ヒューマンライツ・ナウ



427 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/05/25(土) 09:33:24.20
【活動】福島原発事故に関する国連調査報告書、公表される。
日本は勧告を受け入れ、 2年以上経過した原発事故対応の抜本的見直しをすべき。 | ヒューマンライツ・ナウ
http://hrn.or.jp/activity/topic/-2/

 昨年11月に来日し、福島原発事故後の人権状況を調査した国連「健康に対する権利」
に関する特別報告者のアナンド・グローバー氏が、5月27日(現地時間)から開催される国連人権理事会(ジュネーブ)で
調査内容を報告すことが予定されています。これに先立ち、報告書の最終ドラフトが、国連のウェブサイトで公表されました。 
全文はこちらから読んでいただくことが出来ます。 
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session23/A-HRC-23-41-Add3_en.pdf 
 ヒューマンライツ・ナウは、本報告書の前提となるグローバー特別報告者の来日調査を求め、情報提供と調査協力をしてきました。 
 今回の報告書に記載された勧告は詳細・具体的な内容を含み、ひとつひとつが重要な指摘であり、
原発事故の影響を受け脆弱な立場に置かれた住民の方々の健康と人権を尊重する立場に立てば、緊急に実施される必要があります。 
 原発事故から2年以上が経過しましたが、避難生活を送る人々の生活再建や補償、低線量被曝からの住民保護のための 
施策は著しく不十分なまま推移し、救済は遅延し、こうし由々しき事態が既成事実化しています。 
 ヒューマンライツ・ナウは、グローバー調査報告者の報告と勧告が国連人権理事会で議論されるこの機会に、 
日本政府と東京電力に対し、改めて原発事故の影響を受けた人々に対する政策の問題点を真摯に反省し、
勧告を誠実に実施するとともに、人権の視点に立った抜本的な政策の改善を求めるものです。 
 今回グローバー氏が出した勧告は、以下の通りです(日本語はヒューマンライツ・ナウの仮訳です)。
勧告に関わる詳細な内容は、報告書本文に詳細に論じられています。 
 ヒューマンライツ・ナウは早急に報告書本文についても仮訳を行い、公表する予定でいます。



450 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/05/27(月) 00:25:06.63 ID:r7cBSwFN0 [1/2回(PC)]
グローバー報告、暫定仮訳を公表します | ヒューマンライツ・ナウ
http://hrn.or.jp/activity/area/cat32/post-199/

国連「健康に対する権利」特別報告者による福島に関する調査報告書が公表されました。 
公衆の被ばくからの保護に関し、1mSvを明示するなど、画期的な内容となっており、今後の日本の原発被災者政策の 
再考に重要な文書です。 
ヒューマンライツ・ナウでは、ご要望を受けて、この段階で取り急ぎ、暫定仮訳を作成いたしましたので、ご確認ください。 
但し、緊急に行いましたため、逐次の正確性は保証できませんので、原文と照らし合わせていただくようお願いします。 

国連「健康に対する権利」特別報告者アナンド・グローバー氏・日本への調査 (2012年11月15日から26日) に関する調査報告書
(2013年5月23日暫定版仮訳)
http://hrn.or.jp/activity/srag.pdf

【原文】
Report of the Special Rapporteur on the right of everyone to the enjoyment of the highest attainable standard of
physical and mental health, Anand Grover
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session23/A-HRC-23-41-Add3_en.pdf

以下、個人的に目に付いたところをピックアップ。

これはICRPの「リスク・ベネフィット」論に基づく施策に関する批判。
年間被ばく限度20mSv以下は、原発事故以降、日本政府によって適用されている基準である。政府は、この基準は、 
原発事故以後の居住不可能地域を決定する際の年間被ばく線量の基準として1mSv/year~20mSv/yearを推奨している 
ICRP から発行された文書に依拠したものだとしている。ICRPの勧告は、政府の全ての行動が損失に比べて便益が 
最大化するよう行われるべきであるという最適化と正当化の原則に基づいている。このようなリスク対経済効果の観点は、 
個人の権利よりも集団的利益を優先するため、健康に対する権利の枠組みに合致しない。健康に対する権利の下で、 
全ての個人の権利が保護される必要がある。さらに、人々の身体的及び精神的健康に長期的に影響を及ぼす 
このような決定は、人々の自発的、直接的及び実効的な参加とともに行われるべきである。 
(原文47節(p.16)、訳文p.24)
健康への悪影響の可能性は低被ばく線量では存在しており、年間被ばく線量が1mSv以下及び可能な限り低くなったときのみ、 
避難は帰還を推奨されるべきである。 
(原文49節(p.17)、訳文pp.25-26)
特別報告者は、福島の公立学校にける義務的な放射能教育のための正規のカリキュラムについて伝えられた。 
副読本及び発表用の教材は、100mSv 以下の基準の放射能に短時間さらされた場合、癌を含む病気に罹患する 
過度の危険が存在するという明確な証拠はないと言及している。このことは 100mSv 以下という基準が安全である 
という印象を与える。前述したように、このことは日本の国内法と国際的な基準又は疫学研究と合致しない。 
そして、特別報告者は、この教科書が、放射能の影響を受けやすい子どもの健康への影響に言及していないことを指摘した。 
(原文51節(p.17)、訳文p.27)

以下は日本政府に対する勧告。
子どもの健康調査は甲状腺検査に限らず実施し、血液・尿検査を含むすべての健康影響に関する調査に拡大すること 
(原文77節(p.23)、訳文p.39)
ホールボディカウンターによる内部被ばく検査対象を限定することなく、住民、避難者、福島県外の住民等影響を受ける 
すべての人口に対して実施すること 
(原文77節(p.23)、訳文p.40)
避難地域・公衆の被ばく限度に関する国としての計画を、科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、 
人権に基礎をおいて策定し、公衆の被ばくを年間 1mSv 以下に低減するようにすること 
(原文78節(p.23)、訳文p.40)
放射線量のレベルについて、独立した有効性の高いデータを取り入れ、そのなかには住民による独自の測定結果も取り入れること
(原文78節(p.23)、訳文p.40)

451 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/05/27(月) 01:05:32.67 ID:r7cBSwFN0 [2/2回(PC)]
【イベント】5月28日HRNは福島における健康の権利に関し、国連人権理事会でサイド イベントを開催します。
| ヒューマンライツ・ナウ 
http://hrn.or.jp/activity/area/cat32/528hrn/
というわけで、まもなく、国連人権理事会から日本政府に対する勧告が正式に発表されます。
今回の最終報告の前に、グローバー氏は昨年の11月に日本の外国特派員協会で会見し、ステートメントを発表している
【声明】国連「健康に対する権利に関する特別報告者」が記者会見を行いました | ヒューマンライツ・ナウ
http://hrn.or.jp/activity/project/cat11/shinsai-pj/fukushima/post-176/

が、このことが原子力規制委員会にて取り上げられた際には、まだ暫定報告だから最終報告を待ちたい、
との理由で議論することを拒否されている
(グローバー氏が会見したのは緊急性が高かったためと考えられるのだが、その意が汲まれることはなかった)。
最終報告を受けて日本政府や規制委がどう反応するか注目したい。


465 : 地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区)[sage] 投稿日:2013/05/28(火) 22:53:03.05
23:00~ 23回国連人権会議 日本時間23時から HRNによるサイド イベント:福島における健康の権利について
中継 IWJ_GENEVA http://www.ustream.tv/channel/iwj-geneva
詳細 http://hrn.or.jp/activity/area/cat32/528hrn/
報告者
アナンド・グローバー氏(国連「健康に対する権利」に関する特別報告者)
伊藤和子   (ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
井戸川克隆 (元双葉町長)
岩田渉(市民放射能測定所理事)
森永敦子(「子どもたちを放射能から守る信州ネットワーク(略称子ども信州ネット)」代表
モデレーター                              
伊藤和子   (ヒューマンライツ・ナウ事務局長)

PDF国連「健康に対する権利」特別報告者アナンド・グローバー氏・
日本への調査( 2012 年 11 月 15 日から 26 日)に関する調査報告書 仮訳
http://hrn.or.jp/activity/srag.pdf
466 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/05/28(火) 23:25:48.30
時事ドットコム:国連報告者は「多くの誤解」=福島原発事故勧告に反論-日本政府
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013052800043
また、特別報告者は日本政府の健康面への影響評価方法に疑問を呈した。しかし、日本政府は、国際的な安全基準を 
勧告する国際放射線防護委員会(ICRP)の見解に従っており、問題はないとの立場だ。岡田隆ジュネーブ 
国際機関代表部大使は人権理で「科学的、法的見地からの誤解を指摘したが、報告書には反映されていない」と 
遺憾の意を表明した。(2013/05/28-07:00) 

朝日新聞デジタル:福島の原発事故「住民に情報を」 国連人権理事会に報告 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY201305280085.html
 日本政府は報告書への反論を提出し、甲状腺検査について「(簡易な)結果は全員に伝えた。17万人中、 
請求のあった200人には詳細な結果を公開した」とし、政策決定には「パブリックコメントを実施している」と主張した。 

↓グローバー氏の報告と岡田隆大使の反論(国連TV)
UN Live United Nations Web TV - - Clustered ID on Health and Migrants -
2nd Meeting 23rd Regular Session of Human Rights Council
http://webtv.un.org/watch/clustered-id-on-health-and-migrants-2nd-meeting-23rd-regular-session-of-human-rights-council/2413670951001/

↓日本政府の反論(まだ読んでませんが)
Comments of Japan on the report of the Special Rapporteur on the right of everyone to the enjoyment of the highest
attainable standard of physical and mental health
(15- 26 November 2012), A/HRC/23/41/Add.3.
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session23/A.HRC.23.41.Add.5_Rev.1_ENG.pdf
467 : 地震雷火事名無し(東京都)[sage] 投稿日:2013/05/29(水) 01:02:36.31 ID:H2oNb6z30 [1/1回(PC)]
Comments of Japan on the report of the Special Rapporteur on the right of everyone to the enjoyment of the highest
attainable standard of physical and mental health
(15- 26 November 2012), A/HRC/23/41/Add.3.
http://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session23/A.HRC.23.41.Add.5_Rev.1_ENG.pdf

とりあえず一番気になる部分。p.8より。

【グローバー報告】
(a) Formulate a national plan on evacuation zones and safe limits of radiation by using current scientific
evidence, based on human rights rather than on a risk-benefit analysis, and reduce the radiation dose to
less than 1mSv/year;

避難地域と被曝限度に関する国の計画を策定せよ。現時点における科学的な根拠を用い、リスク・ベネフィット分析
ではなく人権に基づいて、放射線被曝を1mSv/year以下に低減せよ。

【上記に対する日本政府の反論】
The Government of Japan set the evacuation areas based on the globally accepted recommendation of
ICRP and discussion between domestic and foreign experts for radiation.

ICRP also recommends that the transition from an emergency exposure situation to an existing exposure
situation should be managed by keeping exposures as low as reasonably achievable, taking into account
economic and societal factors as well as the distribution of doses and benefits resulting from the
implementation of the protection strategies.

日本政府は、国際的に認められた勧告であるICRPと、国内と国外の放射線の専門家の間の議論に基づいて避難地域を設定した。

ICRPは、以下のようにも勧告している。緊急被曝状況から現存被曝状況への移行は、被曝量を合理的に達成できる限り低く
(ALARA)保つことによって管理すべきであり、その際、経済的、社会的な事項だけでなく、線量の分布や防護戦略の
遂行によって得られる便益を考慮すべき、と。


あれ~?避難地域って専門家だけで議論していいんだっけ~?
さらにいえば、ICRP自体に人権を軽視してきた歴史があるわけで、ここでICRPを復唱しても反論になりませんね。
↓とりあえず参考に

尾内隆之・調麻佐志「住民ではなくリスクを管理せよ――
『低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書』にひそむ詐術」
科学(岩波書店)Vol.82, No.3 (2012), p.318
http://www.sci.tohoku.ac.jp/hondou/files/Kagaku_201203_Onai&Shirabe.pdf
ICRPは現存被ばく状況における放射線防護策の策定にあたっては,参考レベルの設定から多様な利害関係者を参加させるよう 
勧告しています。被ばく低減の長期目標を設定し,防護策の方向性を提言したWGは,実質的にICRPの言う 
「参考レベルの選択」をしたと解釈できますから,放射線防護の専門家に偏ったWGのメンバー構成は極めて不適切です。






最終更新:2013年06月01日 13:00