ~ぁ……っと、もうじき港に着くな。お別れの前に朝飯くらい一緒に食おうぜ」
 その言葉にセシリオは戦慄する。やはり港では奴隷商人が待ち受けているのだ。最後の晩餐がせめてもの情けという事なのだろう。
 だが、しかし。
 「その後はまぁ、故郷に向かう船に何とか潜り込めばいい。下働きでも真面目にきちんとやれば、子どもの一人くらい拾ってくれるだろ」
 欠伸を噛み殺しながらのんびりと告げるツナミの言葉に、セシリオはあどけない瞳をぱちくり、と瞬かせた。
 「え……? 奴隷じゃ、ないんですか?」
 思わず出た危惧の言葉に、今度は女海賊が呆れたように溜息をつく。
 「まだそんな事言ってんのか、仕方のない奴だ。あのな、子どもを売るなんてする訳無いだろ」
 そして美しき無法者は優しげに微笑みながら、少年の髪をくしゃり、と撫でて。
 「子どもは愛してやるものさ」

初参加…ども…


初参加…ども…
俺みたいな新参でGKの判定に難癖つけてるマンチ野郎、他に、いますかっていねーか、はは

今日の船内の会話
あの流行りの武器かっこいい とか あの財宝ほしい とか
ま、それが普通ですわな

かたや俺は霧の海で船員の霊を見て、呟くんすわ
it'a true wolrd.狂ってる?それ、誉め言葉ね。

好きな音楽 おばけなんてないさ
尊敬する人間 稲川淳二(悪霊化はNO)

なんつってる間に4時っすよ(笑) あ~あ、クラバウターマンの辛いとこね、これ

ジョナサン 6歳 冬


ジョナさん 6歳 冬
己の肉欲とモテ術に限界を感じ悩みに悩み抜いた結果
彼がたどり着いた結果(さき)は
パンツであった
自分自身を興奮させてくれるパンツへの限りなく大きな欲
自分なりに少しでも発散させようと思い立ったのが

一日一万回 怒濤のパンツ懇願!!

気を整え 祈り 見せてくれるよう頼み ビンタされ 去る
一連の動作を一回こなすのに当初は5~6秒
一万回頼み終えるまでに初日は18時間以上を費やした
頼み終えれば倒れる様に寝る
起きてはまたパンツ要求を繰り返す日々

4年が過ぎた頃 異変に気付く
一万回ビンタされ終えても 日が暮れていない
齢10を越えて 完全に変態する
紳士的パンツ要求 1時間を切る!!
かわりに 自慰の時間が増えた


魔人と化した時ジョナさんの要求は
声を置き去りにした

女性A(気の…せいだよな)
女性B(一瞬…「君がパンツを見せるまで頼むのをやめない」って)
女性C(声が後から…) 「幼馴染み……?」
幼馴染み「か…波紋疾走が………!!」
ジョナさん「さて…パンツかけて平手(や)るかい?」
幼馴染み(パンツは差し上げまする)
「是非私めの前から 消えていただきたい……!!」

紳士が誕生した

ジョナさん「いいよ パンツの下も見せてくれたらな」

6年以上昔のことである

紳士ジョナさんの奇妙な性癖より抜粋


紳士ジョナさんの奇妙な性癖より抜粋

このままッ!!頭を!こいつの!
スカートの中に・・・・・・つっこんで!To LOVEるッ!

ディオォォオオーッ!君がッ!抜くまで!嬲るのをやめないッ!

ジョナさんは自分の部屋へ行き2時間ねむった・・・そして・・・目をさましてからしばらくしてズボンを脱いだことを思い出し・・・・・・抜いた・・・

胸!揉まずにはいられないッ!

おれぁ生まれてからずっと暗黒街で生きいろんな下着を見てきた
だから悪いパンツといいパンツの区別は「におい」で分かる!

「パンツ」とは「恥じらい」を知ることッ!「羞恥心」を我が物とすることじゃあッ!
人間賛歌は「パンツ」の賛歌ッ!!
人間のすばらしさはパンツのすばらしさ!!
いくら強くてもこいつら全裸人は「パンツ」を知らん!
ノミと同類よォーッ!!

よぉーし「風はパンチラをつくった」ぞ!!

おまえは今まで見たパンツの枚数をおぼえているのか?

き・・・切れた。ぼくのパンツの中で何かが切れた・・・決定的な何かが・・・

マサ江の必殺技集(おばあちゃんのりょうりれしぴ)


  • 金柱護暴(きんぴらーごぼう)
黄金色に輝く柱を振り回して暴れる攻守一体の技。相手は死ぬ。

  • 肉食肉類(にくじゃがー)
強靭な顎で噛みつく技。相手は死ぬ。

  • 斬墓死死恨(きりぼしだいこん)
墓を斬って死者の怨念を解き放つ技。相手は死ぬ。

  • 絞狭婆(しめさば)
婆と婆ではさみこむ美津代とのツープラトン技。相手は死ぬ。

無題

消費制約は切れ味がある分扱いやすいし
素人から玄人まで幅広く使われている魔人の基本制約
対して「ポセイドンのめざめ」は見た目なんかは消費制約とほとんど変わらねぇが
あえてメリットがない様に制約でない分
使い勝手とコストをかなり減少させて
斬るより自滅を目的とした
玄人好みのあつかいにくすぎる能力
使いこなせないと無能力より弱い
ただの鉄くずみたいなもんだってのに
何であの水男は?

最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! ダンゲロス本戦は、開催未定です。 メインGK


幽霊帝「チクショオオオオ!くらえ幽霊船 !新必殺駆り霊を、狩る霊!」
幽霊船「さあ来い幽霊帝!オレは実は霊的存在ではないぞオオ!」
(ザン)
幽霊船「グアアアア!こ このザ・亡霊海賊団と呼ばれる四天王の幽霊船が…こんな小僧に…バ…バカなアアアア」
(ドドドドド)
幽霊船「グアアアア」
ワンダー「幽霊船がやられたようだな…」
船モヒカン「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
ベティちゃん「海賊ごときに負けるとは幽霊の面汚しよ…」
ヤマト「くらえええ!」
(ズサ)
3人「グアアアアアアア」
幽霊帝「やった…ついに四天王を倒したぞ…これで鮫氷しゃちのいる海賊団Aの扉が開かれる!!」
しゃち「よく来たな幽霊帝ハイミ・デスランザ…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
幽霊帝「こ…ここが海賊団Aだったのか…!感じる…鮫氷しゃちのコスト力を…」
しゃち「幽霊帝よ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに『コミュ力』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
幽霊帝「な 何だって!?」
しゃち「そして水男はひからびてきたので最寄りの海へ解放しておいた あとは私を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
幽霊帝「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある このゲームにジャック・ザ・リッパーが3人いるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
しゃち「そうか」
幽霊帝「ウオオオいくぞオオオ!」
しゃち「さあ来い幽霊帝!」

幽霊帝の勇気が世界を救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!

「ウンコvsゲロ」



「うー、トイレトイレ!」
 ゲロゲロス・ハクトーシャは駆けていた。
 顔面を蒼白にし、鬼気迫る容貌で駆けていた。
 それもそのはず、彼はうんこが漏れそうだし、このままだと爆発して死んでしまうのだ。

 ***

 全くなんてザマだ――、彼は心中渦巻く後悔の念を隠せない。眠れる虎の尻尾を踏むものではない。彼は軽い気持ちで馬鹿にしてしまったのだ。フンバルト・ベンデルのことを。ベンデルがかつてあの高名なドバットデル海賊団のトップであったこと、歴史的海戦であるボットン戦役を勝ち抜いた勇者であったこと……。今は同じ海賊団で下っ端として働いているベンデルにそんな過去があったことをふとした弾みで耳にしたのだ。彼の過去の高名に対するやっかみがあったのかもしれない。ある種、自分と似た経歴を辿ったベンデルに近親憎悪的な心情を抱いたのかもしれない。ゲロというハンデを乗り越え、その名が畏怖と共に語られるまでになった自分に比べ、ウンコに押しつぶされたかつての英雄を見下したい気持ちになったのは事実である。彼はベンデルの前でこういったのだ。
「やーい、ウンコおもらし! えんがちょー、えんがちょー!」
 それを聞き、青筋を立てたベンデルはツカツカと歩み寄ると、不意に彼に腹パンした。
 ――しまった! 
 ゲロゲロスはすぐに事態を察した。ベンデルの腹パン――、相手の体内のうんこを爆発的に増大させる彼の能力『ビッグベン』を喰らってしまったのだ。このままだと体内にうんこが充満して爆発して死ぬ!
 ゲロゲロスは慌ててトイレへ駆け出した。既に肛門はヒクつき始めている。もちろん、いかにベンデルが怒りに駆られていたと言っても、自分を殺すつもりまではないだろう。ウンコが全身に回る前にウンコをすれば爆発死は免れるし、タイムリミットはゲロゲロスにも分かっている。だから、ベンデルの狙いは、自分に人前でのウンコおもらしをさせてベンデルのことを笑えぬ境遇に貶めることだ。すぐに強烈な便意が自分を襲うだろう。それまでにトイレに駆け込めなければオレもみんなからエンガチョされてしまう。畏怖と共に語られるキャンプテン・ゲロの名は、嘲笑と共に語られるキャプテン・ゲロウンコオモラシに変わってしまうだろう……!
「オゲゲーッ!!」
 駆け出した彼の背後からフンバルト・ベンデルの吐瀉音が聞こえてきた。ゲロゲロス・ハクトーシャの能力『嘔吐逆流(オウトリバース)』! 要はつられゲロである。ベンデルの腹パンを受けた際にゲロゲロスは一瞬でゲロを吐いたが、そのゲロを見てフンバルトも嘔吐感に駆られたのであった。「フハハ、バカめ、これでお前の名前は今日からフンバルト・ベンデルシ・ゲロモデルだ!」。便意に耐えるゲロゲロスは内股でヒョコヒョコ歩きながらも背後のベンデルに向かってそう叫んだ。よし、とりあえずこれ以上の危機は去った。ベンデルがトイレに駆け込んで中からカギでも閉めやがったら大変な事態であったが、その可能性はなくなったわけだ! そこでゲロでも吐き続けてやがれー!!
 だが、ヒョコヒョコと歩むゲロゲロスの前にようやっとトイレが現れ、彼がそこへと駆け込もうとした、まさにその瞬間! 信じがたいアクシデントが彼を襲ったのだ!! 横合いから唐突に現れた影が彼の下半身へと激突し、そのまま彼を床へと押し倒したのであった。「ううッ!」。その衝撃で漏れそうになるウンコをなんとか押しとどめたゲロゲロスは影の正体を見た!
 そこにいたのは――、
 日座右裸なめこ!! 複雑な顔つきのなめこが! 苦悩と期待の混じった顔をしたなめこが! 押し倒したゲロゲロスのズボンをたくしあげて膝裏を露出させ、そこに唾液滴る赤い舌先を懸命に這わせているではないか!!

 ***

 日座右裸なめこは悲しい女である。
 彼女は小学二年生相当の少年の膝裏に欲情するという変態性欲の持ち主である。この時点で人として相当可哀想だが、いや、だが、悲しいのはその点ではない。彼女は相手男性の膝裏を舐めることで小学二年生まで退行させる『ぺろぺろ』なる魔人能力を持つが、悲しいのはその能力なのだ。
 一見、自身の性的劣情を満たすのに最適な能力に思える『ぺろぺろ』だが、これには大きな落とし穴があった。そう。この能力を用いて小学二年生相当の男児の膝裏を舐めるためには、まず最初に成人男性の膝裏を、彼の身体退行が完了するまで舐め尽くさなければならないのである。彼女の劣情は男児にしか反応しないため、成人男子の膝裏を舐める行為は苦行に他ならぬ。それでも彼女はゲロゲロスへの劣情が募りに募って、正確に言えば、小学二年生当時のゲロゲロスへの劣情が募りに募って、ついにこのたび実力行使に出たのであった。そういった事情を鑑みれば、彼女の複雑な表情の理由も分かるだろう。
 なめこがゲロゲロスの膝裏を舐める! 舐める! 舐める!
「ゲ、ゲエエエエ」
「ふうええええ、ひっく、ふえええ、ひっくひっく」
 ゲロゲロスは叫ぶし、舐めるなめこは泣いている。何が悲しくて成人男性の膝裏など舐めなくてはならないのか。まったくもって身勝手な悲憤ではあるが、彼女はその苦しみに涙を流しながら膝裏を舐め続けた。

「ヤ、ヤバイヤバイヤバイ!!!!」
 肛門のヒクつきは強度を増している。今にもウンコが漏れそうだ。爆発までまだまだ時間は残されているが、肛門括約筋の限界は近い! このままではなめこの目の前でウンコおもらしの憂き目に遭い、皆からエンガチョで迎えられる明日が待っている! ええい、そうはさせるか!!
 ゲロゲロスは焦って立ち上がろうとするが、下半身にしっかりと絡みついたなめこが邪魔でしょうがない。とはいえ力任せになめこを振り払おうとすると肛門括約筋がお留守になってしまう。トイレはあと数メートルの先なのに、ぐぬぬぬ、体が動かぬ。ウンコが漏れるううう~~~! だが、ウンコに対して必死の彼は、目前に迫った、真の危機的状況には決して気付いていなかったのだ。
「オゲゲーッ」
 このままでは皆からエンガチョされてしまう! その焦りと緊張によりゲロゲロスは嘔吐した。『嘔吐逆流(オウトリバース)』! たちまち、凄まじい嘔吐感がなめこを襲う。
「グギギーッ!」
 だが、なめこは耐えた。ここでゲロを吐いたらすべてが水の泡だ。これほどの苦痛を押して必死に膝裏を舐めて、ようやくもうすぐ小学二年生男児の膝裏にありつけるというのに、その待望の男児の膝裏が、自分のゲロでまみれてしまっては元も子もない。なめこは成人男性の膝裏を舐める忌避感と『嘔吐逆流(オウトリバース)』によるたまらぬ嘔吐感とを共に耐え忍びながら、それでも必死に膝裏を舐め続ける!
 そんななめこの必死のぺろぺろもあり、ゲロゲロスの体はどんどん幼児退行していく。小5……小4……小3……、小2まで後一歩だ! だが、彼女も異変に気付いていた。おかしい。何かがおかしい。大好きな小学生男児の膝裏を舐めているはずなのに、何かが違う。まるで……、まるで皮一枚隔てただけのウンコを舐めているような、そんな違和感を彼女は感じていたのだ! いや、だが、そんな馬鹿なことがあるだろうか。小学二年生男児がウンコと同じだなんて、彼女は絶対に認める訳にはいかなかった。気力を振り絞り、彼女は最後の一舐めに出る。これで……これでゲロゲロスは小学二年生男児へと完全な変態を遂げるはず、だった……。
 しかし、次の瞬間。彼女の目の前に現れたのは茶色い花火であったのだ。
 べちゃ。っとウンコの塊が彼女の顔にひっついた。フンバルト・ベンデルの『ビッグベン』は相手の体内のウンコを増大させ、ウンコを全身に行き渡らせた挙句にウンコ充満によるウンコ爆発を引き起こす能力である。爆発する前にウンコをすれば助かるのだが、ゲロゲロスは間に合わずに爆発してしまったのだ。だが、なぜゲロゲロスは爆発したのか? 爆発までの時間は彼も把握していたはずだ。なぜだ? いや、答えは簡単である。なめこの『ぺろぺろ』により、彼の体は幼児退行して縮小化した。だが、一方でウンコ自体の体積は変わらぬスピードで増殖し続けていたのだ! 縮小する身体、増大するウンコ。結果は明白であった。 
 一方、吐き気を堪えてまで膝裏を舐め続け、ようやくありつけたはずの小学二年生男児の膝裏の代わりに、なめこにもたらされたのは顔にひっついたウンコである。こうなると、もう彼女には耐えれない。
「オゲゲーッ!!」
 海賊団Aの船上には男女三人のウンコとゲロが溢れ、その他の船員たちは「オレどうしてこんな海賊団に所属してるんだろう」と諦め顔を浮かべながら各々デッキブラシを手にとった。


 完

>>46-48(↑)の勝手な続き

海賊船の甲板の上、ゲロゲロス=ハクトーシャはいつものように吐瀉物を海へ生み落としていた。
『嘔吐逆流(オウトリバース)』の四十八の発展系の一つ、『裏の裏は表(リバースアンドリバース)』によって、糞まみれでの爆散からかろうじて生還したものの、体の調子は万全とは言えず、こうやって絶えず嘔吐を繰り返す羽目になっていた。
      • まあ、それはいつでもそうなのだが。

吐き気が満ち干を繰り返す間に彼の脳裏をよぎるのは、二日前の大惨事であった。
うんこが驚くべきスピードで増殖していく恐怖、ベンデルに軽々しく侮蔑の言葉を吐いた己の軽々しさに対する反省。
うんこによって死の淵に追いやられた後であれば、そういった後ろ向きの思考へと傾きがちなものであるが、船酔いしながら海賊を続けていることからもわかる通り、ゲロゲロスは不屈の男である。
その頭脳は冷静にベンデルの『ビッグ・ベン』の活用方法について思考を繰り返していた。

―― おととい俺自身が体験したように『ビッグ・ベン』は恐るべき能力だ。だが弱点もある。腹パンが能力のトリガーである以上、その使用は接近戦に限られてしまう。

そう、『ビッグ・ベン』は直接相手の腹部に接触しなければ効力を発揮できない能力である。
加えて、能力が相手を死に至らしめるまでのタイムラグが存在するため、ベンデル本人が危険にさらされる可能性はすこぶる高い。
ベンデル曰く、『ビッグ・ベン』はベンデルの生死に関わらず残酷な時を刻み続ける、ということらしいが・・・。

―― だが、それでは安定した戦力として計算に入れることはできない。やはり、遠距離からうんこを増殖させる方法が必要だ。

そこでゲロゲロスが考えるのは、自身の能力『嘔吐逆流』の利用である。
吐き気を他者に与えるのと同様に、うんこの増殖という能力の作用、あるいは動くことのできないほどの強烈な便意を敵に与えることができないか、ということなのだ。
しかし、どうやらこれはなかなか難しいらしい。
今日の朝、トイレ(大)に行くのを我慢して、その便意を周りの人間に与えることができるかどうかを試してみたのだが、失敗に終わった。
考えてみれば、これまで『嘔吐逆流』で痛みや熱さといった吐き気以外の感覚を相手に与えた記憶はない・・・。

―― いや、一つだけあったな。

その一つとは、秘密を喋りたくなる悶々とした気持ち、だった。
「絶対秘密にしておいてほしい」という船員の恥ずかしい話を誰かに話したくてうずうずしていたとき、まわりの人間もどこか落ち着かない様子で動き回っていた。
後から聞いた話によれば、彼らは全員「なぜか喋ってはいけない秘密を誰かに話したくなっていた」らしい。
なぜそんな気持ちが伝播したのかとゲロゲロスは疑問に思ったが、最終的に「秘密を"吐き"出したい」感覚だったからなのだと理解した。

―― つまり、「吐く」という行為に近づけることができれば『嘔吐逆流』で伝達できる可能性はあるということだ。

思い返してみれば、栄養を摂取する前と摂取した後という違いはあるものの、ゲロとうんこはとても近しい存在だ。
肛門を"第二の口"というイメージでとらえることさえできれば、排泄という行為は容易に吐瀉という行為に置き換えることができる。
だが、これを実行するにあたって問題が一つあった。

―― でかい固形物を吐き出す経験は俺でもそう多くはない。口から卵を出すどこぞの緑色の肌をした大魔王じゃないんだからな。

そう、ゲロゲロスの腸内環境はきわめて良好で、肛門からひり出すうんちも適度に水分を含んだ健康的なものなのである。
したがって、それを口から吐き出すというイメージでとらえた場合、流動性が低すぎるのだ。
吐瀉と重ね合わせるには、バナナうんちでは駄目で、下痢でなくてはならない。

―― ゲエエエエエオエエエエエゴボアアアアアグエエエエエエ

そのとき、ゲロゲロスの吐き気は最高潮に達し、少し前に食べた昼食をほとんど海に吐き終えた。
あまり知られていないが、このときこそ、魔人ゲロゲロス=ハクトーシャが恐るべき知性を発揮する存在へと変貌する瞬間なのである。
吐き気という拘束から解き放たれることにより、期末テストの終わった開放感や汗ばんだ下着を脱いだ解放感に似た多幸感が体内を駆け巡るのだ。
さらに、胃が空っぽとなり吐き気が解消されたことで、それまでそこに向けられてた頭脳の処理能力が、思考へとフルに転化される。
脳内麻薬が駆け巡る興奮と、射精後の賢者タイムのような冷静さが、矛盾なく同居するのである。

コンマ数秒の後、ゲロゲロスの頭脳は恐るべき解答を導き出した。

―― 水 男 の 水 分 で う ん ち を 下 痢 に !



数時間後、ゲロゲロス=ハクトーシャは「キャプテン・ゲロ」に加えて、新たに「キャプテン・ゲリ」の称号を得たのだった。

「海賊野郎Aチーム」


絶海の孤島で鳴らした俺達海賊部隊は、濡れ衣を着せられ当局に逮捕されたが、
刑務所を脱出し、地下にもぐった。
しかし、地下でくすぶっているような俺達じゃあない。
筋さえ通れば財宝次第でなんでもやってのける命知らず、不可能を可能にし巨大な悪を
粉砕する、俺達、海賊野郎Aチーム!

俺は、リーダーベティちゃん。通称亡霊海賊少女。
亡者戦法と家出の名人。
俺のような天才海賊少女でなければ百戦錬磨のつわものどものリーダーは務まらん。

俺はS字フック海賊団。そしてε。
自慢の片手フックに、女はみんなイチコロさ。
ハッタリかまして、ダンゲロス子からフランソワまで、何でもそろえてみせるぜ。

よおお待ちどう。俺様こそジャック・ザ・ブラックリッパー。通称ジャック・ザ・リッパー。
ブラックジャックの腕は天下一品!
被り?海賊じゃない?だから何。

オオメジロザメ。通称サメ。
捕食の天才だ。大統領でも喰い散らかしてみせらぁ。
でも空腹だけはかんべんな。

俺達は、道理の通らぬ世の中にあえて挑戦する。
頼りになる神出鬼没の、海賊野郎 Aチーム!
助けを借りたいときは、いつでも言ってくれ。



ビッグ・バーゲン!




 今宵は夜市(ビッグ・バーゲン!)が開かれる。
 夕闇の迫る空にそう告げたのは、オオメジロザメだった。
 オオメジロザメは温かい海や淡水やドロドロに溶かした土の中に住んでいる魔人鮫で、
 腹が減ると人を食べに土中を泳ぎまわるのだ。
 夜市は岬の海にて開かれる。
 オオメジロザメはいった。
 夜市にはすばらしい品物が並ぶことだろう。
 夜市には北の風と南の風にのって、多くの商人が現れるからだ。
 西の風と東の風が奇跡を運ぶだろう。
 オオメジロザメは、港をぐるりとまわりながら自分が港に告げるべきことを告げた。
 今宵は夜市が開かれる。



 ※※※



 北極星が空のまんなかにぽつりと立ち止まり、こうこうとひかりを落とすなか、
 黒曜石のようにつやつやとしてまっ黒な海の上をつうっと滑る船があった。
 セイレーンが潜む島のほど近く、船の墓場といわれる場所に向かう船だ。
 この日、船の墓場で夜市が開かれると、オオメジロザメからそう聞いた二人、
 姦崎夢姦(かんざき ふぁんしー)とリズ=D=コジョンドが乗ったその船は、
 やぶれた障子みたいにぼろぼろのマストをうっすら銀色に浮き上がらせて、
 まっ黒な夜の海を音もなく進んでいた。



「わたし、幽霊船なんて初めて乗りました! すごいですねぇ!」

 風と雨ですっかりギザギザになった木の床をキシキシとふみならしながら、
 夢姦が甲板の上でにこやかに笑った。
 嬉しそうに甲板をあちらこちらと見てまわる夢姦に、リズは肩をすくめて苦笑した。
 夜市に行かないかとリズが夢姦をさそったのは夕暮れどきであった。
 リズの海賊団には普段ならお金では手に入らないものも扱う、不思議な夜市を開く
 魔人能力者がいた。名をバルゲン・セラーという。
 その男が今宵、能力を使って市場を開く。
 リズからさそわれた夢姦は、好奇心に急き立てられて一も二もなく飛びついた。
 そうして夜になり、二人は海賊団の一員である幽霊船を足に
 船の墓場へと向かうこととなった。
 暗礁の多い危険な海域であるこのあたりは、普通の船ではすぐに沈みかねないからだ。

「私はお化けが苦手だからね……どうもぞっとしないよ」

「えぇっ!? リズさんおばけがダメなんですか!? へぇー、意外です」

「得意の飛び膝蹴りがはずされて派手に転んじまうからな。敵にしたくはないんだよ」

「うーん? そうなんです?」

『私は付喪神で実体あるんだから飛び膝蹴りしないでよ。マスト折れちゃう』

「このマストって役に立っているんですか?」

 リズと夢姦、それに幽霊船もまじえて談笑をしながら、
 星のあかりをうけてつややかにひかる波のあいだを、影絵のように船は進んでいた。



「あっ! もしかしてセント・エルモの火ですか!? ――――あれ!」

 しばらくして、そろそろ船の墓場につくかと、リズが下船の準備を始めたとき、
 夢姦が波間にゆれるもう一隻の船を見つけて指さした。
 夢姦の示す先には、黒々とした船影と、その船影のマストの先にともる火が見えた。
 その船はどこへ進むでもなく、マストに火をともして停泊していた。
 リズはきらきらした星空と暗い海にはさまれて燃える火を見て笑った。

「いや、あの船はS字フック海賊団だから――――アレはダンゲロス子だ。
 私たち海賊団の一員だな。
 火を操る魔人能力者なんだが、ああやって炎をだして酒を呑んでいるんだ」

 リズの海賊団は、幽霊船を含め、複数の海賊団の連合船隊だ。
 新しく海賊船に飛び入り参加した夢姦は、まだその全容を把握していなかった。
 リズの言葉を聞いて、夢姦は人の姿を確認しようと目をこらした。
 しかし、赤やオレンジに燃えるその炎のなかに人の姿を見るより早く、
 船のむこうに青白い火がぽつぽつと見え始めたことに気付いた。
 アセチレンのひかりのように、青くバチバチと燃えるそれは、たくさんの鬼火だった。

「船の墓場についたぞ。――――夜市だ」

 リズがそういった。
 なまあたたかい風がぶわりと甲板をなでて通りすぎ、
 夢姦は思わずぶるりと触手をみぶるいさせた。



 ※※※



 夜市はしんしんとした静けさにつつまれていた。
 バチバチと青い火花をちらす鬼火のしたにベニヤやビニールで作られた屋台が連なり、
 売りものをのぞく客がちらほらと屋台のうねの隙間を行き来している。
 リズと並んで歩く夢姦はちらりと屋台のひとつをのぞいてみたが、
 どのような価値があるかもわからないツボに1千万D$の値札がついていた。

「お嬢ちゃん、これは転校生を封じる素敵なツボだよ」

 屋台の中から場違いなスーツに身を固めたメガネの男が声をかけてきた。
 夢姦はさっさと進むリズに遅れないよう、すれ違うゴリラをかわして屋台をはなれた。
 夜市は不思議なほどに静かだった。
 下半身がタコの半魚人や頭からキノコをはやしたゴリラなど、
 姿もまちまちの客がそこらを歩いているというのに、
 音がどこかへ吸いこまれてでもいるかのようにあたりは静かだった。
 聞こえるのは屋台の前を通りすぎるときに店主が呼び止める売り文句と、
 モヒカン頭をした幽霊がそこここで発する「種籾をよこせ~」の声だけだった。



 リズが立ち止まったのは鬼火のひかりで青く染まった仮設テントだった。

「バルゲン、お邪魔してるよ」

「やァやァ! リズさん! おやこれは可愛らしいお嬢さんもお連れで!」

 リズに続いて夢姦がテントの布をめくると陽気な声に出迎えられた。
 恰幅のよい中東風の格好をした男が両手を広げて夢姦に歓迎の意を示していた。
 ターバンを目深にかぶり、床におかれたランプの弱いあかりでは
 その表情もわからないが、気のよさそうな声音は夢姦を安堵させるのに十分だった。

「今日はやっと商品が集まってバーゲンセールも無事開催ッ!
 東の風は焼き菓子の香りを乗せてッ!
 西の風はほろ酔い酒をッ!
 北の風は昔の思い出ッ!
 南の風は明日の夢をッ!
 なンでも揃うこのバーゲンッ!
 夜が明けるのはまだまだ先だッ! 心行くまでみていきなッ!」

 早口でいっきに言葉をまくしたてたこの商人風の男こそが、
 夜市を開催した魔人商人、バルゲン・セラーだった。
 バルゲンは自分が海で遭難したところを海賊団に拾われたことや、
 失った商品をかき集めてとうとう今日という日に夜市を開けたこと、
 自分の開く市では普通なら金で買えないようなものも買えることを夢姦に語った。
 夜市は魔人能力によって開かれる。
 夜市にはめずらしいもの、ほかでは手に入らないものが集まる。
 夜市では誰でも客になれるし、ものを持ち込めば店をだせる。
 夜市の取引は公平で平等におこなわれるべきである。
 夜市の取引を清いものとするために、バルゲンはいつも気をつかっている。

「さァさだから遠慮はいらンよ! ゆっくり楽しンどっとくれッ!」

 どこまで息が続くのかと思わせる長広舌を締めると、
 バルゲンはまるい腹をポンとたたき、ご機嫌な笑い声をあげた。



 バルゲンへのあいさつを済ませ、リズと夢姦はテントを離れると、
 船の残骸で怪しい足場に注意をはらいながら、ぶらぶらと屋台のあいだを練り歩いた。
 お祭りの屋台でみかけるようなお面やビー玉といったおもちゃ、
 古めかしい鏡やタンス、ときには石ころや何かの破片といったものまで、
 雑多な売りものが屋台につるされたランプやあたりを飛ぶ鬼火に照らされて
 きらきらと、どれも宝箱におさめられた大切なもののようにひかっていた。

「お嬢ちゃんはなにか普通じゃ金で買えないもので欲しいものなんてないのかい?」

 リズが歩きながら聞いた。

「ううーん……? 突然そういわれても困っちゃいますけれど……」

「ここは昔に失くしたものだって、手に入れたいと願っていたものだって、
 相応の対価をはらえば買うことのできる場所なんだってさ。
 私もバルゲンから能力の話を聞いて、夜市が開かれるのを待ってたもんだ」

「すごい魔人能力ですねえ」

「ああ! お嬢ちゃんにゃ運命の相手を探すのが一番お似合いかな?
 私にぴったりの素敵な相手をくださーいってなどうだ?」

「ええぇぇぇ!? あ、あう……そ、その、そんな、でも、
 えっと、やっぱりそういう相手をそんな、か、か、買うだとか――――きゃっ!?」

「ははは、足元に気をつけな」

 リズのからかいにけつまずきそうになりながら、
 夢姦はなんとかリズに支えられて屋台の列の奥へと歩いていった。
 その顔は、鬼火の青いひかりのなかでもわかるくらいに真っ赤に染まっていた。

「さて――――私の失くしたものはどこかな」

 だから、夢姦の耳にリズのつぶやきが届かなかったのも無理のないことだった。



 ※※※



 黒い夜空には星が砂糖菓子のようにきらきらとひかり続けていた。
 その真っ黒な世界から、つめたい風がしんしんと降ってくる。
 リズと一緒に屋台を順に見てまわり、
 ひとつの並びのはしまでついたらとなりの列へ移動し、また順繰りに売りものを見る。
 刀剣や絵画、おもちゃにお菓子、がらくたから宝石まで、
 めずらしいものをながめて、しばらく夢姦は楽しい時間をすごしていた。
 好奇心旺盛な夢姦にとって、夜市はおもちゃ箱だった。
 ときおりリズと売りものの質問や冗談などの短い言葉をかわし、
 二人は笑いあいながら歩いた。
 折れたマストを即席のベンチにして、半身が腐れた少女がお菓子をほおばっていた。
 ごわごわとした銀色の宇宙服が歩いてきたのとすれ違う。
 鬼火がゆっくりとゆれていた。
 そうやってどれだけの時間がたっただろうか。
 夢姦はひやりとした風を感じて夜空を見あげた。

「あれっ?」

 そして異変に気づき、足を止めた。
 触手をピンと伸ばして空を見あげる夢姦を見て、リズも足を止めた。

「どうした?」

「星が――――動いていないんです」

 夢姦が夜空を指さした。

「北極星があそこにあって……オリオン座がまだあそこに。
 あれぇ? 夜市にきてからもうけっこう時間たってますよね?」

「ああ」

 リズがちらりと星を見あげて笑った。

「夜市は買うものが決まってる奴が足を踏みいれたら、
 買いものを済ませるまで抜けだせないんだってよ。
 夜市っていうくらいだしな。買いものを済ませるまで夜のままなんだろ」

 夜が明けるのはまだまだ先だ――――夢姦はバルゲンの陽気な声を思いだした。
 なんでも揃う夜市。
 望むものを手に入れられる夜市。
 望みのものを手に入れるまで夜市は終わらない。
 リズの言葉を聞いて、あらためて魔人能力による超常のこの場所を思い、
 夢姦は自分の触手をきゅっと胸に抱いた。
 うっすらと寒気を感じたのだ。
 得体の知れない力につつまれていることを実感した。



 それから二人はいくつかの屋台をまわった。
 夢姦はためしになんという名前かもわからない焼き菓子をこづかいで買い、食べた。
 空を見あげても、星はひっそりとおなじ場所から見おろしてきた。
 そんなことをして、また一列、屋台のはしまで行きついた。
 そのあいだ、リズはのんびりと歩いていた。
 屋台の売りものはあいかわらず大切なおもちゃ箱のようにかがやいていた。
 すれちがう客も顔見知りが多いのか、リズは何度か軽い挨拶をかわしていた。
 不安なそぶりのないリズを見て、やがて夢姦の心も落ち着いた。
 得体の知れない能力とはいってもリズの仲間の能力であることに思い至ったのだ。
 怖がっていても仕方ないと、夢姦は自分の心を叱咤した。

「ん……?」

 そうして落ち着いてみて、夢姦はひとつの疑問を頭に思いうかべた。
 なんで最初に聞かなかったのかというようなことだ。
 夢姦は斜め前を歩くリズに向きなおった。
 胸に残る不安を振りはらおうと、夢姦はつとめて明るくその疑問を口にした。

「そういえばリズさんは何を買いに夜市にきたんですか?」

「ああ……それなぁ……」

 夢姦を夜市にさそったのはリズである。
 リズは夜市が開かれるのを待っていたともいっていた。
 つまり、リズははじめから買いたいものがあって夜市をおとずれたことになる。
 いつまでも夜が明けないのも、リズがまだ買いものを済ませていないからだろうと、
 夢姦はリズの顔をあおぎ見た。
 しかし、夢姦の問いかけにリズは言葉を濁した。
 目をそらし、なにかを考えている様子だった。
 いつも勢いがあって豪胆なリズらしくもないと夢姦は首をかしげた。

「……」

「……」

 しばらくのあいだ、リズは黙った。
 夢姦もリズを見守り、口を閉ざした。
 普段は凛々しいリズの表情が、
 心に押し隠した秘密をこぼすべきか、苦悩にゆがんでいるようだった。
 鬼火がひとつふたつ、バチバチと青い火花を散らして飛びさった。
 煙いような、胸がずんとするような、変な臭いが夢姦の鼻を刺激した。
 一軒、二軒と屋台の前を二人は無言で通りすぎた。
 夜市の静けさが夢姦の耳を圧迫した。
 やがて、決心をしたのか、リズは語りだした。

「……リボンを探してるんだ」

 夢姦はほっと息をついた。

「リボン、ですか? あの、おみやげをくるんで飾る?」

「いや、髪留めのリボンだ」

「へぇ……」

 夢姦を見返して、リズは昔を思いだすように目を細めた。

「昔話になるんだがね……私と、私に飛び膝蹴りを教えてくれた――――サワムラの」



 ※※※



「リズさん、貴女が探していた装飾品を扱う人を連れてきましたよ」

「――――ん? おう、メナか」

 リズの昔話は、二人のもとにやってきた女性の声で終わりを迎えた。
 夢姦が声の主を見返すと、それは傷だらけの体を申し訳程度の服で飾った、
 短髪の女性であった。
 リズと同じ海賊団の一員、メナ=クロッツバイド=シェナイ=ヴァイゼラである。
 それと、そのとなりにもう一人。

「ヒヒ……こんばんは。あんたがリボンを探してるリズさんかい」

 スキンヘッドのいかめしい顔をした大男が背負いかごを下ろしながら挨拶した。

「ああ、見つけてくれたか。手間かけたな」

「いえ、これも私の仕事ですから」

 リズとメナが目配せをしあった。
 海賊団のなかでも商談や交渉術に長けたメナは、
 バルゲンの指名により監視役として夜市をまわっていた。
 リズは先ほど、バルゲンが夢姦に長々と夜市の説明をしている最中、
 見まわりにやってきたメナへそっと探しものの手伝いを頼んでいたのだ。
 リズがのんびりと夜市の店をまわっていたのも、メナを頼りにしていたからであった。
 ぽん、とリズの手が夢姦の頭におかれた。
 夢姦がリズの顔をあおぐと、これで夜市も見納めだなとリズは笑った。
 北風が船の墓場を駆けぬけ、あたりの鬼火がちりりと身を縮めた。
 いよいよ夜市の買いものが始まる。
 とどまっていた時間が流れだす。
 夢姦は星を見あげた。
 夢姦の頭から手を離し、リズは大男へ向きなおった。

「それじゃ、店主さん。私の探しているリボンを売ってはいないか?」

「はいな、そいつはどんなリボンですかね?」

 いよいよ夜市の買いものが始まる。



「なるほど、昔に失くしたものですかい」

 リズは夢姦に話したばかりの昔話を大男に語って聞かせた。
 子供のころの思い出が染みたリボン。
 手に入れて、すぐ後に身を投じた命がけの戦いのなかで失くしてしまった大切なもの。
 ほんの短いあいだしか手にしていなかったもの。
 リボンなんてもう似合わない歳になったけどなと言うリズの顔は、
 よほど失くしたのが悔しかったのか、恥ずかしそうに、情けなそうにゆがんでいた。
 今日は何度もこの話をする破目になったと愚痴をこぼすリズを尻目に、
 大男はフンと鼻をならして背負いかごからいくつかのリボンを取り出した。

「聞けばずいぶんと昔に失くしたものじゃあないですか。
 それもあんたの先生かい? その人からもらってすぐに失くしてる。
 確認したいんだけどね、あんた、私がコイツがそのリボンだって見せたとして、
 それが本当にあんたのリボンか見分けなんてつくのかい?
 ピンク色だって言ってたな。ほれ、ピンク色のリボンなんてこんなにあるさ。
 これらだって少しばかり色合いが違うんだがね、
 あんた、どの色があんたのリボンの色か、わかるかい?」

「……そういうのは店主さんがわかるもんだったりしないのか?」

「はっは、わかるかもしれんがね、
 だとして、あんたがわからないようじゃ納得なんてできるのかい?
 私が嘘をついて、適当なものをにぎらせるかも知れんじゃないか」

「そいつは……」

 大男が差しだしたリボンをしばらく見くらべて、リズは押し黙った。
 その様子を見て、大男はもう一度フンと鼻をならしてリボンを背負いかごへしまった。

「……ちょいと虫が良すぎたかなぁ。失くしたもんを見つけようなんて」

 ばつが悪そうにリズは腕を組んだ。



「リズさん……いえ……」

 しんと静まりかえった夜市の空気。
 しばらくして、夢姦の声がその空気をふるわせた。
 リズに声をかけようとしたが、よい言葉が続かず口を閉じた夢姦のつぶやき声だった。

「ああ、気を使わせちまったな、お嬢ちゃん。私は大丈夫だ」

 そんな夢姦を見て、リズは表情をやわらげた。
 失くしたものはやはり仕方ない。
 海賊らしく前にある宝を探せばいい。
 過去のことで仲間を心配させるなんてのはもってのほかだ。

「いい機会――――だった。踏ん切りつけて明日から『セイレーンへの貢物』探しだ」

 心配そうに見あげてくる夢姦に笑いかけ、
 黙って成り行きを見守っていたメナにも後でなにか奢るよと声をかけ、
 リズは頭をかいた。
 他に店を見てまわっても、同じことだろう。
 失くしたものは、仕方ない。

「邪魔したな、店主さん」

 リズは煮えきらない心を決めるように挨拶をすると、
 夢姦やメナをうながして踵を返した。

「ああ、ちょっと待ちな」

 その背中を、大男が呼びとめた。

「ヒヒ……それじゃ今から商売だ。これがあんたの失くしたリボンだよ」

 そして、リボンを手にそう言った。



 真っ黒な空と海のあいだ、壊れて積もった船が要塞のような姿を青くひからせている。
 リズと夢姦が夜市をおとずれて、だいぶ経つ。
 客たちも買いものをすませ、いくらか屋台のうねを歩く異形の人も減っていた。
 モヒカン幽霊が宇宙服と半身の腐った少女につれられて夜市をはなれた。
 種籾を見つけられなかったかわりに、ツボを買って帰ったらしい。

「――――今更それを信じろってのか?」

 客の少なくなった夜市に、リズの苦々しい声が響き、すぐにまた静まりかえった。
 リボンを手にしたスキンヘッドの大男は、いかめしい顔に薄ら笑いを貼りつけている。
 リズの買いものは続いていた。

「なに、今まではあんたの記憶を探っていただけさ。これがあんたのリボンだ」

「探る? 店主さんの能力か?」

「この背負いかごのなかは話し相手の記憶につながっている。
 だからあんたの記憶を刺激してちょいとリボンを拾わせてもらったよ。
 それが私の魔人能力でさ……ヒヒ」

「へえ……便利な能力だな」

「おっと、信用してない顔だね。まあ私はあんたに売らなくたっていいんだ。
 買わないってんなら他をあたるよ」

 大男は人を小馬鹿にしたような笑いを顔に貼りつけ続けている。
 リズは豊満な胸をおさえつけるように腕組みの力を強めた。
 リズがちらりとメナを見て、メナは小さく頷いた。
 大男とリズのにらみあいはしばらく続いたが、

「――――わかった。買おう」

「ヒヒ……毎度」

 リズは今度こそ心を決めたのか、大男からリボンを受けとった。

「『虚が真を産む』――――発動成功」

 リズの買いものを心配そうに見ていた夢姦の耳に、メナのつぶやきが聞こえた。
 メナをふりあおいだ夢姦の目に、夜空のなかをかたむきはじめたオリオン座が見えた。



 ※※※



 あかりが消えて、影のうえに影を重ねたように黒々とした船の墓場から、
 リズや夢姦、それにバルゲンやメナを乗せた幽霊船はするりと静かな海へ滑りだした。
 あたりは濃い霧がただよって、船の墓場の影はすぐに見えなくなった。

「良かったな。失くしたものが見つかって」

「ああ。これで少しは……救われた」

「ま、俺に感謝しな」

「酒を奢るさ」

 夜市からの帰り道。
 甲板でリボンをながめるリズとメナが笑いあっていた。

「あの……えっと、そのリボンは本物だったのでしょうか?」

 そこへ夢姦がやってきた。
 上機嫌の二人に、どうも納得がいかない表情の夢姦は、
 しばらく口をもごつかせてからそう聞いた。

「ああ、お嬢ちゃんはメナの能力を知らなかったな」

「俺の能力は『嘘を真実に変える能力』でね。
 あのとき能力発動に成功したからコレは本物で間違いないってわけさ」

「へぇ……」

 メナの魔人能力は『虚が真を産む』という。
 その効果は『吐いた嘘が真実になるように世界を塗り替える』。
 つまりあのとき、もしこの能力が発動失敗したならば大男は真実を語ったことになり、
 発動成功したならば大男は嘘を語ったことになり、そしてその嘘が真実となる。
 どちらにしろ、リズは過去に失くしたリボンの本物を手にすることができたのだ。

「商売は誰にでも清く、公平にあらねばなりませンからね。
 だからメナさんにバーゲンの見回りを頼ンだのですよ」

 横からバルゲンが愉快そうな声をはさんだ。

「おお! そうだったんですね! ――――あれ?
 でも、そうするとあのリボンを売った人はやっぱり嘘つきだったんですか?」

「そうだな」「そういうことだ」「けしからン輩です」

 夢姦の疑問に、三人が声をそろえた。
 それって見逃しちゃっていいのでしょうかと聞いた夢姦に、
 リズは目をそらし、メナは頭の後ろで腕を組み、バルゲンは丸い腹をゆすった。

「……あれ?」

 三人の様子に不穏なものを感じた夢姦がリズに目をやるも、
 リズは気にするなと笑って触手の先をなでた。
 きゃっと小さく声をあげて、夢姦は身もだえした。

「お、見えたぞ。ゲロ子のあかりだ」

「簡易灯台ってな。一杯呑んでいくか! ほら、夢姦もへたってないでいくぞ!」

 霧につつまれ真っ白な海のなか、ぼんやりと明るく染まった前方を指さし、
 リズと夢姦と肩を組んでメナが明るく言い放った。
 幽霊船はうねるカーテンのような霧のなかを静かに、にぎやかに進んでいった。

「公平で公正な商売の邪魔をする輩はどかさにゃならンからね」

 目深にかぶったターバンの下に表情を隠したまま、
 そうつぶやいたバルゲンの声は霧にまぎれて消えた。



「ヒヒ……あんたの頼みはきいておいたよ」

「ヒャッハー! ありがてぇ! あの女には酷ぇ目にあわされたからなぁ!」

 一方、あかりの消えた船の墓場では、
 スキンヘッドの大男がモヒカン頭の男と笑いあっていた。
 ささくれた甲板の割れ板や折れた舵が、
 草むらから顔をだすヘビのようにあちこちから伸びて男たちを囲んでいる。
 二人しかいなくなったはずの市場跡に、男たちの笑い声がこだましていた。

「あの女、俺の股間に膝蹴りをかましやがったからな……」

「少しは意趣返しになったか……ガラクタに高い金を払ってなぁ」

「ケヒヒ、とんだアマちゃんだぜ!」

 暗がりでスキンヘッドの大男に言葉をかけるこのモヒカン雑魚。
 彼こそが今回の詐欺(未遂)事件の主犯であった。
 先日、ちかくの港の酒場でおきた喧嘩騒ぎでリズに股間を蹴りあげられた、
 例のモヒカン雑魚である。
 詳細は姦崎夢姦のキャラクター個別ページにあるプロローグを参照されるとよい。

「ヒヒヒ……それじゃこの金でたらふく酒でも飲むか」

「ヒャッハー! 酒だ!」

 二つの影法師は作戦がうまくいったことを称えあい、
 ねっとりとまとわりつく霧をかきわけて自分たちの船のもとへ向かった。

「……あ? なんだぁ?」

 しかし、すぐにその歩みはとまった。
 前を歩いていたモヒカン雑魚の声が頭のうえで渦をまく霧に吸いこまれる。
 ギシギシと古い木片を蹴散らし歩いていた足が、ぐにょりと何かを踏んだのだ。

「どうした――――」

 モヒカン雑魚に声をかけようとしたスキンヘッドの言葉は途切れた。
 ぐにょり。
 すべてを言い切る前に、うねり踊りあがった地面に身体を飲みこまれたのだ。
 うねりのなかから、鋭い牙がのぞいた。
 洞窟のような穴が盛りあがった地面にあいていた。
 スキンヘッドはその穴に飲みこまれていた。
 そして、声をだす暇もなく、モヒカン雑魚もその穴に飲みこまれた。
 ざぶり。
 ドロドロに溶けた地面に浮かぶ木片をオオメジロザメの背びれがかきわけていった。



 S字フック海賊団と合流したリズと夢姦はどんちゃん騒ぎのなかにいた。
 いつのまにか霧も晴れ、夜空にはたくさんの星がきらきらとひかっていた。
 穏やかな海は黒くつやつやとしていて、黒曜石のように星のひかりをはじいていた。
 そのなかを、火がたかれてあかあかと燃える二隻の船が滑るように進んでいた。

「結局、あの嘘つきさんはどうなったんですか?」

「さあて、もらうものはもらったんだ。後のことまで私は知らんよ」

「うーん……なんだかはぐらかされている気がします……」

 昼間のように明るい甲板のうえは宴会場となっていた。
 ゴリラや半漁人が楽しそうに歌を歌い、船長が音頭をとっている。
 淑女が優雅に紅茶を飲み、炎をまとった少女が酒瓶を片手に暴れていた。
 リズから酒樽をわたされたメナは思う存分に仕事終わりの酒を楽しんでいる。
 そのにぎやかな空気にまざりながら、リズと夢姦は夜市のことを語りあっていた。

「ははは、お嬢ちゃんはからかいがいがあるな」

 触手を左右にふりながら質問する夢姦をあしらい、リズは酒をあおる。

「嘘つきさんには相応の目にあってもらいましたよ、お嬢さん」

 そこへにこやかな声でバルゲンが歩いてやってきた。

「商売は公平だから楽しいンだ。お嬢さんも嘘なんかついちゃいかンよ」

「あ……は、はい!」

 返事をしながら、夢姦は明るい場所で初めてバルゲンの顔を見た。
 目深にかぶったターバンの下には、落ちくぼんだ眼窩が並んでいた。
 くちびるもなく、むき出しで並んだ歯がカタカタと笑っていた。

「それとリズさんも少し嘘つきだからねぇ。気をつけなさいよ」

 夢姦とリズの二人にそれぞれ言葉をかけると、
 ターバンを巻いた骸骨はカタカタと笑いながら再び歩いていってしまった。
 歩き去るその背中を、二人はしばらく無言で見つめていた。

「……バルゲンさんも幽霊さんだったんですか」

 ぽつりと夢姦がいった。

「……だからお化けは苦手なんだ」

 リズはため息をついて、酒とバルゲンの言葉を飲み干した。



 ※※※



 真っ黒な海と真っ黒な空にはさまれて、火のともる船はきらきらと浮かんでいる。
 船上の宴会もまた、夜市のようにいつまでも続いていた。

「リズさん……嬉しそうですね」

 夜市での不思議な一夜をすごした夢姦は興奮で寝つけず、
 リボンをながめて酒を飲んでいたリズのところへ戻ってきていた。

「ん……そうだな」

 リズは夢姦に気づき、ゆるんでいた表情をいっそうほころばせた。
 夢姦はそっとリズの隣に腰をおろし、並んで古いリボンをながめた。

「寝つけなかったのか」

「はい……」

 夢姦は少し顔を赤らめ、触手を抱いてうなずいた。

「……リズさん」

「ん? なんだ?」

「そのリボンの……昔話を、もっと聞かせてもらえますか」

「……ははは。ああ、いいさ。話してやるよ」

 飲み干したグラスを置き、リズは笑った。

「それじゃあ何から話すかな――――、
 そうだ。リボンを失くした騒動のことから話そうか。あれは確か――――」



「第十次ハルマゲドンと呼ばれるお祭り騒ぎだった」



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