茨城県東海村村長

2011年7月9日 東京新聞

茨城県東海村の村上達也村長(68)は本誌のインタビューに応じ、東日本大震災で自動停止し、
定期検査中の日本原子力発電・東海第二原発の再稼働の判断基準について
「東京電力福島第一原発事故が収束し、避難している人々に対する政府・電力業界の
補償のあり方が見えてこないとだめだ」と述べた。

さらに、安全規制機関の原子力安全・保安院や原子力安全委員会の組織見直しも、再稼働の条件に挙げた。
政府が打ちだした原発のストレステストなど技術面以外の条件が必要だとの考えを明らかにした。

東海第二原発は3月11日の地震で原子炉が自動停止し、外部電源を失った。
高さ5.4mの津波で非常用発電機のうち一台が停止するなど危険な状況が続き、同15日未明に100度未満の冷温停止状態となった。

村上氏は「もし10mの津波だったなら、原発事故で住んでいられなかった。脱原発を真剣に考えるべきだ」と、
「脱原発」志向を鮮明にし、エネルギー政策の転換を求めた。

東海村
原子力施設からの固定資産税、電源三法交付が村の財政力の中心
雇用先の三分の一は原子力関連

村の一般会計予算=約200億円(2009年度)、交付金は約13億円。
それでも村上氏は福島第一原発の事故を目の当たりにした今、「脱原発」志向を鮮明にする。

「もし東海村を10mの津波が襲っていたら(東海第二原発も)メルトダウン(炉心溶融)し、ここに住んでいられなかった。
紙一重だった。原発を持つことで故郷が奪われ、子どもたちの将来にかかわるようなことが起きた。
日本人は脱原発を真剣に考えるべきだ」

村上氏は太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーの技術開発を進め、原発については
「技術のため、人材を残すために必要なら、完璧にコントロールできる必要最小限に絞るべきだ」と考えている。

人材育成に関連し、同村ではJ-PARCを中心とした研究センターをつくり、世界に貢献する構想を温めている。

原子力に関する村上氏の原体験は、一期目に直面したJCO事故。政府や業界の危機に対する鈍感さや、
技術過信に警笛を鳴らしてきた。

「だが変わらなかった。逆に私の言動に異質の文化をかぎ、(推進派は)三期目、四期目の村長選に対抗馬を立てた。
違うことを言うとつぶそうとする世界で、私は生きてきた」


【東海第2】村長、再開に慎重姿勢

茨城県東海村の村上達也村長は8日の村議会一般質問で、定期検査中の日本原子力発電東海第二発電所の運転再開について「福島原発事故を目の当たりにし、村民の安全が今後ずっと保障されるとは思えない」と改めて慎重姿勢を示した。

 再開の是非を巡っては、定期検査の終盤に行われ、事実上の原子炉の再稼働となる調整運転前に、同社に協議の場を求める方針を明らかにした。

 村上村長は「原発から30キロ圏内に住む100万人が、避難するのは不可能。東海村が原発立地村にふさわしいかをつくづく考えさせられた」と強調。そのうえで「人口がこれだけ多い地域に原発があるのが適切なのか。あえて置くなら国に特別な対応を求めたい」と、安全対策の強化を求める考えを示した。

 さらに、原子力政策について「地震列島に54基もの原発があるのは正常な感覚ではない。事故後の対応などを見て、この国が本当に原発を保有する資格と能力があるのか国に問いかけたい」と批判した。
(2011年9月9日 読売新聞)


2011年9月3日 東京新聞
東海村長が憤り「福島の反省ない」

「あきれたものだ。福島第一原発事故の原因すらまだはっきりしていないのに」
東海第二原発を抱える茨城県東海村の村上達也村長は二日夕、野田新首相の原発政策を聞き、
静かな口調の中にも憤りをにじませた。

村役場で同日、取材に応じた村上村長は
「住民投票だって必要なぐらい(再稼働は)重要な話なのに」と切り出した。
会見で再稼働をあっさり口にした首相に
「国家経済のためばかりで立地の住民を無視している。
まだまだ、再稼働の検討すらできる状況ではないのに」と怒った。

さらに人口が密集している東海第二原発の立地状況にふれ、
「福島と同じ事故が起きた場合、ここ(東海村)はとても避難なんてできない。
十キロ圏内に三十万人、二十キロ圏内には七十万人も住んでいるんだから。
福島の反省が何もない」

既に村上村長は長期では「脱原発」の姿勢を明言している。
野田新首相のもとでは、菅直人前首相が打ちだした方針を引き継げるか、いぶかる。

「減原発の方針があるなら、何年以上稼働した原発は廃炉にするとか、具体的なことを言ってほしい。
国が中長期的な方針をしっかり示して初めて、再稼働の議論はできるはずではないか」と疑問を投げかけた。

341 名前:地震雷火事名無し(チベット自治区)[sage] 投稿日:2011/10/08(土) 16:04:38.08 ID:8w+IqnlC0 [7/7]
10/8 毎日朝刊 東海村 村上達也村長インタビュー
http://mainichi.jp/select/opinion/approach/news/20111008ddm004070019000c.html

急接近:村上達也さん JCO臨界事故から12年、教訓は生かされたか
茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」の臨界事故から9月末で12年がたった。
東京電力福島第1原発事故に当時の教訓は生かされたのか。
福島原発事故後、「脱原発」を唱えている村上達也・東海村長に聞いた。

抜粋
私は原子力の研究開発からの脱却を訴えているのではない。脱原発を唱えても廃炉や廃棄物の処理や
安全対策についての研究は重要で、研究開発拠点としての東海村の存在意義はむしろ高まる。
最先端の原子力科学や基礎研究の推進、国際的な原子力人材を育成するために東海村の経験と施設の蓄積を利用する。
ただし原発のように膨大な電源交付金や固定資産税が入ってくることに比べれば、研究主体のまちづくりは簡単ではない。
大変な課題だが、10年もたたないうちに変わると思う。

利害関係が網の目のように張り巡らされた原発所在地で脱原発はすぐに割り切れる話ではない。
ちなみに私が脱原発と言ってから直接非難する人には村で一度も会っていない。「よく言った」と言ってくれる人はいるが。

一つの利益集団ができると、磁石のごとく人が集まって反対勢力を排除し圧迫する。
原子力ムラは50年以上の歴史を持つ牢固(ろうこ)たる社会だ。徹底的に自己批判も含めてやらないと原発の将来はないし、
また事故は起きる。そう簡単に変わるとは思えないが、その中で知恵を働かせてバランスをとる仕組みや組織を作る必要がある。
鍵を握るのは政治力だ。

ロングインタビューなので本文をぜひご覧ください。

2011年10月12日東京新聞 東海第二原発 地元村長が廃炉要望 原発相に「人口多く老朽化」

茨城県東海村の村上達也村長は11日、細野豪志原発事故担当相と内閣府で会談し、村内の日本原子力発電東海第二原発について、
周辺人口の多さと老朽化を理由に廃炉にするよう求めた。細野氏は「貴重な提言をいただいた。考えさせていただく」
と答えた。

村上氏は、第二原発について「東京まで百十キロと近く、半径三十キロ圏内に百万人が住むなど立地条件として不適切だ。
稼働から三十年以上たち、老朽化も進んだ」と指摘し「廃炉にするべきではないか」と求めた。

東海第二原発は1978年に運転を開始。東日本大震災では原子炉が自動停止した。現在は検査中。

村上氏は、第二原発の再稼働について「原子力安全委員会や原子力安全・保安院の信用は失墜した。
原子力規制体制を早期に確立しなければ、第二原発の再稼働は受け入れられない」と述べた。



原子力発電所の運転を原則40年以上は認めないとする原子炉等規制法改正案を巡り、政府が例外として最長20年の延長を認める規定を盛り込む方針を示したことについて、日本原子力発電・東海第二発電所が立地する茨城県東海村の村上達也村長は18日、「最初から例外を設けるのは現実に妥協した骨抜きの規制案だ。基準がないことに等しく、これでは国民に信用されない。本当に情けない国だと思う」と厳しく批判した。

 さらに、「優柔不断な国では安全を担保できない。基準を超えた原発は、何がなんでも止めるという決断が必要だ」と厳格な運用を求めた。東海第二発電所は昨年11月、運転開始から33年が経過した。現在は定期検査中で、運転再開の見通しは立っていない。

 また、橋本知事は18日の定例記者会見で「40年という指標が示されたことはいいことだと思うが、その時々の状況に応じて対応するというのでは、事業者側も地方自治体としても大変困惑せざるを得ない」と懸念を示した。
(2012年1月19日23時31分 読売新聞)


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最終更新:2012年12月11日 17:57