海賊団BSS

最終更新:

member

- view
だれでも歓迎! 編集

海賊団B SS




斧寺さんプロローグSS

 空に浮かぶ満月は夜の帳を透かして、ある意味昼間の太陽以上の存在感を放っていた。淡い月光の下、金波銀波が帯状に照らし出されて煌く海は闇の中に月へと至る道が切り開かれたかのような幻想的な光景を作り出している。

BGMは静かな波音、汐の香りを含んだ海風が肌を撫でていく。出来過ぎた程に見事な夜。それは今波止場に腰を下ろす2人――少女・斧寺小裂と彼女が思いを寄せる少年のために、世界が用意したもののように思われた。

「――君、キスしてもいい……?」

自身がその一言を発した瞬間、斧寺は一瞬世界が無音になったと思った。

✝✝✝✝✝

 斧寺と少年は中学時代からの同級生であり、斧寺の恋心もその頃からのものだ。高校にあがってから互いの友人の後押しもあり2人は友人同士と言える程度の仲になったのだが、そのまま順調に行けば恋人同士になれそうかと言えばそんなことはなく、入学後間もない頃に転入してきたハイスペック美少女が3ヶ月弱で現状の斧寺よりもずっと恋人に近そうな関係になっているのだ。いや、喧嘩ばかりで当人たちに尋ねれば両者断固否定するだろうが、既に恋人と言っても全く不自然でない仲に思える。

 良くも悪くも奥手な斧寺はそうした2人の間に自分から割って入ることが出来ず、自分が後押ししている甲斐がないと友人に叱られたものだ。しかし夏休み、互いの友人や転入生の少女も含めたグループ数人で海に遊びに行くことになり、その日の夜ひょんなことから少年と2人海水浴場に隣接した港の波止場に腰を下ろし、話しているというのが斧寺の現況である。

(――君と2人っきりだなんて、な、何を話せばいいんだろう……)

元々斧寺はメンタルの弱い方であるが、それを抜きにしても16歳の少女が思いを寄せる相手とこんな雰囲気の中にいれば平静を保てと言う方が無理だろう。もちろん絶好のチャンスという意識もあるのだが、だからこそこれを逃したらというプレッシャーに押しつぶされそうな心境だった。当たり障りないことから話し始めようと思ったが、それが出てこない。

(心臓がバックンバックン言ってるよお……るりちゃぁん……)

こんなときでも親友を頼ってしまう自分にハッとして心中で活を入れ、とにかく何か言おうと口を開きかけたとき、少年が先に言葉を発した。「今日は楽しかったな」という平々凡々なものであるが、斧寺には大きな救いだった。それに斧寺が同意し、昼間の友人たちのことや夏休みはこの後どうするか、などと話を広げていく。

(――君、ありがとう。るりちゃん、私自分で頑張るよ)

相変わらずドキドキしてはいるが、しかしどもったりしどろもどろになったりはしていない。むしろ、話しているうちに目の前で波立つ海のように心が安らいでいき、しかし胸の奥に灯った火のようなものはじわりじわりとその大きさを増しているのだ。スポーツや勉強と同じく恋にコンディションというものがあるなら、今の自分はベストなのでは無いか。そんな風に思った。

 今までにも何度か少年と2人きりという機会はあったが、何か神の意志めいたアクシデントが発生し2人の仲の進展に繋がることは無かった。だが今は夜の海で2人きり。ボールが飛んでくることも、突然台風が逸れることもない。今こそが2人の関係をグッと進めるチャンス、と斧寺は確信する。心の中のるりちゃんもそうだと言っている。

 しかし、少女は若さ故に知らない。ベストに思えるときこそ失敗の種は蒔かれるのだと。彼女を責めるのは酷と言えるだろうが、しかしやはり彼女は調子に乗っていたのだ。

 一旦会話が途切れ、沈黙が訪れる。波止場に当たって波が砕ける音がやけに大きく聞こえた、その直後斧寺は冒頭の一言を発することになる。
✝✝✝✝✝

(……キ、キスって! 私何言ってるの? なんであんなこと言っちゃったの?)

発言から2秒程経って、自分でも呆然としていた斧寺はパニックに陥る。何故あんなことを言ったのかわからない。そもそも告白さえこの場でしようとは思っていなかったはずだ。なのに実際出てきた言葉は踏むべき過程をいくつもすっ飛ばしていた。

(私……いい雰囲気になったからって舞い上がってあんなことを……ど、どう思われたんだろう?)

付き合ってもいない異性からあんなことを言われたから引くに違いない。軽蔑されるか、それともどうにかフォローしようとしてくれるのか、どちらにしても気まずくなるのは間違い無い。かといって自分から、「今のは無し! 忘れて」などと言う勇気も無い。そんなことを考えているうちに、先程の一言から沈黙が始まって30秒程経過していた。

(――君? なんて返せばいいか困ってるのかな……? うう、ごめんなさい)

沈黙が続くことも怖ければ彼が何か言い出すのも怖い。しかし彼をこれ以上苦しめるくらいならやはり強引に「今のは無し」にしてしまうべきかと考えながら恐る恐る隣の少年の顔を覗き込もうとした、そのときであった。

――それまでは静かに打ち寄せるばかりであった波が突然4~5mはあろう大きなものとなって斧寺を呑み込んだのだ。不意の出来事に回避も出来ず、その場にしがみつくものも無く、哀れ彼女は海に落ちてしまう。まるで暗い海の底に潜む魔物がその巨大な魔手で彼女を引きずり込んだかのようだ。

「えっ……あっ、いっ……じょうぐん……」

口から鼻から猛烈な勢いで海水が流入する。不運なことに、斧寺は元々カナヅチであった。海面に向かって届かぬ手を伸ばしながら、その意識は自身の身体と同樣、暗闇の底へと沈んでいった。

 今まででも最大の不運に襲われた神に愛されない少女斧寺であるが、しかし波に呑まれたことはある意味で幸運とも言えるかも知れない。なぜなら――

「ハッ……いかん俺寝てたのか……? 悪いな斧寺って……斧寺!?」

斧寺と海に行くのが楽しみ過ぎて前日眠れなかった少年は、その斧寺と夜の海に2人きりでありながら、あろうことか居眠りをしており、先程の言葉も当然聞いていなかったのである。

✝✝✝✝✝
「――君? あれ、私生きてる? ここは……」

意識を取り戻したとき斧寺は、木の甲板の上に横たわっていた。周りには厳つい雰囲気の男たちがいて、彼女を見下ろしている。

「み、皆さんが私を助けてくれたんですか? ありがとうございます!」

「ああ、海で漂ってるところに通りかかってね。お嬢ちゃんみたいな可愛い子を見殺しにしちゃあ海賊の名折れさ」

純粋にお礼を述べる斧寺に対し、男たちは服が濡れて透ける彼女の身体のラインや下着に下卑た笑みを浮かべる。船上でのヤギやエイ相手の性欲処理に男たちは嫌気が差していた。そんなところに東洋風の美少女が現れたのだから、性奴隷にしようと考えるのが物の道理というものである。既にズボンの股間を張り詰めさせ、我慢汁を垂れ流している者もいる。 

哀れ斧寺、恋の成就が遠のいたばかりか、むくつけき海賊達に純潔を奪われ、肉奴隷となってしまうのか。

「助けてもらったお礼に、私この船のお手伝いします! ほら、私力には自信あるんですよ?」

そう言い放つと、斧寺はそばにあった大きな樽をひょいと持ち上げてみせる。酒がいっぱいに入ったその樽の重量は400ポンド(180kg強)は下らない。細身の少女が見せた驚くべき怪力に、男たちは目を丸くする。
 斧寺はその樽を元の場所に置くと、今度は長いもみあげの先に留まっていた斧型の髪飾りを外す。

「――オノデラックス――」

甘い声がそう言葉を紡いだ直後、髪飾りは光に包まれ、そして一瞬で圧倒的な存在感を放つ大戦斧へと姿を変えたのだ。
魔人能力「オノデラックス」――無生物の魂を理解し、その能力を引き出す「フルブリング」と呼ばれる術を修めた斧寺が手に入れた、斧のサイズと形状を変化させ、いくつかの能力を付与できる力である。

「私、戦ってもそれなりだと思いますよ、ほら」

マッチョな船員が持ちあげるのも難しそうな斧を、彼女は並の剣閃よりよほど速く振るって見せ、凄絶な刃風に近くの船員達は倒れそうになる。
 それを見た船長が、斧寺を性奴隷ではなく戦闘要員として採用することに決めた。
✝✝✝✝✝

 夜、斧寺は甲板から星の輝く夜空を見上げる。今頃みなはどうしているだろうか。やはり大騒ぎになっているだろうな、と思うと罪悪感がチクリと胸を刺す。

「心配しないで、るりちゃん。私、ちゃんと生きてるから。またみんなのところに帰るから」

そして、大波に阻まれた少年との夜の続きをもう一度、そう心に誓うのだった。不運続きだった少女が果たして生き残れるのか、元の世界に帰って、少年と結ばれることが出来るのか。それを知るのは、散々彼女を弄んできた大宇宙の意志のみであろう。



パンドラ関西子×かませワン子SS

これは後にパイレーツオブダンゲロスと呼ばれることになる絶海の宝島の戦闘の数日前の話である。

「うーん、つまらん」
晴れ晴れとした日光に照らされた甲鈑の縁で、海を眺めている小柄な少女が呟く。
彼女の名は、かませワン子。奴隷船が難破した際に今いる海賊船に拾われていた。
基本的に活発的な彼女であるが、しかし現在ワン子の特徴でもある犬耳は垂れてしまい尻尾もだらんと垂れ下がってしまっている。
他の海賊の例に漏れず船はキャプテンシルバーフックの残した財宝を求めて進んでいるのだが・・・
「お宝どころか島一つ見つからないじゃんか・・」
そう、ここ数日間は大海原のど真ん中、代わり映えのしない風景が水平線まで続いている状態が続いている。
おまけにこの穏やかな天候に生暖かい風。
飽きやすい彼女でなくてもだれてしまうのは当然といえよう。
心地よい暖かさにワン子が眠気に誘われ欠伸をしていたところ、朗らかな笑みを浮かべた少女が近づいてきた。
「なんや、アンタ元気ないなー」
「おー関西子かー。暇過ぎて死にそうなんだ」
「そうか?んなもん気の持ちようやで」
関西子とよばれた少女はワン子の頭を撫でながら隣に立った。
「お、おいコラ!あまり子供扱いするんじゃない!」
「ええやんか~なんかアンタみると撫で回したくなるんや。“白い三角木馬“に撫でられるよりはええやろ?」
「う・・まぁアレよりはマシか」
“白い三角木馬”の二つ名をその男は「少女に母性を求める」という特殊な性癖を持ち、主に女性陣から忌避されている存在であった。
「まーよくあんな変態のせたよなぁ・・」
「せやなー。でも獣人なアンタもなかなかレアやとおもうけどな。」
「そうかー?獣人ごときで驚いてたらうちの船で暮らしていけないぞ」
「あー・・・そうやなぁ・・。」
呆れ顔を浮かべる関西子。
彼女たちが乗る船には獣人どころかゴブリンや空飛ぶサメ、ゴリラなど完全に人間ではないもの、
更には腐った肉の塊や怪しい宝箱なんかもある。
いっそ宝を探すより人外の者たちを使って見世物小屋をやったほうが儲かりそうなくらいである。
もちろん中にはまともな人間もいるが、海賊らしく豪胆な男が多い。
そんなわけでワン子と関西子は自然と年の近い女同士として分け隔てなく話せる友人となっていた。
「なーワン子はお宝みつけたらどうするんやー?」
「んーそもそも成り行きで海賊やってるようもんだからなー。あれだな、美味しい食べ物たらふく食べたい。肉とか。」
「アンタ肉ばっかり食って野菜食わないもんなー。太るぞー?」
「う、うぅ~・・ってお前頬をつつくな!」
「うりうり~」
「このっ、仕返しだー!」
「な、や、やめんかい!このやろー!」
頬のつつき合いから脇腹のくすぐり合いになり、二人の絡みは激しさを増していく。
(素晴らしい・・!あれこそが少女の母性の象徴!互いを包容力で受け止めつつも厳しさをもって戒めているのだ・・!)
―――――――そんなくんずほぐれつしてる様子が例の“白い三角木馬”を興奮させていることを関西子達は知らない。


はしゃぐのに疲れたのか二人のじゃれあいは鳴りを潜めた。
「ま、まったくお前は私をいつも子供扱いして・・・」
「そりゃそんな可愛い耳と尻尾をつけてたらいじりたくもなるもんや。」
「・・・まぁいいや。で、話を戻すけど関西子は宝をみつけたらどうするの?やっぱり肉?」
「ふふん、ウチの野望は肉だなんて小さいものではおさまらないで。」
言いながら関西子は大きく胸を張る。
「む。じゃあいったいなんなんだ?」

「それは、―――――関西の復興や!!」

威勢よく関西子が言い放つが、ワン子はきょとんした表情だ。
「カンサイ?なんだそれは。肉よりおいしいのか?」
「食べ物ちゃうで。関西は地域名や。」
「ほーどういうところなんだ?」
「古来より続く威厳のある建物や町並みなんかがいっぱいあるんだやで!」
「古臭いものには興味ないぞー。そんなのがいいのか?」
「はーなんやアンタ面白みがないなー。あ、そや、モヒカンザコなんかもいっぱいいるんやで!」
「モヒカンザコ?そいつは焼くとおいしいのか?」
「あんたはなんでも食べ物がいいんか・・。モヒカンザコいうんは人間で、うーんとそうやなぁ・・ヒャッハー!って感じかな」
「お、おう。なんかテンションが高そうなのは伝わったぞ」
「噂ではどっかの海賊に船モヒカンていう似たようなのがおるらしいで。」
「ほーう。是非とも見てみたいなぁ。」
「でも他の海賊なら敵として合うかもしれへんで。」
「へへんっ私にかかればそんな奴ぶちのめしてやんよ!」
武器である角材をもち、胸を張って自信満々な様子なワン子。ちなみにワン子はそれほど胸がない。
「ほ、ほう。それは凄いな。頼りにしてるで。」
適当に相槌を打つ関西子ではあるが、内心はそれほど期待していない。
ワン子は自信過剰な部分があり、敵に勝ってるビジョンが思い浮かばないのだ。
(敵にやられてキャンキャンいってる姿しか想像できへんなぁ・・)
もちろん関西子はそんなことを口にしない。彼女なりの優しさである。
「アンタがよろこびそうな食べ物でいえばあれやな、『たこ焼き』や『お好み焼き』とかめっちゃおいしいで!」
「おー!なんかよくわからないけど美味しそうな名前の食べ物だな!」
「でもキャベツとかはいるんやで?アンタ食べれるんか?」
「た、食べれるやい!きっと・・たぶん・・うん、おそらく」
段々声が小さくなるワン子。その様子を可笑しそうに見つめながら関西子が言う。
「『八つ橋』いう甘いもんもあるんや。それならアンタも食べれそうやろ?」
「おう!だな!・・でもなんで関西子はカンサイなんて知ってるんだ?」
「んーそれは・・・・笑われるかもしれないけど夢のお告げで見たんや。それは凄い地域だったなぁ!
けどなぁ、なぜか滅ぼされてしもたらしいんや。私はあの感動をワン子にも、みんなに味わってもらいたい!
ぜひぜひ復興させたいんや!」
「いや、私は笑わないぞ!関西子の熱い思いはわかった!うちもそのヤツハs・・じゃなかった、カンサイを復興させてみたいぞ!」
「今『八つ橋』って言おうとしたやろ?」
「い、いやカンサイを復興させようといっただけだよ」
「まぁええわ。そのためにも是が非でも宝をみつけなあかん。ワン子も協力してくれるか!?」
「おうモチロンだぜ!」

「よっしゃー!関西を復興させるためにがんばるでー!えいえい!」
「「おー!!!」」


【END】


「全船員入場」

「全船員入場」

シルバーフック「宝を手に入れる海賊を見たいか――――ッ」

船員「オ――――!!!!」

シルバーフック「ワシもじゃ ワシもじゃみんな!!」

全船員入場です!!

ゲイ殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み人間凶器が甦った!!!
片玉!! オーマン・ディックだァ――――!!!

ヤンゲロスの戦術はすでに我々が完成しておりますぞwwwwww
役割論理ダンゲロス論者だァ――――!!!

近づき次第沈めまくってやる!!
船の墓場代表 サルガッソーの悪魔だァッ!!!

海上の戦闘なら船の性能がものを言う!!
陰陽道の秘術 バトルシップ ON・MYO―JI!!!

民主主義を知らしめたい!! 美人過ぎる船長 アタリだァ!!!

ゴブリンは嫌われ者だが部隊員なら全ゴブリンオレのものだ!!
突撃部隊隊長 ボブ・ゴブリンだ!!!

武器対策は完璧だ!! 目にも留まらぬ抜け方 L・ローズ

海賊団のベスト・ディフェンスは私の中にある!!
泣かせるキャラの神様が来たッ ヲートマタ!!!

このゲームには絶対に敗けん!!
関西の復興見せたる 希望の星 パンドラ関西子だ!!!

バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!!
ニシローランドのフンバホ=ドムデンバルベル ゴリラだ!!!

毎度おなじみ例のアレが上陸だ!! エクスキューショナー 空飛ぶサメの群れ!!!

宝箱が欲しいからパイレーツ(海賊)になったのだ!!
宝箱の中身を見せてやる!! ディヴィと人喰い宝箱!!

ちんぽには勝てなかったよとはよく言ったもの!!
厨二病の筆頭が今 海戦でバクハツする!! 戦乙女 ヴァルキリー・ヘリオンだ―――!!!

黒髪清楚系ヒロインこそが噛ませ犬の代名詞だ!!
まさかこの女がきてくれるとはッッ 斧寺さん!!!

闘いたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!!
モブのフリーソルジャー サムライAだ!!!

オレはリッパー最強ではない格闘技で最強なのだ!!
御存知CQC ジョン・ザ・リッパー!!!

剣術の真髄は今や白金にある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!
ギルバート・プラチナだ!!!

あざとおおおいッ説明不要!! ボクっ娘!!! メガネ・敬語キャラ!!!
サリット・シェルフリドだ!!!

作戦は嫌がらせできてナンボのモン!!! 超腹黒参謀!!
本家日本から海原さよりの登場だ!!!

タカラはワレのもの 欲しがるやつは思いきり吸い思いきり殺すだけ!!
宝箱の中身 逸見ミク!!

大物を狩りに島へきたッ!!
妄想の成功者 大物狩り(自称)のサンシロー!!!

小物臭に更なる磨きをかけ ”噛ませ犬”かませワン子が帰ってきたァ!!!

そのあざとさに死角はないッッ!! 幼女と男 ロレンとリルラッ!!

神聖なる秘術が今ベールを脱ぐ!! 幽霊帝 ハイミ・デスランザだ!!!

仲間の為にならオレはいつでも全盛期だ!!
怒れる錨 錨鎖怒々丸 !!!

医者の仕事はどーしたッ 欠けた手足 もはや戻らずッ!!
治すも壊すも思いのまま!! クリープ!!!

特に理由はないッ マザコンが強いのは当たりまえ!!
サンライズにはないしょだ!!! 白い三角木馬!
ホワイト・ベニスがきてくれた――――!!!

魔人として目覚めた巨大な腐肉!!
海賊団のグロテスク・プラム 梅干しだ!!!

海賊だったら音楽家を外せない!! ギター弾き 面河渓騙部だ!!!

超一流ビッチの超一流のセックスだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
ボュピムビパ族の少女!! メャペムマ!!!

自己同一性はこの男が崩壊させた!!
私は誰でしょう!! 沼男だ!!!

格ゲーの王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ クローン人間ッッ
俺達は君を待っていたッッッ範馬慎太郎の登場だ――――――――ッ

加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを3名御用意致しました!
面倒くさい系ヒロイン 捕らわれの姫!!
DQNネーム 清村陽光!!

……ッッ  どーやらもう一名はキャラ説が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ

キャアアアアア!!ウメボシガシャベッタアアア!!


描きやすいアイツ×逸見ミクSS

――――――それは肌寒い深夜のことであった。
その海域の気候を鑑みれば異常なほど冷え込んでいた。
天上に広がる闇を照らす月の光は淡く、切れかけの電灯を彷彿させる程に頼りない。
海面も穏やかで、時折波音がする以外は静寂が辺りを包み込んでいた。
其処に浮かぶ一隻の海賊船。
昨今の海賊と同じく伝説の大海賊の秘宝を求めて航海してる船だ。
昼間は騒いでいた船員達も今は寝静まっている。
よもやこの寒空の中、活動するものはいないと思われたが・・・・

「ふい~、ちょーさみー」

少し高めの女性と思われる声が船内に密かに聞こえた。
声量は意図して抑えられているのか、船員達の眠る寝室まで聞こえることはない。

「今日はやけに寒いなぁ・・お、美味しそうな魚みっけー♪」

音源は食料庫。
保存用に塩漬けされた魚や肉、野菜などが大量に置いてあった。
そしてまず間違いなく食べ物ではないものが一つ混ざっていた。
あくまで外見のみで判断するなら、それは宝箱だった。
しかし先程から続く独り言のような声はその宝箱から発している。

「うぇっぷ、ちょっと塩効き過ぎじゃない?・・しょっぱいなぁ。」

半開きになっているその宝箱から人間の手のようなものが出ていて、食料を物色しているかのようにあれこれ手に取ったりしていた。
たまにその手は食べ物を宝箱の中に入れていく。
それに引き続き咀嚼する音。
そしてまた手は新たな食料を求めて動く。
この一連の動作がしばらく繰り返されている。

「もぐもぐ。昨日は奴らが夜にパーティとか開くもんだから何も食べれなかったからなぁ・・こっちの身になってみやがれってのー」

もしこの場の音声だけを聞いているものがいたら、こう断ずるだろう。
「船員の誰かが盗み食いをしている。」と。
だが音声だけでなく視覚的な情報も加えたらどうか。
豪胆な船乗りさえ、この光景には唖然とせざるを得ないだろう。
なにせ宝箱から手が出て、さらに言語を話しているのだ。
勿論船員は手の生えた話す宝箱なんて知らない。
加えていうなら先程から漏れる声は船員たちが見知ったものではない。

ただ宝箱自体は船員達もみたことがあるはずだ。
―――なにしろ彼ら自身が船に運び込んだものなのだから。
宝を発見したと海賊たちは狂喜してこの船には運び込んだものの、何やら雰囲気が怪しかった。
触らぬ神に祟りなしということでこの宝箱は船内で安置されていたはずなのだが・・今はなぜか食料庫にある。

「っ!いったーい!舌噛んだ・・・」

さて、この人語を話す宝箱はいったいなんなのか。
―――――その正体は魔人である。
名は逸見ミク。
宝箱自体の名前ではなく宝箱の中の少女の名前であるが、少女と宝箱を切り離して考えることはできないだろう。
彼女の魔人能力は宝箱があって初めて成り立つものであり、彼女は宝箱の中で今までの人生を歩んできたのだから。

宝に目が眩んだ海賊を宝箱の中に引き込み殺すのが彼女の存在意義であるが、前述の通り開けられることなく放置されていた。
ミクはその状況に困惑していたが船が出港してしまっては船をでることもできない。
嫌々ながらもこの状況を受け入れることにしたのだ。

しかし、一つの問題があった。
それは食料の問題である。
魔人とはいえ、常時宝箱の中に入っているとはいえ、お腹は空くのだ。
そんなわけで現在絶賛盗み食い中な訳である。
ほとんど毎晩食料庫に通っていたため、足の生えた宝箱が船内を徘徊しているという噂があるとかどうとか。

「ふう・・そろそろお腹いっぱいだなぁ。戻るか。」

食事に満足したのか、宝箱から足を生やし元の置かれていた場所に戻ろうとするミク。
現状ただでさえ怪しまれているのだ。
これ以上不審に思われたら確実に海賊を殺せる機会を失ってしまう。
それは逸見ミクの存在意義を無くしてしまうことと同意である。
それを防ぐため、彼女は盗み食いが終わったら律儀にぴったり元の位置に戻っている。

(他の海賊と交戦にでもなれば混乱に乗じて誰か殺すことができそうなんだけどなぁ・・)

ぼんやりとそんなことを考えていると元の場所に着く。
足を収納し、一見なんの変哲ない宝箱になる。
この格好のまま次の夜まで動けないのだがミクは気にしない。
海賊を狩るためにならこれくらいの辛抱は厭わないのだ。

肌を突き刺す寒さに震えながらじっとして、しばらく時が経った。
なにやら物音が聞こえる。
船員が起きたのか・・と思うもそこで違和感を覚える。
海賊の履く靴が響かせる硬質の音ではなく、泥だらけの長靴を履いて地面を歩いた時のような粘性を帯びた音だった。

(・・・?濡れたままの靴で誰か船員が歩いているのだろうか・・)

宝箱の中に入っているため視認することはできない。
しかしその音はなぜか、少しずつ逸見ミクの方に近づいていた。

(もしかして・・・盗み食いがバレたかなぁ?)

本人としては細心の注意を払っていたはずなのだが、この船に乗る海賊には魔人が多い。
姿や気配を消す能力を持つ魔人がいる可能性も否定できない。
だが見つかろうと別に構わないのだ。このまま近づいてきてくれればむしろ好都合。
気になって宝箱を開けた瞬間、引きずり込んで殺してしまえばいいのだ。

―――――ひたひたと近づく足音。
宝箱の前で足音が止まる。
どうやら狙い通りこの宝箱に興味を持ち、立ち止まってくれたようだ。

(海賊狩れるのは久しぶりだな・・あぁ、今からわくわくする・・!)

宝箱に何かが触れる。
ミクは獲物を狩れる悦びに興奮し、動悸が止まらない。
無明の空間である宝箱の中に一筋の光がさしこむ。
―――――宝箱が開けられたのだ。

開放と共に外の景色が見えてくる。
逸見ミクは今がチャンスとばかりに飛び出すッ――――!!

「え・・・??な、なに・・・これ・・・」

        • しかし、彼女の勢いは止まってしまった。
襲おうとした獲物があまりに予想外過ぎたために。

「梅干し・・!?え、は・・?」

そう、それは梅干しに酷似しているシワの寄った赤黒い肉の塊であった。
球体の形状をとっており、表面には粘液がまとわりついている。
その球体の周囲には酸味の帯びた腐臭を撒き散らしていた。
そして、更にミクを驚愕させる事態が起こる。

『オマエ・・・ウマソウダナ・・・』
「!?」

なんとその梅干に似た何かが喋ったのである。
そして頭頂部から赤黒い触手が出てくる。
その触手がドロドロとした粘液をまといゆっくりとミクの方に近づいてくる。
粘液が一滴床に落ちると、ジュウッという音を立てて床を溶かした。

「ひい!?な、なによこの梅干し・・!!いったいなんなのよ・・!」
『ソノ体ヲ・・・・ワタシノ糧ニサセテモラオウカ・・・』

――――――もはや触手は目前にまで迫ってくる。

「イヤアアアアアアアア!!」

        • ミクは絶叫し、バタンと勢いよく箱を閉じ、そのまま気絶した。

『何ダ・・ツマラヌ・・・意識ノアル獲物デハナクテハツマラヌ・・・マタ今度ダ・・』

――――――粘液の滴り落ちる音が遠ざかるのを聞きながら。

【END】

モィーミビメャペムマ


 ある港に立ち寄った海賊船は食糧や水、その他物資を手早く補給すると、1人の少年を置いて海軍がやって来る前に発っていった。

「ツナミさん……大丈夫かな僕?」

愛らしい容貌の少年は自分を愛してくれた女性を見上げ、涙ぐんで言う。死や奴隷に堕ちる危機は遠のいたとはいえ、ここから故郷に帰ることが出来るのかについてはまだ不安がいっぱいだった。

「ま、絶対大丈夫とは言えねーけどさ、心配すんなって! お前はアタシが愛した男だぜ?」

そう言うと、ツナミは自身の豊満にセシリオを埋めるように抱き締め、そして薄い唇を奪う。数十秒の後、2人の唇が糸を引いて離れた。
 そして、最後にセシリオの柔らかな髪をくしゃくしゃと撫でてやると、仲間達の呼ぶ声に答えて船へと乗り込む。

「じゃーなーセシリオ! 元気でやれよ!」

甲板から手を振るツナミにセシリオも手を振り返す。船影が水平線の向こうに消えるまで、2度と会うことは無いだろう初めての女性に、セシリオは手を振り続けた。

✝✝✝✝✝

「ごめんね、ツナミさん……」

船室の床に座り込んで、セシリオは思う。
港町で自分の故郷へ行く船を探していると、身なりのいい男が声をかけてきた。彼が副船長を務める船は少年の故郷からほど近い港に立ち寄るという。文字通りの渡りに船でセシリオは当然のように飛びついた。

船に乗り込むと清潔な衣服を着せられ、海に出て以来食べたことのないきちんとした食事を与えられる。船には自分と同年代の少年少女が大勢乗っていて、寝床が一緒なのでやや狭苦しいことを除けば皆快適に過ごしていた。大人の船乗りに怒鳴られ、殴られながら働いていた頃とは大違いだ。船長は天使では無いかと思った。恐らく生まれてから今までで一番、神様に真剣に感謝した。
だと言うのに、一緒に乗っている子供たちの多くは、浮かない顔をしている。理由を聞いても、語ろうとはしない。

セシリオがその理由を知るのは、その日の夜中のことであった。尿意を感じ、起きた彼は甲板へ行こうと寝室を出て廊下を歩いていた。

「ああっ……やめ、んっ!」

船長室の前を通ったとき、その声が耳に飛び込んできた。その声は船長室から聞こえてくる。ドアに耳をつけ、済ましてみれば、さらに声は続く。

「ひぃっ……船長! お尻、痛いよぉ!」

「はっは! そう言いながらここを大きくしてるじゃあ無いか。体は正直だなあジョン」

数秒、理解が追いつかなかった。聞こえてくる声の船長でない方の主は、一緒に乗っている大勢の少年少女の1人であった。これに似た声を、つい先日聞いた。自分の喘ぎ声だ。
 粗末なベッドの上でツナミに童貞を奪われ、発した声。性に無知だった彼だが、羞恥心は行為の最中常にあった。その声を、今ジョンが発している。相手は……

「船長……? 男同士で……?」

男女のセックスさえツナミとの行為まで存在は知っている程度の性知識しか無かったセシリオにとって、男が男を、中年男が自分と同年代の少年を犯すなど想像の埒外であった。ギシギシとベッドが軋む音と共に、ジョンの苦痛と快楽が入り混じった声、船長が息を荒くしながらジョンの反応と愛らしさを褒める声が廊下に漏れだしてくる。

 その船も一種の奴隷船であった。ただし、セシリオが知るような労働用の奴隷では無い。性奴隷である。海賊から買われた者や親に売られた者、セシリオのように騙された者、様々いるが整った容貌の少年少女がこの船に乗せられ、競売が行われるとある国の奴隷市場へと運ばれて行くのだ。
 そして市場に出す前、彼らの「味見」を出来るのが船長の特権であった。市場までの航海中、船長は毎晩2、3人の子供たちを自室に呼び出してはその幼い性を貪るのだ。

 小便を済ませ、寝室に戻ってもセシリオは眠れなかった。明け方頃、ジョンと他2人が共に戻ってきたが、ジョンともう1人の少年はげっそりとしていたのに対し、少女だけはつやつやとしていた。

「僕も呼ばれて、されちゃうのかなあ船長に」

自分が性奴隷として売り飛ばされるなどセシリオは知る由も無いが、しかし故郷に乗せて行ってくれるという約束については、かなり怪しいと思い始めていた。一生この船に乗せられて、あの船長の夜の相手をしなければならないのかも、それならあの商船で酷い扱いを受けながら働いていた頃の方がマシだった、と。
 今夜犯されるのやも知れぬ尻穴をズボンの上から撫で摩って、セシリオは身を震わせた。

✝✝✝✝✝
 その日の昼に立ち寄った港で、奴隷船は物資と共に2人の少女を乗せた。1人は他の子供達と同年代の、白人の少女であったがもう1人は船室の皆の目を引いた。
年の頃は皆より4、5歳上に見える。浅黒い肌、整ってはいるが西洋人とは趣の異なる顔立ち、かつて手足を拘束していたのだろう、鎖の切れた錠。綺麗な身なりをした他の子供達とは違い、差別的な物言いではあるが彼らの運命である「奴隷」という言葉を露骨に連想させる外見である。

少女はセシリオの隣に腰を下ろすと、彼のことを間近で舐めるように見てきた。セシリオが「どうしたの」と聞くと、聞いたことの無い、聞き取りづらい言葉で反応する。セシリオはきっと彼女が自分の部族以外の人間とあまり接したことが無く、珍しいのだろうと解釈した。少女から漂ってくる饐えたような匂いに、何故かツナミを思い出して股間が疼いた。

 その夜、セシリオは隣で眠っていた少女と共に、船員の男に起こされた。

「船長室までついてこい」

その言葉を聞いて、鳥肌が立った。少女はなんだかよくわからないような様子でついてきたが、セシリオは絞首台に連れて行かれる罪人のような気持ちである。

「連れて参りました」

「入り給え」

ややあって、船長室のドアが開かれる。ランプに照らされた部屋の中心では革張りの椅子に腰掛けた船長が待っている。ギラついた笑みを浮かべ、ズボンの股間は既に盛り上がっている。

「ひっ……」

「モィーミビィィィッ!」

少女が夜闇を劈くように咆哮した。セシリオも2人の男も呆然としたが、その一瞬に彼女は動き出した。猛獣のように船長に躍りかかり、椅子に座ったままの彼をその勢いで押し倒す。船員の男は少女を止めようとするも、船長が制止する。「これもいい」と思ったのであろう。

 少女は船長の上に馬乗りになると、自らの肢体を包む上下の衣服を尋常で無い力で引き裂いた。裂帛と共に、曝け出される裸体。セシリオから見えていたのはその後姿ではあったが、しなやかについた筋肉の上に少女らしい肉がついた身体のライン、照らし出された褐色の肌には劣情を擽られる。ぷりんと張った尻の割れ目と、背中の向こうに揺れる乳房の影に、彼は勃起していた。

「おお、やはり『土人』も夜の相手には悪くないな」

見事な女体を見上げて、船長は言う。船長の言葉の意味も解すことなく、少女は彼の股間に手をやった。ジッパーを下ろすということもせず、自身の衣服と同様にズボンの股間部分を引き裂いたのだ。赤黒い逸物がびんっと跳ね上がった。
 それを見た瞬間、少女は尻を持ち上げ、そして既に濡れそぼっていた女陰で逸物を飲み込む。

「うっ……おお! おお!」

信じ難い快楽に襲われ、船長が太い声で喘ぐ。少女が腰を動かすと、奥まで飲み込んでくれていた膣が一瞬離れるのが我慢ならず、自ら腰を突き上げてしまう。これまで少年少女をそのようにさせたことはあるが、まさか自分がそうされるとは思わなかった。
 少女の膣は、主の性質をそのまま反映したかのように、ペニスと雄の精を喰う怪物であった。船長が射精したのは挿入から3秒後であったが、少女の腰は上下をやめることは無い。船長のことなど一切考えず、ただ自分の欲するがまま、である。

「プィメルェッ!」

「ううっ! おうっ! ああっ! もう、そろそろ……ううっ!」

快楽に嬌声をあげていた船長も、3度、4度と射精すると苦しもを訴える呻き声を発するようになり、セシリオの隣の船員に助けを求めて手を伸ばした。

「おいっ! お前、船長から離れっ……ぬう!」

船員が詰め寄ると、少女は身体を後に向け、彼の既に勃起していた逸物をむんずと掴み、ズボンを履いたまま激しくしごいた。船員は抵抗もかなわぬまま、呻き声をあげ射精に導かれてしまう。

「モィーミビ!」

精液を撒き散らしながら少女は勢い良く立ち上がり、今度は船員を襲う。年は若いが船長ほどの精力が無い彼は1分足らずで絞りつくされてしまう。それを呆然と見つめながら、セシリオは不動のまま2度射精していた。

「あっ、ああ……」

今度は何も言わずに、少女は飛びかかる。まだ皮を被った幼いペニスを凄まじい勢いで貪られる。最初からあまり考えてはいなかったが、抵抗などどうでも良くなる快楽の奔流であった。数日前と同様、股間の上で腰を振られながらセシリオは思う。

(でも……ツナミさんは、優しかったな)

そう思ったのを最後に、セシリオの意識は薄れていった。

✝✝✝✝✝
「んっ……ど、どうなったんだろうあの後?」

セシリオが意識を取り戻したとき、既に朝を迎えていた。当然のように下半身は丸出しで、白濁液に汚れている。船長と船員も室内に倒れている。船員はまだ起きていないだけだが、船長は死んでいた。
 廊下に出ると、下半身丸出しの船員たちが倒れている。自分たちの船室では、むせ返るような栗の花の臭いを漂わせながら、死屍累々といった様子で子供達がぐったりとしていており、少女たちは股間に手をやり、あの饐えた匂いを漂わせていた。中には失禁している者もあった。

「あ、あのお姉さんがやったのかな……全員?」

それが一番妥当であるが、それにしてもと寒気を覚えながら甲板に出ると、やはり数名の船員が倒れていたが、それよりも驚くべき光景がそこにあった。

船のすぐ隣に、もう1隻の船がつけていたのだ。それも海賊旗を掲げている。あのときの恐怖と夜の思い出が蘇ったが、2隻の間に渡された橋を渡って来たのは、幼気な少女であった。

(か、海賊……? あのお姉さんと同じくらいの年かな……)

黒髪の東洋人と思しき彼女は、凶悪な海賊などとは別人種に思えるが、ツナミも海賊であったし、あの少女も「ああ」なのだ。

「オノデラ! プィトユー!」

「もう! メャペムマちゃん、勝手によその船に乗っちゃダメでしょ」

可愛らしく頬を膨らませ、駆け寄ってきた褐色の少女――メャペムマを叱りつける黒髪の少女。セシリオの姿を認めると彼女は「大丈夫?」と声をかけようとした後、丸出しの下半身を見てカアッと顔を赤らめる。

✝✝✝✝✝

「じゃあ、故郷まで頑張ってねセシリオ君」

「セシウィロィオ、モィ……ンッ」

「うん、ありがとう。メャペムマさん、斧寺さん」

セシリオをはじめ奴隷船に乗せられていた子どもたちは保護され、近くの港に下ろされた。別れの際、セシリオの股間に手を伸ばそうとするメャペムマを斧寺がガッシリと抑える。

 髑髏を風になびかせ、遠ざかる船影に数日前と同様手を振りながら、セシリオは思った。

(ツナミさんもあの人たちも、……いい海賊もいるんだな)

そして

(あの海賊団2つが戦ったりしないよね……?)

嫌な想像をしながらも、この広い海でまさかと、セシリオは自分の考えを笑って、他の子供達の群れに加わった。

To be continued.

『メャペムマちゃんと奴隷船の船長さん』


【主音声】

「ブヒヒッ……海戦よりも俺はお前の身体に興味があるんだぜ!」

「…………」

「ボーっとしてねえで早く来な! お前に逃げ場はねえんだ!」ぐいっ

「っ!」どさっ!

「ブヒヘヘヘ! 俺は相手が処女だろうと容赦はしないぜ!」

「…………!」

「怖いか? 恐ろしいか? 安心しな、すぐによくなるからよォーッ!」

「っっ!」

「ヘヘヘ、好きでもない男に処女を奪われた気分はどうだ!? 屈辱か~~~!?」

「アーッ! び、ビェピム、メポっ!」

「ハッ! 上の口は嫌がってても、下の口は正直みたいだぜ!」

「プィメルェ――――ッ!」

「ブヒヒャァーッ! ハァーッ、ハァーッ……ヘヘヘ、これから毎日楽しみだぜ……!」

 ――――こうして、メャペムマの地獄めいた日々が始まった!



【副音声】

「ブヒヒッ……海戦よりも俺はお前の身体に興味があるんだぜ!」

『(ああ、遂に夢にまで見た生おちんちんだわ……どきどき、わくわく)』

「ボーっとしてねえで早く来な! お前に逃げ場はねえんだ!」ぐいっ

『きゃっ! (強引な生おちんちん! 素敵!)』どさっ!

「ブヒヘヘヘ! 悪ィが、俺は相手が処女だろうと容赦はしないぜ!」

『(初めての生おちんちん、忘れられない思い出だわ……乱暴にして欲しいな、なんて)』

「怖いか? 恐ろしいか? 安心しな、すぐによくなるからよォーッ! ブヒヒィーッ!」

『うひゃぁああぉ!(にゃにこれえぇええ!? おちんちんしゅごいぃのぉおおょぉぉぅ!)』

「ヘヘヘ、好きでもない男に処女を奪われた気分はどうだ!? 屈辱か~~~!?」

『しゃいぃこうにゃのぉおおお゙ぉおォおんっ! もっとちょうらいぃいっっ!!』

「ハッ! 上の口は嫌がってても、下の口は正直みたいだぜ!」 ※上の口も正直です

『にゃまお゙ぉおォおんちんちんぎも゛ぢいぃ゛いぃ゛ぃのぉおお!!』

「ブヒヒャァーッ! ハァーッ、ハァーッ……ヘヘヘ、これから毎日楽しみだぜ……!」

 ――――こうして、メャペムマの天国のような日々が始まった!

                                              おしまい

ロレンとリルラ 出会い編

彼はいつも愛用のパイプをくゆらせていた。
その匂いが好きだった。

彼は私に色々な話をしてくれた。
その声が好きだった。

彼は私が何歳になっても頭を撫でてくれた。
その大きな手が好きだった。

私はそんな父様が大好きだった。


~~~~「ロレンとリルラ 出会い編」~~~~

父様が亡くなった後のことはよく憶えていない。
泣いて、泣いて、ただひたすらに泣いて。
否定して、拒絶して、認めることなんて出来ずに。
父様に会うことはもう二度と出来ない
そのことをやっと理解した時、私は文字通り言葉を失っていた。
話せなくなった私を、母様は大変憐れんだが、そんなことは私には些細な問題だった。


ある日、屋敷を抜け出した。
父様がよく話してくれた、”海”というものを見てみたくなったからだ。
母様が外出したタイミングを見計らって、執事とメイドが最も少ない時間帯を選んで。
走って、転んで、ただひたすらに走った。
フリルの付いた可愛らしいシャツに土煙が舞い、すべすべした手触りの上質なスカートには泥が跳ねる。
もうどれくらいの時間が経っただろうか。
足はまるで自分のモノでは無いように思えてきた。
心臓は大きな音で警鐘を鳴らし、喉にひりついた痛みを感じる。
それでも、私は走ることを止めなかった。


「へへへ、どうしたんだいお嬢ちゃん。 泣いて助けを呼んでもいいんだぜ~?」

下卑た笑い声に、まるで心臓を握りつぶされるかと錯覚した。
走り続けた私が迷いこんだのは、スラム街だった。
眼前には、まるで私を値踏みするかのようにニヤつく男が三人立っている。

「……………………っ!!」
助けて。助けて。

「あ~ん? 口をパクつかせて何やってんだ?」
「……アニキ、この娘、もしかして喋れないんじゃ」
「そりゃあいい。 騒がれる心配は無いってわけだ」

じりじり、と歩を進める男達。

「……………………っ!!」
助けて。誰か、助けて。

「心配するなよお嬢ちゃん。 きっと、高く買い取ってもらえるからな~」

「……………………っ!!」
助けて。誰か、助けて――――

――――父様。

「……女の子の叫び声が聞こえるから何だと思ったら。 何やってんだか」

ふいにそんな言葉が聞こえた。
幻聴……では無いらしい。
男達も動きを止め、、声のする方角を振り返り、その場をぎろりと睨みつけた。
そこには、ボサボサな銀髪を掻き上げ、煙草を吹かす男。
何故か、男の吐き出す大きな紫煙に目を奪われた。

「……チッ!」
三人のリーダー格と思われる男は、不機嫌そうに舌打ちし、声も出さずに手下を促す。
銀髪の男に、二人が殴りかかるが――――
まるで、最初から分かっていたかのように。
まるで、シナリオの決められた歌劇のように。
銀髪の男は易々と拳を避けた。
否、殴られるのを避けたのではない。
銀髪の男が避けた場所を殴っている。
そんな風に見えた。

「さて、と。 大丈夫だったかい?」
私を攫おうとした男達を退け、銀髪の男が人懐っこい笑顔を向けてくる。
あ、ありがとう。
……って、言っても分からないけど。

「……ん? お礼なんていいよ」

「…………!?」

「……ああ、分かるよ。 さっきも大声で『助けて』って叫んでただろ? って、ビックリするのもしょうがないか」

気がつけば、私は目を大きな丸にしていたらしい。
そんな私を見て、銀髪の男は楽しそうに笑う。
男につられて私も笑う。

「……さて、家はどこだい? 何だったら大通りまで送っていくよ?」

ハッと我に帰った私は、自分でも驚くような提案をしていた。

「……………………!」

「ん? ……おいおい、冗談を言っちゃいけないよ?」

「……………………!!」

「……本気かい?」

「……………………!! ……………………!!」

「……あー。しょうがないな……。 まぁ、二人で海賊ってのも悪くない……か」

銀髪の男は、そう言って私の頭にぽん、と手を置いた。
大きな手。
大好きだった父様と同じ、とても大きな手。
揺り籠のように、すっぽりと私を包み。
ふわふわとしたその手は、まるで――――。
それは、とても、とても心地良かった。

「俺はロレン。それで、お前は……そうか、リルラか。 よろしくな、リルラ」

こうして、私はロレンに連いて行こうと決めた。
父様の言っていた”海”を見るために。
”海”を渡り、世界を見るために。
今までの生活を、今までの自分を捨てるのは、ちょっと勇気がいる。
でも、私には恐れは無かった。
ロレンと一緒なら、今まで見れなかったものが見れる。
ロレンと一緒なら、どんな苦難も乗り越えられる。
ロレンと一緒なら――――。

話せない私を、ロレンは手放さなかった。

私には、後悔なんてない。


あ、そう言えば……

「…………?」
「ん? ああ、俺たちの海賊団の名前? そうだな……『教祖様海賊団~秋山澪ちゃんはカワイイ~』なんてどうだい?」

……ちょっと後悔した。

<了>

宝島に上陸する、遙か前のおはなし。


港から近い小高い丘を、二人の人物が歩いている。
一人は、ドレスを着た気品のある美しい女性である。
しかしその手には手錠がはめられており、一目見ただけで自由を奪われていることがわかる。
実際、丘を歩く足取りもどこか重たいように見えた。

彼女はさる国の姫だったのだが、今はこうして海賊に捕らわれの身となっている。
しかし虜囚となってなお、内側から溢れる気品と高貴さが彼女の身を守っていた。
今もこうして、島に上陸したのを契機に気分転換の散歩を許されている。
――もちろん、脱走防止の見張り付きという条件のもとで。

【いやあ、いい天気だねえ!日射しが目にまぶしい位だよ!
 蝶々が舞い、鳥がさえずり、花が笑う!いやあなんて日だろうね今日は!】

そしてその見張りというのが――面河渓 騙部。
襤褸を纏い目隠しをした『音楽家』である。
背中にはその証拠にギターを背負っているが、弦がなく楽器としての用を為していない。

(……何が『目にまぶしい日射し』ですか。曇ってるし、そもそも目隠ししてるくせに)

溜息をつきながら、姫が内心で毒づく。だが、口には出さない。
口に出したところで、彼に皮肉どころか真っ当な指摘すら通じないことは――経験済みだった。

外見から醸し出す陰鬱さと正反対の、陽気で明るい喋り口。
音楽家でありながら、音を一切出さない楽器を大事に扱い。
紡ぐ歌は、メロディもリズムも内容さえもデタラメ。
何を言っても言われても、数分後には忘れているような適当さ。
それが、面河渓騙部という男の構成要素である。

しかし、彼女にとっては。
この散歩は一種の災難でありながら、好機でもあった。
もちろん、好機というのは――脱走の、である。
彼女がそう思うに至ったのは、単なる自棄や無謀さからではない。
船で長い間、海賊と共に過ごしたことでわかった一つの事実。

面河渓騙部は――役立たずである、ということだ。
身体能力は、下手をすれば温室育ちの自分よりも低い。
日頃からの虚言癖があるので、彼が脱走を報告しても仲間は信じない。
つまり、今なら――走って逃げれば、逃げ切れるかもしれない。

そんな考えが、脳裏をよぎった瞬間だった。

【ところでさあ、お姫さま】

不意に、騙部の口調が変わる。
それまでの表面的な明るさが、一気に裏返しになったように――おぞましさに変わる。

【逃げよう、とか考えてないよね?】

「!っ…… ま、まさか。いくらなんでも、そこまで馬鹿ではありませんわ。貴方、みたいに」

【……今なんだかすごーく遠回しに、僕が天才だって言われた気がしたんだけど。
 まあそれならいいや。手錠してるんだし、転ばないように気をつけてね】

心の奥底を見透かしたような、恐ろしく的確な一言が彼女の心を震えさせた。
続くいつものくだらないコメントも、その上滑りっぷりがかえって恐ろしく感じる。

(……どうせ、いつもの適当な言葉ですわ。聞き流せばいいだけです、ええ)

姫が首を横に振りながら、まとわりつくような恐怖を振り払おうとする。
しかし、次第に騙部の存在そのものが――不吉に思えてくる。

早く、この男のそばから離れなくては。

その焦燥から、彼女はついに行動を起こす――


「あの、すいません」

丘を過ぎ、森にさしかかったあたりで姫が口を開く。

「はしたない話で恐縮ですが、その……用を足したくなってしまいまして」

【ん?足せばいいじゃない、なんなら引いたって掛けたって割ったっていいと思うよ?】

返ってくる返事に頭を抱えながらも、さらに言葉を続ける。

「……船や町に戻るまで我慢していたら、漏らしてしまいそうなのです。
 貴方、私に小便の染みついたドレスで帰路につけと仰るのですか?」

【世の中にはそっちのほうが興奮する、って人もいると思うけどなあ。
 あっでも僕はそういう趣味ないよ!? 女の子の脇は舐めたいって思ったことはあるけど!】

「……と・に・か・く。
 今から茂みで用を足しますので、見ないで頂きたいのですが」

【見るも見ないも僕目隠ししてるんだけど……まあいいや。早くしてね?】

苛立ちを抑えながら、茂みへと一人入っていく姫。
そんな彼女と正反対の方向を向いて、鼻歌を歌い出す騙部。


――数分後。

【……えらく長いね。大きい方かい?
 そういえば船の食事ってあんまり繊維質とか摂れないもんね。
 せめてここではいい食事していい排泄したいものだよねえ。いい排泄ってなんなのかわからないけれど。

 ……あれ?】

デリカシーのない発言をしながらも、騙部はようやく気付く。

――姫が、逃げたことに。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「はぁっ、はぁっ……」

どれくらい走っただろうか。
決して運動に適した服装ではない中で、森の中を闇雲に走り続けた。
ドレスは破けて汚れ、あちこち泥だらけだ。
森を抜けて町まで行けば、助けを求めることもできる。
それが出来ずとも、どこか身を隠す場所さえあれば――

助かりたいと、必死で走る。
母国のこと、恋人のこと、これからのこと。
いろいろな考えがよぎる中、ただひたすらに走った。

そして、足下に地面がなくなったことに気付いたのは、身体が重力に引っ張られた直後のことだった。
崖から落ちる自分を自覚したとき、姫の脳裏によぎったのは――よりによって。

あの不吉で陰鬱な音楽家の姿だった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「……っ!?」

目が覚めたとき。
彼女は『いつもの部屋』にいた。海賊船の一室、申し訳程度の個室。

ああ、脱走に失敗したのか――彼女はあっさりと諦観した。
が、その諦観は直後に……疑問に変わる。

「……え?」

ドレスが、綺麗になっている。どころか、解れ一つすらない。
着替えさせられたのだろうか? ――違う。これは脱走当時着ていたドレスに間違いない。

【やあ。気がついたかい?】

「っ!?」

不意に声をかけられ顔を上げると――そこには騙部がいた。

【んもう、いくら出ないからって女の子が何時間も茂みでふんばってるものじゃあないよ?
 ああいう茂みには蛇とか虫とかいたりするんだから。】

「…………」

【ま、大事な人質というかお姫さまというか……とにかくそんな感じなんだから。
 無茶はほどほどにね?】

そう言い残すと、部屋を出て行く騙部。
その背中のギターを見ながら、姫は複雑な心境に陥っていた。

彼の服やギターが――散歩の前よりも、ズタズタになっていたことに、気付いてしまったから。


ゴブリン突撃部隊長=ボブ・ゴブリンSS


ゴブリンは嫌われ者だった。
人型でありながら醜悪な見た目と獰猛な性格。
彼らは人々から受けいられず迫害の対象であった。
しかし海賊が彼らの屈強な体と勇猛さを買って傭兵として雇うようになってからは、ゴブリンの扱いも多少は変わった。
      • あくまで「戦力」として見直されるようになっただけだが。
そうしてゴブリン達も雇われる為に必死にエリートを育成するようになる。
ボブ・ゴブリンもまた、エリートとして育成されたゴブリンの一人だった。

いつもの様にボブ・ゴブリン率いるゴブリン突撃部隊は港で海賊に雇われ、傭兵として海賊の船に乗っていた。
出航から1週間経った夜、夕食の後ゴブリン突撃部隊は隊長によって船内の小部屋に集められた。
隊長ボブ・ゴブリンは隊員の顔を見回して言う。

「お前たち、なぜ集められたかわかるか?」

不思議そうな顔をする者、隣の仲間と顔を見合わせる者、考える仕草をする者。
反応はバラバラだが心当たりのある者はいないようだ。

「それはお前たちが最近たるんでいるからだ!我々ゴブリン突撃部隊は傭兵だ。
雇われたからといって海賊の仲間になったわけでは決してない。
それなのにお前たちはこの船の奴らと馴れ合いやがって・・・言い逃れはできんぞ。俺はこの目でみたからな。」

その言葉にビクリとなる隊員達。
その様子を見てため息混じりに隊長は続ける。

「お前たちは今まで人間から受けた仕打ちを忘れたのか!
蔑まれ、住む場所を奪われ、挙げ句の果てにはゴブリンだからという理由だけで殺されて・・・!!
そんな奴らと馴れ合うなど正気の沙汰ではない。
奴らと俺たちは利用し合う関係であればいいのだ。
人間など、たとえ表面では友好的でも内心では心底俺たちを見下しているにきまっているッ!」

怒りを露わにし、吐き出すように声を荒げる隊長。
隊員のほとんどは怯えた表情で黙りこんだままだ。
しかし、一人の隊員が立ち上がって言った。

「で、でも隊長!斧寺ちゃんはゴブリンだからと差別せずに、俺たちのことを他の船員と変わらず平等に優しく接してくれました!
あの純粋な笑顔の裏に俺たちを蔑むような感情なんてあるわけないっすよ!」

その言葉に隊長が反応を返す前に、別の隊員も立ち上がった。

「そうですよ隊長、人間にはひどい奴らもいますが少なくともこの船の奴らは良いやつばっかりです!
俺が熱をだしたとき、クリープ先生は熱心に看病してくれやした!」

続いて他の隊員達も立ち上がり、船員の良い所を挙げていった。

「パンドラ関西子にはタコヤキ・・?とかいう異国の食べ物を振舞ってもらってもらいました!
本人がいうには紛い物で本物には程遠いらしいですけど、それでも充分おいしかったです!
俺もカンサイを復興させてあげたいっす!」

「サムライAにはモブらしく振舞うコツを教えてもらいました!
これでオイラも今度ドッジボールをやったときに気づかれずに最後まで生き残れそうです!」

「面河渓騙部は色んな面白いエピソードを語ってくれました!
嘘っぽい話ばかりだけど幻想的で楽しかったっす!」

「人間だけじゃねぇ!人外にも良い奴らはいるっすよ!俺が帽子を高所に引っ掛けちまった時は空飛ぶサメにとってもらいました!
アイツ等処刑用のサメと効いて最初はビビってたけど本来の役目を果たす時以外は茶目っ気もあって面白いんすよ!」

「他にも大物狩りのサンシローが―――――」
「錨鎖怒々丸 が――――――」
「ロレンとリルラが―――――」
「秋山澪ちゃんは可愛い!」
「ダンゲロス論者が――――――」
「キャー教祖様ー!!」
「オートマタが―――――――」
「ギルバート・プラチナが―――――」

しかし隊長ボブ・ゴブリンは一喝する。
「ええい!うるさい!!そんなに人間どもと馴れ合いたいか!お前らはゴブリン失格だ!
お前ら全員ゴブリン突撃部隊はクビだー!わかったらさっさとでていけ!」

「そ、そんな隊長・・・」
隊員達は慌てふためき、許してもらえる様懇願するが隊長は一言も聞き入れずそっぽを向いてしまった。
渋々ゴブリン達は部屋を出て行く。

小部屋で一人きりになった隊長。
彼の表情は以前険しく黙ったままだ。
室内を静寂が包む中、ポツリと隊長は一言漏らす。

「わかっては・・・・いるのだ・・・・」

そう、隊長だって決して全ての人間が悪い奴ではないことはわかっている。
ましてゴブリンの中でもエリートとして育てられた彼だ。
他の隊員よりも物分りがよく、そしてこの船に乗る海賊達が良い人ばかりだということも分かっている。
分かってはいるのだが―――――――――

「人間達に味あわされた苦汁・・・それを忘れることなどできない・・・・」
人間から受け続けた酷い扱いを彼は忘れることはできない。
幼い頃からのトラウマは憎悪・憤怒の感情へと昇華され、燃え尽きることのない火種として彼の心の奥底で巣くっていた。
彼だって別にゴブリン以外の存在との関係を拒絶しようとは思っていない。
人間達と友好的な関係を築けるものならそうしたいのだ。
しかしゴブリン達の隊長として、エリートとしての地位もあり、そう簡単に人間を許していいのかという思いもある。
もしかしたら隊員達はこの凝り固まった考えを和らげようとして、人間たちの良さを伝えてくれたのかもしれない・・・

「しかし・・・・」

その日、ボブ・ゴブリンは葛藤に苛まれながら眠りについた。


―――翌朝。
ボブ・ゴブリンが起床すると何やら外が騒がしい。
船員たちの笑い声が聞こえる。
不審に思いながらも小部屋をでて甲板にでた。
すると甲板ではテーブルが並べられ、何か得体のしれない丸い食べ物が皿の上に大量に乗っかっていた。
船員達はその食べ物を美味しそうに頬張り、酒を飲み交わしていたりしていた。
その中にはゴブリン達もいる。
ボブ・ゴブリンを見つけた一人のゴブリンが駆け寄ってきた。

「隊長、起きるの遅かったじゃないですか。今日はタコヤキパーティですよ!」

昨日のことなどなかったように話しかけてくる隊員。
だが隊長は不機嫌そうに答えるだけだ。

「お前達はクビにしたはずだ。隊長とよばれる筋合いはない。それに俺はいま変なパーティに付き合うつもりはない」
その言葉に隊員は悲しそうな表情をする。
しかしそこで別方面から隊長に声がかかった。

「変なパーティとは失礼やな。ウチが丹精込めて作ったたこ焼きやで。ほな、アンタも食わず嫌いせんといて食ってみい。」
テーブルに並んでいるのと同じ丸い食べ物が乗った皿を差し出したのはパンドラ関西子だ。
その食べ物は出来立てなのだろうか、湯気がでており上に乗った鰹節が蠢いている。
そして香ばしく香るソースとマヨネーズの匂い。
食欲を掻き立てる匂いに、思わずお腹の音がなってしまった。

「うまそうやろ~?ほら、食ってみい」
「い、いや俺は・・・むぐ!」
たこ焼きと呼ばれた食べ物を関西子は串でさし、有無を言わさずにボブ・ゴブリンの口の中に放り込んだ。
柔らかい生地の中に少し硬いコリっとした感触がある。たこ焼きというくらいだからタコだろうか。
そしてソースとマヨネーズが絡み合い絶妙な旨みを引き出していた。

「う、うまい・・・」
意固地になっていたボブ・ゴブリンに素直な感想を言わせるほどに、たこ焼きはうまかった。
思わず頬が綻んだ彼の様子を見ると、関西子は嬉しそうに屈託のない笑顔を浮かべた。

「せやろー?これがウチの完全再現版たこ焼きや!皆に関西の素晴らしさの一端でも伝えたくてな、頑張って作ったんや。
まだまだぎょーさんあるから、アンタもこっち来て食べなよ」

そういって関西子はボブ・ゴブリンをぐいぐい引っ張っていく。
強引さもあったが、その行動の根源には優しさがあることをボブ・ゴブリンは感じ取っていた。
席に着くと、ゴブリンたちだけでなく他の船員も暖かく迎えてくれた。

(こいつらとなら・・すこしは良い付き合いが出来るかもしれない・・・)
たこ焼きを食べてからは雪解けの様に心を覆っていた硬い殻が消失していた。
いつの間にか、心は晴れ晴れとしていて優しい気持ちになっていた。

ゴブリン突撃部隊隊長ボブ・ゴブリンはゴブリンたちに告げる
「すまなかったお前たち!俺の考えが悪かったかもしれん。これからは船員達ともそれなりに付き合っていこうと思う。
また俺の配下になってくれないか・・?」
ゴブリン達はそれを聞き、満面の笑み浮かべる。

「隊長・・・!もちろんすよ!」
「隊長!俺たち一生付いてくっす・・!」
「お前たち・・!」
こうしてゴブリン突撃部隊は再結成された。

パーティが盛り上がる中、隊長は関西子に声をかけた。
「たこ焼き美味しいな!たこ焼きパーティなんて開いてくれてありがとな!俺たちも関西復興手伝うぜ!」
「ほう、ありがとなー!でもたこ焼きパーティの発案はアンタの部隊の隊員たちや。
アンタと船員が触れ合う機会をつくりたい云うてな。」
「・・!そっか。アイツ等が・・・」
嬉しそうに照れ笑いを浮かべるボブ・ゴブリン。
それを傍目に見つつ、関西子は黒い笑みを浮かべながら呟く。

「まぁ・・・関西の存在を布教するためでもあるんやけどな・・・」
「ん、なんかいったか?」
「いや、アハハなんでもないで!ほな、うちの梅干しを参考につくった梅干し味のたこ焼きも味見してれへんか?」
「おお、いいぞいいぞ!」

――――――そうして関西復興を掲げる海賊団が噂になったとかならないとか。

【END】

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー