資源調達

2010.6.8.週刊エコノミスト

現在、需給で決まる米国のガス価格と、原油価格リンクの日本が輸
入するLNGの価格には大きな差がある。米国の市場価格は100万
BTU当たり4ドル前後。これに対し、日本は同10ドル前後のガスを
購入しているのだ。日本が1年間に海外から購入するLNGは約
6800万トン。100万BTU当たり10ドルで購入していると仮定する
と、概算で年間6兆8000億円近いガス代を海外に払っていることに
なる。仮にもし、これを米国のガス流通価格で購入できれば、4兆
円近い国富の流出を止めることができる。

東京ガスでは、こうした視点に立ち、メキシコでガス火力発電事業
への出資を決めた。これは単に発電事業の収益だけではなく、米国
のガス価格に近い値動きをする大西洋のLNGを調達し、実際に発
電所に使う燃料は米国からパイプラインで調達し、安く買った
LNGを日本にスワップで持ち込む、といったことを検討していく
というのだ。

日本最大のLNGバイヤーで、年間2000万トンを購入している東京
電力でも、自前のLNG船を所有し、自社で購入したLNGが余った
ときに転売したり、LNGの仕向け地を自由に変更できるよう契約
に柔軟性を持たせる取り組みを進めている。いずれの取り組みも調
達の安定性を図りながら、競争力のあるLNGを調達するためのも
のだ。

根本的には日本の燃料輸入の制度設計に踏み込む必要があるだろう。
電力・ガス会社には「燃料費調整制度」という制度が適用されてお
り、原油やLNGの購入価格に応じて、電気料金やガス料金を調整
できる。つまり高く買っても、安く買っても料金に転嫁できるのだ。

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最終更新:2012年12月11日 20:52