老人団体の抗議によりガンダムのシーンが削除

TVアニメ「機動戦士ガンダム」で、老人団体による抗議でシーンが削除されたという説について扱う。

掲載例

老人は戦争が始まると、備蓄食料を全部食べてしまいます。第二次大戦時もそれで窮地に陥った家庭がたくさんありました。初代ガンダムでも史実に基づきその描写を入れたところ、老人団体から猛抗議がきてTVフィルムからは削除されました。老人は時代を問わず勝手です


検証

老人が子供の食料を盗むシーンというのが存在するのは確かなようです
Youtube
あとは「そのシーンがTV版でカットされた」という事実と「その理由は老人団体による抗議」という部分だが、「この事実が存在しない」という証明は無理筋である。
この話の出典や、老人団体の名前が判明すれば検証できるのだが。
掲載例の人物に問い合わせたところ、「DVD,Blu-ray版ではカットされていない、老人団体の名前は解らない」と、なんともあいまいである。

ネットの検索で、マイナーチェンジのような話を見つけた。
YOMIURI ONLINE
今や世界的に有名になったアニメ「機動戦士ガンダム」初代TV作品をリアルタイムで視聴していた者です。
放送開始は今から約30年前。その当時あるシーンが老人団体からのクレームを受けました。
独立戦争のさ中、戦艦で避難する一般市民たちに配給が配られました。
その一場面。母親と幼ない子供の隣に座っていたお年寄りが、親子の目を盗んで子供の皿からさっと食べ物をくすね自分の口に入れるのです。
これに、老人団体が猛抗議。「苦労を重ねてきた自分たちを愚弄する内容だ!」と。後に再編集され劇場作品になった際、このシーンはカットされました。監督の冨野氏は不本意だったそうですが…
当時、中学生だった私は、「このお年寄りは、自分たち”今どきの若者”の将来の姿なんだろう」と解釈していましたが。(ご存じない方へ・宇宙コロニーが浮かぶ、未来を描いたSFアニメです)
70代になった実母の、「怒りのハードル」「話の聞き取り能力」が著しく低くなった昨今、この記事の内容も決して他人事ではないと感じています。
ただ、映画館・劇場・公共交通機関等の公共の場での飲食は昔はごく当たり前のことだった、と付け加えさせていただきます。

なんと、カットされたのはTV版ではなく劇場版であるとのこと。
劇場版は尺の関係上、TV版から大幅にシーンがカットされているため、これが老人団体の抗議によるものというのはよほど強い証拠がないと信じがたいことである。
「その当時あるシーンが老人団体からのクレームを受けました。」「苦労を重ねてきた自分たちを愚弄する内容だ!」とまるで自分が見たかのように書いてあるが、この方も団体の名前はご存じないようだ。

そもそも「老人団体」とは何だろうか。老人に対してずいぶん不敬なことをする在特会にすら「老人団体」が抗議をしたという話は聞いたことがない。不思議である。

老人団体の名前や富野氏の発言についての出典が得られれば、追って検証を行う。


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最終更新:2012年12月28日 18:22