事の発端
「 放物運動の発射してから最高到達点に達するまでの時間tを鉛直投げ上げ運動の式で出せるってことは
落ちてくる時間も同じなんだから落下運動の式でも同じ数値が出るんじゃね?って思った今日この頃 」
tweeted by wisteria_ma
「 ですねー(。w。 」
tweeted by mie1go
「 あってるですか?(´・ω・`) 発射から最高到達点までをt1
発射からから着地までをt2にしたら 2・t1=t2ですよねよね(´・ω・`)
だからt2-t1=t1ですよねよね(´・ω・`) 」
tweeted by wisteria_ma
「 結論は合っていますが、何故そんな事が言えるのか式で証明できると良いですね(。。 」
tweeted by mie1go
という事で
斜め上に投げたボールの運動を考える。単純化のため、空気抵抗は無いものとする。
水平方向にx軸(ボールが進む方向を正)をとり、高さ方向にy軸(上向きを正)をとる。
【キーポイント:力学では、まず運動方程式(第2法則)】
x軸、y軸方向の速度を、それぞれVx、Vyとし、
それぞれの方向成分について運動方程式を立てる。
x軸方向(水平方向):
・・・・・・(1)
y軸方向(高さ方向):
・・・・・・(2)
ここで、mは質量、gは重力加速度を表す。
これら2つの式を時間tで積分すると、
x軸方向(水平方向):
・・・・・・(3)
y軸方向(高さ方向):
・・・・・・(4)
となる。ここでC1,C2は積分定数である。
これらの定数を決定するためには、初速度を考えれば良い。つまり、
ボールを投げた瞬間(t=0)ではいくらかの速度(V1,V2)を持っていたはずなので、
その条件を上式に代入すると、
・・・・・・(5)
・・・・・・(6)
を得る。これで積分定数C1,C2は求まった。
従って、式(3),(4)は次のように書き換えられる。
x軸方向(水平方向):
・・・・・・(7)
y軸方向(高さ方向):
・・・・・・(8)
これらの式の両辺をmで割れば、速度(Vx,Vy)の解を得る。
特に、水平方向に関しては Vx=V1 となり、これは、
水平方向の速度Vxは時間が経っても初速V1(定数)のままで変化しない
という事を意味している。
水平方向には力が与えられていないので、当たり前と言えば当たり前である
(∵第1法則(慣性の法則)が存在するため)。
また、式(8)は高さ方向の速度Vyが時間経過とともにリニアに減少していく事を示している。
さて、速度の解が得られたので、問題がもう解けそうだ。
まず、常識的に考えて、Vyがゼロとなる点はボール軌道の頂点である。
そのときの時刻t1は式(8)より、
・・・・・・(9)
と求められる。
また、ボールが同じ高さまで戻ってきたときの速さ(速度の絶対値)は、
初速と同じにならなければいけない(∵エネルギー保存則に反してはいけないから)
つまり、戻ってきたときは Vy=-V2 のはずである。
そのときの時刻t2は式(8)より、
・・・・・・(10)
と求められる。
式(9),(10)より、
・・・・・・(11)
が導かれる。すなわち、
「ボールを斜め上に投げたときに、ボールが頂点にまで達する時間と、
そこから同じ高さまで落ちてくる時間は等しい」
事が証明された。
この結論は、ボールを真上に投げた場合でも同様である(∵式(8)は変わらないので)。
別解
上では推論やエネルギー保存則を用いて時刻を求めたが、
「俺にはそんなの分からねぇ! 保存則とか知らねぇ!」って人は、
速度に関する式(7),(8)をもう一回積分すれば位置の式が得られるので、
そちらから時刻t1,t2を求めても良い。やってみよう。
式(7),(8)を時間tで積分すると、
x軸方向(水平方向):
・・・・・・(12)
y軸方向(高さ方向):
・・・・・・(13)
となる。ここでC3,C4は積分定数である。
これらの定数を決定するためには、初期位置を考えれば良い。
今は t=0 での位置(つまりボールを投げた人の位置)を原点(0,0)に取っておこう。
その条件を上式に代入すると、
・・・・・・(14)
・・・・・・(15)
を得る。これで積分定数C3,C4は求まった。
従って、式(12),(13)は次のように書き換えられる。
x軸方向(水平方向):
・・・・・・(16)
y軸方向(高さ方向):
・・・・・・(17)
これらの式の両辺をmで割れば、位置(x,y)の解を得る。
ここまで求めておいてアレだが、今後式(16)は使わない
(しかし問題がもっと一般化された場合を考慮し、手順のみ示しておいた)。
位置の解が得られたので、物理的な回答はほぼ終わっている。
あとは数式変形していくだけである。
式(17)の両辺をmで割って整理しておこう。
・・・・・・(18)
この式を見ると、高さyは時間tに関する上に凸の2次関数となっている。
まず最高点となる時刻t1を求めよう。式(18)を時間tについて平方完成すると、
・・・・・・(19)
となるので、最高点となる時刻tは、
・・・・・・(20)
である。
また、式(18)を時間tについて因数分解してやれば、
・・・・・・(21)
となるので、y=0 となる時刻tは次の2つである。
・・・・・・(22)
・・・・・・(23)
ここで、t0はボールを投げ出した直後の時刻であり、
t2は同じ高さまでボールが落ちてきたときの時刻である。
式(20)と(23)は、先の解法で得られた式(9)と(10)に一致する。
(終わり)
最終更新:2013年07月23日 01:23