茅陽一

7 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] : 投稿日:2012/08/12 00:19:28
日本原子力学会誌 ATOMOΣ 2012年8月号
http://www.aesj.or.jp/atomos/tachiyomi/2012-08mokuji.pdf

いつものことだが巻頭言が香ばしい。保護されててコピペできないのが癪なのであえて全文引用しよう。

茅陽一「巻頭言:原子力と自動車の安全性」:日本原子力学会誌、Vol.54、No.8(2012)、p.499

 経産省の基本問題委員会での2030年電力エネルギーミックスの選択肢案がほぼまとまった。
それによると、原子力の電力比率は0、15%、20~25%の3つの案が出ているが、
細野環境相の発言だと15%案が一番有力な候補らしい。
これだと、現在の原発で2030年で40歳未満のものが生き残り80%の稼働率で運転したケースにほぼ相当する。
つまり、新設や更新は一切なし、という選択だから、このままでいくとやがては原発はすべてなくなることになる。
野田首相はまだ原発が将来なくなる、とは明言していないが、民主党の空気はそんななしくずしの脱原発に
かなり傾いているようである。
 たしかに福島第一の事故は大きな事故だった。放出された放射能の量をみてもチェルノブイリに次ぐのだから、
原子力の安全性に不安を抱きいっそない方がよい、と思う人が多いのも無理はないのかもしれない。
しかし、一方において、原子力は長く化石燃料と再生可能エネルギーしかなかった世界に
人類が初めて導入した新たなエネルギー源であり、化石燃料と違って二酸化炭素の放出がないことは
温暖化の進行を避ける意味からきわめてありがたい特性である。
だから、原子力はその事故の危険性だけでなく、こうしたメリットと2つをはかりにかけてバランスとなる点を選ぶ、
というのが一番妥当な選択だろう。
 もちろん、事故の危険性が図抜けて大きい、という場合には脱原発という決断は仕方がないかもしれない。
しかし、数字で考えると、どうもそうはならないのではないか。一つの方式として、事故の危険をコストではかってみよう。
今回の福島第一の事故の被害は、政府のコスト等検証委員会の報告によると5兆8千億円だという。そして、
この委員会はこのような事故は40年に1回程度起こるという前提でこのコストを発電コストに換算している。
これは、日本が原発の建設を本格的に始めてからほぼ40年経って今回の事故が起きた、ということを考慮に入れているからだろう。
そこで、このコストは日本人一人あたり年あたりどれだけになるかを求めてみると、
上の被害を1億人×40年で除して1,500円/人・年という答えが出てくる。そこで、比較のために別な例として
自動車事故を取り上げよう。日本では年間ほぼ5,000人が自動車事故で死ぬ。人ひとりの損失をどうとるか、
いろいろ考えはあるだろうが一人5,000万円とすると年間2,500億円となる。これを人口1億で除すると
2,500円/人・年という結果になる。
 上記にあげた数字はもちろん幅があっていろいろ変わり得る。だが、原子力の損失が自動車利用の損失と
さほど違わないものであることはたしかだろう。しかし、交通事故で人が死ぬから自動車の使用を止めろ、
といった意見はおよそ聞いたことがない。これは人々が自動車を必要だ、と認識し、この程度の損失は
その必要性にくらべて仕方がない、と考えているからだろう。それなら、原子力を人々に受け入れてもらうためには、
原子力を自動車と同じように重要だ、と理解してもらうことが必要である。私は先に述べたように人類が作り出した
唯一の人工エネルギーであり、脱炭素の意義も大きいことを考えると、それだけの重要性はあると思う。
そしてそれだけの原子力の重要性を世の中に向け強く主張する方法をぜひ関係者皆で知恵をしぼるべきでないか。
(2012年5月30日 記)

8 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] : 投稿日:2012/08/12 00:26:12
茅陽一は原子力ムラの中にいる人ではないみたいだが、地球温暖化問題の観点から原発を支持している人で、
エネルギー・原子力政策懇談会に名を連ねるなど、前スレで話題になったネットジャーナリスト協会会長、
有馬朗人を中心とする村の村民。
冒頭の原発比率については、本稿の執筆時期が5月の段階、すなわち意見聴取会などを通じて国民世論が0%に傾いていることが
明らかになる前であることを考慮すると、真ん中の15%案を既定路線としておき、さらに国民世論が静まったところで
原発の新設を含めて盛り返していこうというような意向がうかがえる。
リスクについて数字で考えて客観性を示したように思えるが、コスト等検証委員会の算出した事故被害コスト5兆8千億円は
被害の一部分であることに留意する必要があり、そのことについてはページを手繰ったその先に大島堅一の論があって、
 「被害の総体」は、金銭価値以上に大きいとみるべきである。
大島堅一「原子力の経済性――社会的費用をいかに回避するか」:日本原子力学会誌、Vol.54、No.8(2012)、p.502
と書いてあるのは原子力学会誌の親切設計なのか。
まあ本稿の主旨である原子力と自動車のリスク比較についてまともなツッコミをしておくと、事故らない自動車はないけど、
こんなとんでもない事故を起こさない発電方法はあるんだから代替したらどうですかね、つーことなんだが。

最後にこの素敵な妄言に突っ込んでおきたい。↓
人類が作り出した唯一の人工エネルギーであり、 
( ゚Д゚)ハァ?
人類が作り出した唯一の人工エネルギーであり、 
(゚Д゚)ハァ?
原子力は人類が作り出した唯一の人工エネルギーである!>( ー`дー´)Σ⊂(゚Д゚ ) なんでやねん!

10 : 地震雷火事名無し(東京都)[] : 投稿日:2012/08/12 06:45:17
7
そしてそれだけの原子力の重要性を世の中に向け強く主張する方法をぜひ関係者皆で知恵を
しぼるべきでないか。

安全対策より前に宣伝対策か、おめでてーな。これまでも嫌になる程「世の中に向け強く主張」してきたくせに、
まだ足りなくて、その手法にしがみつくのか……。
自動車とあえて対応付けるとしたら、家庭レベルでもできる自家発電じゃないかという気も。
細かい事故はあちこちで起こるかもしれないが、個人が好きに制御できるメリットあり。
メリットよりデメリットの方が大きいとなれば、銃みたく規制の対象ともなりうるだろう。
原発はむしろ大量輸送機関の方に近くて、飛行機みたく確率的には実は安全という線で宣伝していたのだが、
安全神話が崩壊してそうもいかなくなってしまった。しかも、飛行機 vs 船だったらスピードの点で飛行機が圧倒的優位とか
言えるけど、原発と他の発電方式にはそんなものはない。原発推進派w は他の発電方式に難癖付けるのに必死だけど。

11 : 地震雷火事名無し(東京都)[] : 投稿日:2012/08/12 06:49:47
それと >>7 って
×チェルノブイリに次ぐ
○チェルノブイリを遥かに凌ぐ
じゃね? まぁだチェルノブイリ>フクシマと「世の中に向け強く主張」したいんかな……。

17 : 地震雷火事名無し(やわらか銀行)[sage] : 投稿日:2012/08/13 09:18:25
7-8
しかし牧野さんも一歩間違えば温暖化研究の道に進んでいたんだよなあ……。
1998年のインタビュー
http://dolphin.c.u-tokyo.ac.jp/~otss/Interview/jmakin/
このインタビューに出てくる「工学部の茅先生」が茅陽一。「学長やった茅先生」は茅誠司(陽一の父)。
茅誠司が日本の原子力の黎明期に何をやったのかはご存じの通り。
茅陽一が日本の原子力の斜陽期に何をやってるのかはご存じの通り。


2006年1月30日放送のNHK ETVの「日本人は何をめざしてきたのか 第8回 エネルギー消費社会 新たなエネルギーを求め」
http://www.nhk.or.jp/postwar/program/past/(放送終了ですでに抜け殻状態)で、
茅陽一は日本政府が原子力に傾いたのは、1973年の第四次中東戦争で発生したオイルショックで経済発展が止まり、
社会がパニックになったことで当時の田中角栄内閣が安定した発電量確保のためだったと証言している。
実際、1970年代の日本は原油価格の問題に二度も振り回されているのは事実である。
太陽光発電といっても、太陽電池で発電する現在おなじみの方式ではなく、
太陽光を一点に集中させて発電させる方式(ガンダムのソーラーレイシステムみたいなものか)であった。が、効率が上がらなかった。

もっとも、1970年の大阪万博会場に若狭湾の原発からの送電として、新時代の電力と宣伝しているのであるが。
最終更新:2016年03月04日 13:53