要対策戦術-トリックルーム

概要

 トリックルームはいわゆるトリパと呼ばれるような、鈍速ポケモンと組ませて使われることも多いが、相手のSギミックへの対策として採用されることも多い。追い風や積み技による相手の速度上昇、電磁波や凍える風によるこちらの速度低下、そして相手のトリックルーム展開などに対するカウンターとなる。
 トリックルーム役にはトリックルームをなるべく確実に成功させることができるポケモンが採用される。能動的にトリックルームをしかけるパーティでは高耐久から複数回のトリックルームを狙えるポケモンが、カウンターとしてトリックルームを採用されるパーティではカウンターの対象となるポケモンに切り返しやすいトリックルーム要員が採用される。

対策

 トリパ対策としては、トリックルームの切り返し、トリルアタッカーに対する耐性を持ったポケモンでの処理、鈍速ポケモンの採用によりトリックルーム下での相手アタッカーへの縛り、守るや悪戯心身代りによるターン切らし、トリックルームに合わせた挑発などがある。最も汎用性が高いのはトリックルームによる切り返しである。

 トリックルームでの切り返しはこちらが相手より非トリル下で早いポケモンを使っている場合に有効。ただし、そのトリル役が相手のトリルアタッカーなどに弱い場合は切り返せないので注意。こうした処理をするときは、相手に複数回トリックルームを貼らせないように、トリルをするターンにトリックルーム役を削り、かつ回復させる隙を与えない立ち回りをしたい。

 トリルアタッカーに対する耐性を持ったポケモンでの処理は、例えば相手のナットレイに対するヒードランやハッサム、バンギラスに対するスイクンなど、耐性や耐久で相手のトリル展開をしのぐことが出来るポケモンでの切り返しである。ただし相手が複数体の鈍速ポケモンを扱っている場合択を迫られる。こうした対策を取る場合は、守るや悪戯心身代りとあわせてターン切らしを狙いやすくするとなお良い。

 鈍速ポケモンの採用による対策は、例えばナットレイやシュバルゴ、モロバレルなど、こちらも鈍速ポケモンを採用することによって相手のトリックルームを牽制する対策である。こうしたポケモンを選出するときは、相手がトリル選出をしなかった場合に腐りうること、また相手がトリル展開を終盤にしかけてくるならそれまでなるべく温存する必要があることに注意する必要がある。また、相手がシュバルゴを使っていた場合にナットレイやモロバレルでは対策出来ないように、鈍速ポケモンの苦手なポケモンによるトリルアタッカーに注意。

 守るや身代りによるターン切らしは、相手のトリックルームのターンを切らすことによる対策である。ただし、相手に身代りや積みをする隙を与えてしまうので、そうしたポケモンがトリルアタッカーの場合は注意。高耐久ポケモンや、相手の攻撃に耐性を持ったポケモンなどと合わせてターンを切らしやすくするとなお良い。

 トリックルームに合わせた挑発は決まれば有効だが不安定な手なので、それにトリックルーム対策を任せることは避けたい。他の対策を合わせて採用するとよい。

主要なトリックルーム役

 トリックルーム役に関しては、能動的にトリックルームを仕掛ける場合と切り返しとしてトリックルームを採用する場合の両方の視点から記述する。

クレセリア

 高耐久からトリックルームを複数回展開することを狙う。オボンの実を持ったクレセリアはキングドラの雨珠ハイドロポンプをも2回耐える。日本晴れや光の壁で雨パの対策を兼任することも。非ゴーストなので、カイリキーにはトリックルームを阻害されうる。
 トリックルームの切り返し役としては、やはり高耐久なので安定度は高いが、シュバルゴやハッサムによるトリックルーム展開には切り返せないことに注意。ゴーストタイプではないので勇敢カイリキーへのトリックルームの切り返しも安定はしない。

サマヨール

 高耐久から安定したトリックルームを狙う。ゴーストタイプなのでカイリキーに阻害されず、金縛りによって拘りポケモンを機能停止させたり横のポケモンを動きやすくしたりもできる。日本晴れも使用可能。また、ナイトヘッドによりトリックルームに合わせられたヒードランの身代りを破壊したりもできる。ただし、クレセリアほどの耐久はないので複数回のトリックルームをしかけるのは必ずしも安定しない。
 トリックルームの切り返し役としては、クレセリアに比べ耐久は劣るが、ゴーストタイプなのでハッサムやシュバルゴ、カイリキーにもトリックルームを返すことができる点がメリット。

ブルンゲル

 クレセリアやサマヨールほどの耐久はないので複数回のトリルは安定せず、鉢巻きナットレイや鉢巻きor鉄球バンギラスなどトリックルームを阻害される相手も多い。水タイプによる範囲と耐性、自己再生+呪われボディなど、トリックルーム以外の性能にも期待して採用される。電気タイプにトリックルームを決められるようにソクノの実を持たされることが多いが、稀にトリックルームの成功を重視してきあいのタスキを持たされたり、食べ残しやオボンの実を持たされたりすることもある。
 トリックルームの切り返し役としては、ナットレイの鉢巻きウィップ、バンギラスの鉢巻き噛み砕くor鉄球投げつける、カイリューの舞珠逆鱗、ガブリアスの剣舞逆鱗など、抜群高火力や等倍超高火力を受けると一撃死してしまうので注意。トリルや積みから攻めてくる相手には、一応溶けるで対応しうるが、相手に特殊ポケモンが残っている状況でそうした手を取るのはあまり安定はしない。

シャンデラ

 低耐久だがきあいのタスキを持たせるなどしてトリックルーム役として採用されることがある。切り返しとしてのトリックルーム役としての採用が多い。ガブリアスの鉢巻きダブルチョップを耐えられるようにHCで振られることが多い。
 ブルンゲルと比べ炎タイプなのでハッサムやナットレイ・ユキノオーなどに打点をもてたり、シャドーボールでブルンゲルに打点を持ったりできる点がメリット。パルシェンやドサイドンのロックブラスト、ガラガラのホネブーメランなどには切り返せないので注意。

ドータクン

 耐久はそれほど高くはないが、鋼タイプの耐性を持っているのでカイリューやパルシェン、追い風+竜などの攻撃に対する切り返しのトリックルームをしやすい。光の壁やリフレクタ―などによるサポートも可能。

ユクシー

 クレセリアに比べ耐久は落ちるが、癒しの鈴により状態異常に陥った味方のアタッカーの回復を狙える。鈍い+眠るナットレイなどと組み合わせて、癒しの鈴を能動的に用いる場合などに採用されやすい。

エルフーン

 悪戯心追い風や日本晴れなどと合わせてトリックルームを出来るので、広い範囲に対してサポートを期待できる。ただしエルフーンの攻撃性能は低いので、腐りやすいことに注意。

主要なトリックルーム下で動くポケモン

 トリックルーム下で動くポケモンに対しては、能動的に動いてくるこれらのポケモンに対する対策を行う側としての視点から記述する。

ナットレイ

 鉢巻きを持った型、鈍いを積んでくる型、食べ残しやオボン・ヨプなどで行動の安定性を上げた型などで、S20という最も遅い速度から攻めてくる。威力150にもなりうるジャイロボールや威力120のパワーウィップなど火力も高い。
 対策としては、トリックルームでの切り返しのほかに、鋼タイプ・炎タイプ・格闘タイプ・電気飛行タイプ等の耐性と打点を持ったポケモンでも対策しうる。

シュバルゴ

 虫のジュエルを持って剣の舞や身代りをしたり、拘り鉢巻きを持つなどして、S20から威力120のメガホーンで攻めてくる。鉢巻きorジュエルメガホーンではガブリアスやクレセリアが一撃で落ち、剣舞ジュエルメガホーンではハッサムやサンダーなども落ちる。
 対策としては、エスパーでないポケモンによるトリックルームの切り返しのほかに、ヒードラン・ファイヤー・シャンデラやコバルオンなどの耐性を持ったポケモンでの対策が挙げられる。

モロバレル

 S30という鈍速から、トリックルーム下でキノコの胞子を先制でしかける。能動的にトリル展開をしてくる場合、横のパルシェンのような積みポケモンが積む隙を作ることなどを目的として行動してくる。ただし、どちらかというとトリックルームの対策として採用されることが多い。
 能動的に仕掛けてくる場合はモロバレルのキノコの胞子は先制催眠になるので必ずしも強くはないが、その横のポケモンに積む隙を与えるのはまずいので、むしろそちらの方に注意をしたい。

カビゴン

 S30という鈍速に加え、腹太鼓による超火力が危険。腹太鼓恩返しは耐久にあまり努力値を割いていないヒードランも落ちる。鈍い+眠るをしてくるような型もある。
 腹太鼓恩返し・噛み砕く・地震・炎のパンチを考えると、安定してトリックルームを切り返せるのは襷をもったトリル役程度である。そのため、まずは腹太鼓を成功させないこと、そして腹太鼓を成功させてしまっても先制技で縛る、襷・頑丈などによりトリル下でも反撃を可能にする、守るなどと合わせてトリルターンを切らすなどの対策をしたい。S20のナットレイやシュバルゴはトリル展開を牽制できるので有効。

ドサイドン

 あまり見かけることはないが、A140の火力、S40の鈍速、地面+岩の広範囲から攻めてくる。サマヨールやドータクン・クレセリアなどのトリル+重力を受けて攻めてくる場合もある。剣の舞をしてくることもあるため注意。
 鈍速ポケモンでのトリル牽制、トリックルームによる切り返し、ターン切らしなどの他に、耐久力で受けるのも有効。地面・岩のため範囲は広いが、剣舞さえ積まれなければガブリアスやスイクン・ブルンゲルなどで攻撃をうけて反撃できる。キノガッサやハッサムの先制技も合わせるとなお有効。

ローブシン

 現在は数は多くないが、以前は光の壁を合わせて猛威をふるった時期が合った。光の壁などのサポートを受けてビルドアップを積み、ドレインパンチで殴りつつ回復し、非トリル下でマッハパンチによる牽制・上昇した物理耐久による物理アタッカーへの牽制などをかけてくる。持ち物としては耐久力を上昇させるオボン、即座に火力を出しつつ状態異常対策をする火炎玉、力ずくと合わせた命の珠など。
 ローブシンを軸に動かしてくる場合はトリックルームや光の壁、ビルドアップなど相手の準備が整うまでの展開が遅い場合が多いので、その隙に付け込んで上から高火力で制圧したりカイリューやアクロバットハッサムなどローブシンに強いポケモンが積んだりするのが有効。耐性でトリル下でも殴り合うというのは壁やビルドによる耐久上昇、ビルドにより火力が上昇したドレインパンチによる回復などを考えると余り有効でないので、切り返しとしてのトリルも用意したい。ナットレイなどに任せることが出来ないことにも注意。

ガラガラ

 あまり見かけることはないが、重力+ホネブーメランが強力。ホネブーメランは連続攻撃なので、きあいのタスキや頑丈、身代りなどを貫通する。地震、エッジ、炎のパンチ、剣舞などを持ってることが多い。
 対策としては、ガラガラより遅いポケモンの用意、剣の舞+重力の耐性を整えられるないよう挑発や攻撃で阻害する、先制技による縛り、まもる等によるターン切らしなどが上げられる。

ユキノオー

 きあいのタスキや命の珠を持ち、吹雪+ウッドハンマーorギガドレイン、地震などによる広範囲で攻めてくる。
 対策としてはブルンゲルでないポケモンによるトリックルームの切り返し、ユキノオーより遅いポケモンの用意、鋼タイプ・炎タイプ・格闘タイプ等のポケモンにより耐性で受ける、先制技による縛りなどが挙げられる。

ジバコイル

 こだわりメガネなどを持ち、鋼の耐性から高火力で攻めてくる。対策としてはトリックルームの切り返し、ジバコイルより遅いポケモンの用意、電気耐性のあるポケモンにより耐性で受ける、守るなどによるターン切らしがある。電気耐性があるポケモンで受ける場合、めざめるパワー氷に注意。

バンギラス

 拘り鉢巻き、きあいのタスキ、黒い鉄球などを持ち、岩の一貫性と悪タイプによるトリル役への牽制を仕掛けてくる。鉢巻き噛み砕くや鉄球投げつけるはブルンゲルを落とす。
 対策としては、バンギラスより遅いポケモンの用意、格闘タイプ・鋼タイプ・地面タイプやスイクンなどバンギラスに強いポケモンにより耐性で受ける、先制技による縛り、守るによるターン切らしなどが有効。耐性で受ける場合は冷凍パンチや蹴手繰り・炎のパンチなどのサブウェポンに注意。

ハッサム

 鋼の耐性で剣の舞をし、高火力な虫食いやアクロバットによる飛行の一貫性で攻めてくる。剣の舞虫食いはクレセリアを、剣の舞ジュエルアクロバットはガブリアスやブルンゲル、コバルオンを縛る程度の火力。
 ハッサムは打点と耐性の関係で、トリックルームによる切り返しや、ハッサムより遅いポケモン、先制技などでの対策は余り有効でなく、トリックルームのターンを切らすか、耐性のあるポケモンで受けるのが有効、受けうるポケモンとしてはヒードラン等の炎タイプ、ボルトロスやサンダー・ジバコイルなどの虫タイプに耐性のある電気タイプなどが挙げられる。トリックルーム展開と同等に剣舞バレットパンチによる非トリル下での制圧力にも注意。

メタグロス

 こだわりハチマキなどをもち、鋼の耐性から鋼・エスパー・格闘・氷などのうち一貫したタイプを撃ってくる。ナットレイなどはアームハンマーで突破される。
 対策としては、トリックルームの切り返し、耐久力のあるポケモンや守るなどによるトリックルーム切らしなどが有効。範囲が広いので耐性で受ける場合には注意。

ニョロトノ

 拘り眼鏡などの火力強化アイテムをもってトリックルームから攻めてくることがある。キングドラとC種族値は5しか変わらないので、同等の火力をもつ。
 対策としては、トリックルームによる切り返し、ニョロトノより遅いポケモンによる縛り、守るなどによるターン切らしなどが有効。ニョロトノ+トリル役の並びにドラゴンと電気が一貫するので、非トリックルーム下でそこに付け込むのが良い。
最終更新:2012年10月30日 21:14