アトラ・シンドローム

内容に対するツッコミは、本を読んでから実行して下さい。読まずに憶測でこうだろうと決めつけて「オカシイ」と指摘してはダメです。

アトラ・シンドロームとは

涼野遊平(宇野涼平)の小説第二弾
伊月の戦争の続編ではなく、完全新作
登場人物の名前の元ネタは宇都宮線(東北本線)の駅名がモデル。

スーパーダッシュ文庫公式サイトから1章までの試し読みが可能です。
http://dash.shueisha.co.jp/release/index#978-4-08-630786-4

+ 発売前に書かれた内容のため折りたたみ
伊月の戦争に引き続く、新進気鋭の作家・涼野遊平(宇野涼平)の小説第二弾が近日発売
http://ranobe-mori.net/news/2014/04_009967.php

2014年 5/23発売
●アトラ・シンドローム -世界壊しの子-  【著:涼野遊平/絵:上田夢人】

タイトルからすると伊月の戦争の2巻という訳ではないようだ。
ストーリーにおいて伊月の戦争と関連性があるかどうかは不明。
(続報)あらすじが発表された。伊月の戦争とは少なくとも直接的には関連しない話の模様。

あらすじ

1999年7の月に予言された人類滅亡を逃れたその後、人知れず超能力に目覚めはじめる者たちがい
た。古河昴(こがすばる)は、ある日、久喜祀(くきまつり)の所属する極秘超能力国家機関“空白
庁”による超能力犯罪取り締り現場に遭遇。2人の距離は急速に近づく。そんな中、新たな災厄が
2016年、地球に迫っていることが判明。小惑星が地球に近づき、その落下照準は、どこにいよう
と、祀。この瞬間、彼女は全世界の敵となった。ただ一人、昴を除いては。絶対に、この世界壊しの
超能力病(アトラ・シンドローム)患者を守ってみせる。SFギミック×青春ラブストーリー開幕。

あらすじについて

あらすじだけでも相変わらずの悪文ぶりが散見される。
  • 同じ語尾の連続
    • 「予言された~逃れた~者たちがいた。」一般に体言止めを使うなどして語調を変えるもの。
  • 1行目は丸々不要と思われる
    • 《問題なし》:本編を読むとわかるが、一応1999年7月に触れる意味はある
  • 2,3文目はピントがややズレている。
    • 昴の遭遇した取り締りに祀が参加したことが明確でなくなっている。祀と昴の出会いは取り締りの場であったことが第一の内容であるはず。
    • 「2人の距離は急速に近づく」普通この表現は2人が元々知り合いだった場合に使う。昴と祀は取り締り時が初対面のため不適切。
      • また、その後に「そんな中」とあるため、「近づく」ではなく「近づいていく」と時間の経過を示した方がよい。
    • 「ある日、昴は『~空白庁』の取り締まりに遭遇。出会った少女、祀と急激に親密になっていく。」などか。
  • 隕石の落下を「災厄」とするのはやや不自然。
    • 「災厄」はややオカルティックな意味合いを持つ。科学でどうこうするものにはそぐわない。
      • 「新たな危機」や97年のものと合わせて「新たな滅亡」としたほうが自然。
  • 落下照準?
    • 自分で狙いを定める「照準」と、自然現象である「落下」はやや相容れない。「落下位置」や「着弾地点」あたりが妥当。
    • 「祀」を「照準」しているのであれば、どこにいようと祀であるのは当然である。「照準」を使う場合「どこにいようと」は不要。
      • わざと引っかかる語にして目を引こうという試みか。
        ただ、直後に「超能力病」という超重要語が出現するのにこの位置にフックを持ってくるのは下手。
  • 「ただ一人、○○を除いて"は"。」否定文の倒置ですらない
    • 《問題なし》:強調の係助詞「は」であると思われる。頻繁にみられる表現。
    • 倒置法を元に戻すと「彼女は、昴を除いて、全世界の敵になった」となる。祀が勝手に昴以外の全世界を敵視しているようである。
      • 「この瞬間、全世界が彼女の敵になった。ただ一人、昴を除いては」の方が適切。
  • 前半は要素を盛り込みすぎて説明不足、後半は意味不明
    • 世界壊しと言いたかっただけではなかろうか
    • 《問題なし》:この辺は未読者に向けたあらすじ特有のものではないだろうか。取りあえず作品世界を大雑把に説明して意味不明ワードで読者を読む気にさせる、というのがあらすじの基本であると思われる。

なお「少女の特殊能力が小惑星を引き寄せる物語」という点は、
TRPGナイトウィザードのリプレイ「星を継ぐ者」(2002/4)と丸被りである


スレ住民による全面改稿例

名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2014/05/20(火) 11:08:32.46 ID:KK1adLM3 [2/9]
人類が滅亡を逃れた折、超能力に目覚める者たちが出はじめた世界で
古河昴(こがすばる)は、極秘超能力国家機関“空白庁”の超能力犯罪取り締り現場を目撃、
久喜祀(くきまつり)という少女に出会い、2人の運命は急速に回り始めた。
だが、新たな災厄が祀を襲う。小惑星が地球へと近づき、その照準が祀に合わせられていることが周知となり……
彼女は世界の敵となった。ただ一人を除いて。
この世界壊す超能力病(アトラ・シンドローム)から貴方を守ってみせる。SFギミック×青春ラブストーリー開幕。

  • 《補足》
    細かいことだが小惑星の件も祀が照準であることも周知されておらず、世界のほとんどの人は「知らないうちに何かあって全部終わってた」。
    そのため、この「世界の敵」というのもおかしな話。作中でも古河ひみつが言っているように「何とかしなくちゃいけないのはあっち(小惑星)」である。

amazonの商品説明

すべては世界最強の“超能力病"患者を守るため。主人公・昴は少女の命か世界平和かの二者択一を迫られる。
第11回スーパーダッシュ小説新人賞《特別賞》受賞作家が贈る、SFギミック×ラブストーリー。
  • 二者択一となるものが変。世界平和?
    • 少女の命が失われると世界平和が訪れるわけではない。戦争などの問題が解決するのではなく、小惑星衝突が回避出来るだけであるので、良くても現状維持と思われる。
    • 地球滅亡の回避と世界平和は、イコールではない。言い換えられない。「世界平和」ではなく「少女の命か世界滅亡かの二者択一」が適切では。
  • 世界最強の“超能力病"患者を守る、という展開は本編では見られない。
    • 《問題なし》このワードはSD文庫側の商品紹介ページでも見出しにされている。
    • 商品説明(あらすじ)と本編の内容が異なってしまっている。
    • 見られないわけではない。「守る」という能動的な行動ではないが、結果的にはそうなっているのでこの点は問題ないのでは?
  • この手の作品紹介用のあらすじは、普通、作者本人ではなく担当編集などの周辺人物が書くものである。最終稿を仕上げた人物はさらに外部の人間で、本編は未読であることすら大いに考えられる。
    商品紹介文のアラまで宇野氏一人の責任とするのは無理がある。
    (ただ、amazonはともかくSD文庫側のあらすじはさすがに作者の了承を得ると思われるため、宇野の責任も大きい。また、宇野のストーリーや設定が不可解で要約しづらいというのも原因の一つである。)
    このあたりは会社によって対応がまちまちで、「つかみ」という意味では「おまかせ」でプロの編集にやってもらったほうが良いこともあるのだとか。

登場人物


古河昴(こが・すばる)

  • 本作の主人公。超能力者。能力は『力場制御』?
  • 1999年生まれ。現原高校2年生。
    「めんどくさいことが嫌い」なラノベテンプレ主人公。
    学力や身体能力に関する記述なし。容姿に関しては女生徒からの発言では良いほうの模様。
    祀が転入してきた際の反応からすると「イケてるけどもう一声」くらいか。
  • 超能力者だが自覚がなく、自身の能力の使い方もよくわかっていない。『能力波』という超能力を使用した際の特殊な脳波も検知されない。
    祀やかすみの能力を打ち消すことができるが無意識の防衛機構であり、能動的に用いる描写はない。
    • 物語中では明示されていないが、おそらく昴は先天的な超能力者である。能力は母親と同じ『力場制御』と思われる。
      物語終盤までは他者の超能力を無効にする部分を無意識に用いているだけであったが、クライマックスで本当の能力が目覚めた。
      そのため『先天性』を父親から、『能力』を母親から受け継いだと見るのが妥当か。
      • 昴の超能力を打ち消す特性は、超能力病患者であった母親の「母親の能力から身を守るため」に備わったものと思われる。
        もしくは出産直後の子供が病気に対する免疫を母体から貰って生まれてくるように、母親の能力で守られて生まれてきていたのかもしれない(それにしては効力が長すぎる気がするが、それも「お母さんだから」で説明するのだろうか?)。
      • 昴の超能力の「他者の超能力を無効化できる」という特性が祀の特性と同一であり、『最強の超能力病患者』である祀の能力を打ち消すほど極めて強いという点から「昴と祀の関連性」を匂わせている点は布石として秀逸。
        しかし本文中のドタバタコメディーから祀とひみつの関連性や検知されない能力波云々を読み解くのは不可能。
    • 彼の超能力に「能力波」が検知されないのは超能力患者(≒小惑星衝突のためのビーコン)ではないからで、これが先天的超能力者の根拠であり、物語の伏線にもなっている。
    • 《考察》
      しかし、物語中で能力波が検知されない能力者は昴しかおらず、他に先天的な超能力者がいない以上は先天的能力者は能力波を検知できるのかどうかが確定しない。
      先天的能力者と後天的能力者の違いが明示されていない以上は昴が単純に特別なだけ、というプレミアム感をもたせただけとも解釈できてしまう(宇野リッシュのひとつ『イレギュラーだらけ』の類型)。

久喜祀(くき・まつり)

  • 本作のヒロイン?。
  • 1999年生まれ。内閣府空白庁『第零課』所属。超能力病患者。能力は『力場支配』。
  • 運動エネルギーや位置エネルギーといったありとあらゆるものに干渉する能力。「やろうと思えば何でもできる」。
  • ゴーイング・マイウェイと言えば聞こえがいいが、傍若無人で強引、図々しい性格をしている。
    • しかしこれは彼女の生い立ちが原因。普段はそこそこ人当り良く振舞うことができるが、近しい相手や好意を持っている相手に対しては拒絶されることを怖がって逆に遠ざけようとしてしまうためとも思われる。
    • 何でもできる能力を盾に傍若無人なふるまいと言えば『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズで知られる涼宮ハルヒの影響がみられるか。
  • 超能力病患者は大なり小なり能力の『暴走』の危険を抱えているが、彼女は特に対策がない状態で一線級の任務に従事している。
    • 非常に危険な運用で、作中では大地震を引き起こすなどこれまでに救ってきた生命や財産を一瞬で帳消しにするほどの大災害を起こしかねない。
      だが一方で「対策がないんだしとりあえずその時まで使えるだけ使おう」という意図で彼女を使っていたという判断もあながち間違いではないかもしれない。
      とはいえ物語終盤で隔離施設に軟禁されていたことからも、無理に使う必要があるかどうかは疑問が残る。
      特に彼女は人格的に問題があり、超能力を用いた犯罪者は普通に追いかけながら、ぶつかった昴に下着を見られたので能力を使って抹殺しようとするなど暴力性が強すぎる。
  • 物語は彼女が小惑星ハシスを引き寄せてしまう「ビーコン」であったことで大きく動き出す。
  • 「なにかあったときに対処出来ないけど使う」というノープランな運用はPSO2でも健在。
  • 物語最終盤で「世界か祀か」という二者択一を前に「世界のためだから仕方ない」と未来を諦めてしまった祀が昴との対話で「やっぱり生きていたい!」と叫ぶシーンはこの手の物語では必須かつ一番の見せ場。
    • しかしこれ自体はPSP2iからの流用。トゥルーエンドのラストバトル直前でのシーンでワイナールとナギサの対話がほぼそのまま用いられている。
      『アトラ・シンドローム』の運命を受け入れて生きることを諦めた少女が平穏な日常を思い出して明日を望んでしまうという展開そのものがPSO2iを踏襲しているといってもいい。
      もちろんこの展開もPSO2に流用されている。EP2外伝~EP3のマトイがそれにあたる。

潮来かすみ(いたこ・かすみ)

  • 祀の同僚で内閣府空白庁『第零課』所属。超能力病患者。能力は『意識盲点』。
  • 昴や祀の1年年下で銀髪ツインテール。無感情系ヒロイン。
  • 能力は対象を認識できなくなるというもので、認識できなくなったものは「なかった」として周囲の人間が勝手に補完して記憶を改ざんしてしまう側面がある。
    • 主に祀の後始末に使われ、大規模な事故からこまごまとしたものまで隠蔽されている。対象の範囲や負担などは全くわかっていないが、それなりに自由が利く模様。
    • 一方、この能力はかすみ自身も完全に制御できておらず、自分の存在そのものを他者に認識されにくくなっていたり、忘れられやすくなってしまっている。
      祀と昴はそれが通じないので、孤独だった彼女の「見つけてもらえる」「忘れられない」という願望を満たしてくれるため心を開いている。
    • この「認識されない」「忘れられる」はPSO2のクーナと透刃マイに流用されている。
  • 《疑問点》
    水礼がかすみを忘れないでいられる・認識していられるのは昴がかすみの能力を無効化しているからで、水礼は昴といつも一緒にいるので影響を受けないでいられるから。
    後に昴と水礼は記憶の操作を受けているが、昴が記憶を取り戻すと同時に水礼も(おそらく昴が記憶操作を打ち消したことで)記憶を取り戻している。
    つまり『アトラ・シンドローム』世界では「記憶操作によって起きたことを忘却し、本人が整合性がつくように補った」あとでも能力が無効化されれば記憶を操作されるまえのことを思い出すということになる。
    昴が他者の超能力を無効化するのは無意識に行っているので、かすみに記憶を操作されたであろう人物は昴とすれ違っただけでも本来の記憶を取り戻すことになるのではないだろうか?

城里水礼(しろさと・みらい)

  • 昴の同級生で一般人。ヤンデレストーカー系ヒロイン。
  • 昴の母とも仲が良く、頻繁にやり取りしている模様。
  • とにかくあらゆる角度からエロに繋げて話の腰を折り続けるスタイル。
  • 物語が終盤になって「付き合いが長いんだから分かりますよ」的な側面も唐突に出てきてキャラがブレまくる。
    • とにかくエロ妄想、とにかく話の腰を折るヤンデレストーカーといえばPSO2EP4の鷲宮氷莉か。水と氷で関連性はあるし。
  • なぜかかすみの能力『意識盲点』の影響を受けない。
    かすみの能力は意識的に使わなくても漏れ出しているので、水礼にも何らかの影響があるはず。
    昴と祀がいればその能力を打ち消せるので、彼女も忘れないでいられるというのは理屈ではある。
    しかしお祭りの花火イベントではかすみと水礼は二人で行動しているし、その後の「忘れてしまった」イベントでも普通に記憶を取り戻しており、不自然。

古河ひみつ(こが・ひみつ)

  • 昴の母親。国立天文台副台長。1975年生まれの41歳。物語の最重要人物。
  • おそらく偽名、または過去に改名している。本名は古河祀。旧姓は久喜。つまり久喜祀本人。超能力病患者で能力は『力場支配』
  • 古河吊鐘と結婚して昴をもうける。しかし直後に吊鐘は行方不明に。以来17年間女手ひとつで昴を育ててきた……ということになっているが、本人は学者業に邁進していたため昴はほぼほったらかしだった。
    とはいうものの、ひみつは1999年に飛ばした小惑星アトラが撒いたビーコンのことを知っており、いつか来るであろう小惑星の対策のために天文学関連の学問を必死に修めてきたので、それはそれで仕方がなかった

古河吊鐘(こが・つりがね)

  • 古河昴の父親で古河ひみつの夫。超能力者。能力は『時間転移』?
    彼が小惑星アトラを時間を超えて飛ばしたことが間接的な原因となって、超能力病『アトラ・シンドローム』が生まれた。かなりぼかしてはいるがほぼ故人とみて間違いない。
  • 彼が本作最大の謎と言ってもいい。まず彼はなぜ「1999年7月に小惑星が飛来する」ことを知っているのか。
    • おそらくは古河ひみつによってもたらされた情報だろう。しかし古河ひみつは1999年に飛来した小惑星アトラによって超能力病を発症している。そのため1999年の時点で古河ひみつが小惑星アトラのビーコンであった場合、重大なタイムパラドックスが発生してしまう。古河ひみつ(逆算して1975年生まれ)は久喜祀(1999年生まれ)と同一人物であり、この年に生まれた祀はひみつの小惑星アトラによって超能力病に目覚めたことになる。そうするとひみつの超能力はいつ目覚めたのか→1999年の小惑星アトラ飛来時→小惑星アトラは「超能力病患者のひみつが呼び寄せていた」ので事象のループが発生してしまう
    • 彼自身の能力かもしれない。彼は2016年に息子の昴が超能力に目覚めることを知っている。これは古河ひみつは知らない出来事でなければおかしい。
      ひみつの時間転移は昴、または昴に当たる人物が彼女の超能力の暴走を止められなかったことが原因。作中では昴がこれを止めており、ひみつがそれを知っていた場合、古河ひみつは存在し得なくなってしまう。
  • 彼が1999年の時点で小惑星アトラを破壊しなかったのは2016年に小惑星ハシスが接近することを知っていた(orひみつから聞いていた)ためと思われる。
    小惑星アトラを破壊するだけなら1999年の時点でも可能だが、それをしてしまうと2016年の小惑星ハシスに対処できなくなってしまう。そこで苦肉の策として命と引換えに小惑星アトラを2016年に飛ばし、そこで息子の昴に未来を託す、というプランを用いた。
    • しかし2016年に昴が超能力に目覚めることを「知っていた」のであればこれがどこからもたらされた情報なのかが不明。上記の通り古河ひみつはこれを知っていてはいけない。
      吊鐘本人が時間に関わる能力を持っているので予知ができたのかもしれないが、そうした描写はないし、それは流石に「何でもできる」に過ぎる。
      「自分の血を引いた昴ならきっとやってくれる」と信じてイチかバチかに賭けた、昴はそれに応えた……とするのがドラマチックな展開として無理のないところだろうか。
      • 彼が故人である根拠は1999年の時点で小惑星アトラを破壊していないから。小惑星アトラを破壊できるなら2016年でも破壊すればいいだけの話。
  • 宇野キャラらしく砕けた口調で空気が読めず、ひょうひょうとした人物でえがかれている。クライマックスでは残された記憶と再会した昴と寒いやり取りでドラマチックなシーンを台無しにするなど、宇野氏の悪癖であるシリアスな場面で腰を折り、盛り下げていった。

機初大悟(はたそめ・だいご)

  • 内閣府空白庁長官。超能力病患者。能力は『座標交換』。
  • おっさんキャラだが容姿に関してはあまり詳しく描写されていないのでおっさんとしか言いようがない。
  • 能力は場所を入れ替えるだけでワープとは違うもので、交換元と交換先にあるものが干渉すると失敗したりするらしい。
    また天候や体調にも左右され、正確な動作は不得手。ただし自分自身のみであればそこそこの精度は保てるようだ。
    • これは『伊月の戦争』の『英雄隊』が持っていた能力の流用。ワープや転位ではなく「均衡の状態を維持する」能力の派生で「入れ替えているだけ」という点で全く同じ。

那珂湊(なかみなと)

  • 内閣府空白庁第四課主席。
  • ちびっこ、髪がぼさぼさ、白衣がズルズルで乱暴な言葉遣い以外は不明。性別も不明
    ハイテンションキャラというよりは狂人。
    キャラも設定もブレブレで何のためにいるのか。物語にも「顔のないモブ」でできる程度のことしかしていない無駄なキャラ。
    一人称も「ぼく」だったり「オレっち」だったりとキャラ付けはブレブレ。会話に参加してくる割に「ははっ!なんだこれ!なんなんだよ!」と無意味な発言に終始。こっちが聞きたいよ。
    単にちびっこマッドサイエンティストを出したかっただけと思われる。
  • 年齢はひみつが「3倍くらい生きた」と言っているのでだいたい12~14歳くらいと思われる。しかしこれも物語的には何の意味もない無駄な設定。
  • 小惑星ハシスの動向や超能力病患者の能力波を観測している。那珂湊が「予知姫」ではないかという意見もあるが、機初のセリフから四課は分析を担当しているので那珂湊は「予知姫」ではない(ちなみに予知は三課)。
  • 苗字の元ネタは駅名からなので「那珂・湊」ではなく「那珂湊・〇〇」が正しいと思われる。

「予知姫」(よちひめ)

  • おそらく内閣府空白庁第三課所属。
  • 序盤では彼女(?)の予知によって起きうる未来を事前に知り、それに対処を行うのが空白庁の仕事であり、中でも重大なものに関しては祀が大黒柱として機能していた。
    これが『アトラ・シンドローム』の序盤のストーリーラインであった。
    しかし日常のドタバタコメディー仕立てのトークにページのほとんどを裂き、祀をはじめとした「知られざる超能力者たち」の部分を一切描こうとしなかったせいか中盤以降は一切話題に出ることがなく、そのまま忘れられてしまった。

設定・世界観

物語の顛末

  • 時系列的には、
◆物語開始以前
ひみつ、24歳までに何らかの要因から能力が暴走し、過去へタイムスリップ。
どの時点に出現したのかは不明だが、逆算して1975年生まれになるタイミング。
ひみつ、古河吊鐘と出会い結婚。1999年(24歳)に昴を出産。小惑星アトラ飛来。
古河吊鐘、2016年の「昴が能力に目覚める」時点に合わせて小惑星アトラを2016年の未来に時間転位させる。
また、彼女が過去世界に転位してから2016年までのどこかのタイミングで名前を「古河ひみつ」と改める。
◆物語開始
2016年、昴と祀が出会う。
小惑星飛来。昴の能力が完全に目覚めたタイミングで1999年から飛ばされてきた小惑星アトラが出現。
小惑星ハシスと小惑星アトラを衝突させ、大団円。
  • 超能力と小惑星の関係、超能力病の定義の部分が曖昧なので不確定な部分をなるべく排した場合は大体このようになる。
  • 各所にツッコミどころはあるのだが、「SFギミック」としてはそんなに破綻してはいない。

超能力病

  • 超能力は病気であると定義したはいいものの、ほとんど意味のない設定。
    超能力病患者が病気であることに悩んでいるであるとか、健常人からの差別や軋轢、社会問題といった「病気であること」が全く語られておらず、また社会的にもほとんど知られていない。
    病理学的にどのようなものであるかなどの細かい描写は架空のものである以上は問題とは言えないが、治療や治癒といった症例も全くなく、「病気」とした意味が全くない。「超能力は病気」というセンセーショナルなうたい文句だけで終わっている。
    つまり病気とすることになんの意味ももたらしていない。
  • 超能力と小惑星アトラの因果関係が不明。
    • 《補足》:超能力病は小惑星アトラが撒いた「ビーコン」の副作用。そのため超能力との因果関係はあるが、別に病気である必要がない。
  • あらすじでは1999年アトラ衝突の回避後に超能力病が生まれたとしか読み取れないが、実際には昴の父親も母親も超能力者である。特に父親は小惑星のビーコンではない「通常の超能力者」でなければならない。
    • 《補足》:古河吊鐘によって2016年に飛ばされた小惑星アトラは「確実に地球へ衝突するために」とあるため小惑星アトラが接近した時点では超能力病が発症していてはおかしいことになる。
      また、昴の母親も超能力病であることが示唆されているが、彼女の場合は重大なタイムパラドックスに発展しかねないのでやはり不自然。
      古河昴の母親である古河ひみつ、つまり久喜祀は1999年の小惑星アトラの接近で超能力病が発症(≒小惑星のビーコンになった)している。それが原因で能力が暴走し、「1999年以前にタイムスリップしている」。そして1999年の小惑星アトラはその能力を持った古河ひみつ=久喜祀を目標にして飛来している。ということは最初に古河ひみつ=久喜祀が超能力病になった時の小惑星は「誰がビーコンになっていたのか」という問題が出てくる。
    • 《考察》:小惑星アトラが接近したのが「ただの偶然」であれば問題は生じないが、小惑星アトラ、小惑星ハシスとも超能力者が能力を行使した時に生じる「能力波」を目印にして地球に向かってくるという性質を持っている。そのため1999年に接近した小惑星アトラが超能力病患者でない場合、つまり先天的・後天的を問わず小惑星のビーコンでない超能力者の能力波に引き寄せられるとした場合、いくらかの問題も生じうる。
      • このあたりの超能力病患者と先天的超能力者の違い、能力波に関する情報がないため憶測を挟むが、昴が能力波を検出されない理由が「世界か祀か」という選択をさせるためだけのものであった場合「単純に特別だから」という説明をせざるを得なくなり、のちの伏線として機能しなくなる。これではせっかくの布石が台無しになってしまう。宇野のことだし何も考えてなかった可能性は多分にあるのだが・・・。
  • ほかにもいろいろなタイムパラドックスや世界のループに関する疑問点や解釈が生まれてくるが、それらに関しては一貫して物語中で扱われていないので論じること自体が無意味かもしれない。

小惑星アトラ

  • 1999年に飛来した小惑星。「いつの間にか無くなっていた」として一時は話題になったが、物語の2016年ではほぼ忘れられている。
  • 作中では「小惑星アトラは、ある日突然姿を消した。だが、ただでは消えなかった。次こそ、何があっても確実に地球へ衝突するため、ビーコンを残していった。それこそがきっと、超能力病の始まり(P.236)」とある。
  • 超能力者が超能力を行使する際に発する「能力波」が小惑星アトラおよびハシスを呼び寄せるガイド。個人差があるものの、超能力の強さがガイドの強さになっている。
    そのため小惑星アトラ、ハシスとも「最強の超能力病患者」である祀めがけて飛んできている。
    • 2016年の時点では「超能力を使うと能力波が観測される」までしか解明されていない。昴は能力波が観測されない特殊な超能力者だが、これは彼が先天的な超能力者であり「超能力病患者ではない」ため(と思われる)。
      そうでなければ昴が能力波が発生しない超能力者である必要がない。作中では昴の特異性があまりクローズアップされていないので「短絡的にスペシャルな主人公」にしたかっただけという可能性もあるが、
      「超能力病患者が大量に発症し始める1999年生まれ」という情報をミスリードに利用して「実は先天的な超能力者だった」というのは上手いやり方ではある。
    • 超能力者が時々自身の能力を制御できなくなる「暴走」状態になるのは強制的にガイドを発信させるため。
  • 小惑星アトラ、ハシスとも「なぜそんなに地球にぶつかりたいのか」に関しては結局謎のまま。
    といってもこれは問題とは言えず、よくある惑星衝突もので「なんでか知らんけど飛んできた」に理由をもたせたため。つまりそれ自体に意味はない。

小惑星ハシス

  • アトラと同じ規模を持ち、地球に衝突すると地表が全てめくれ上がる程度の災害を引き起こし、衝突までの猶予は1か月との描写がある。
    • 小惑星ハシスは久喜祀の『能力波』を目印にして飛来してきている。そのため古河ひみつを目印にして飛来してきた小惑星アトラと同規模(昴によると「同規模で同質量」)だが、アトラとハシスは別のもので確定。
    • この場合「(小惑星が)同規模で同質量」は重言である。「(衝突した場合に発生する被害が)同規模」であろうか。
    • しかし別のものであれば同規模で同質量と断定するのは不可解。
      • 《問題なし》:宇宙空間を運動する天体の質量は、その軌道を観測することで容易に予想できる。質量が同じと断定することは可能。
      • 《補足》:この「不可解」とは「飛んでくるものの質量がわかるのがおかしい」のではなく「久喜祀をめがけて飛んでくる小惑星ハシス」と「古河ひみつをめがけて飛んできたが古河吊鐘によって2016年に飛ばされた小惑星アトラ」が「なぜ同じ質量のものが飛んでくるのか」ということ。また、古河昴がこの情報を得るのは「超能力に目覚めて小惑星アトラと小惑星ハシスを衝突させる直前」である。
        とはいえ、本文中にもあるが「小惑星アトラは消えたが本当に消えたのか、どこへ行ったのか」という疑問から始まる自問自答でおおむね回答は得られている。しかし、それも唐突な伏線回収である。
    • 同一人物が引き寄せているのだから同規模・同質量のものが引き寄せられるのが当然という論もあるのだが、であれば「もっと小さなもの」や「より大きなもの」も引き寄せられていなければおかしい。
    • そもそも超能力病の始まりが小惑星アトラが「次は確実に地球に衝突するために」とあるため、小惑星アトラ以外の小惑星がビーコンを目印に飛んでくるとは考えにくい。ビーコンに引き寄せられる小惑星が他にあるのなら上記の通りほかの小惑星も引き寄せられていなければならない。
      同規模かつ同質量のもののみが引き寄せられるのは不自然であるし、かといって小惑星アトラと小惑星ハシスが同一のものである可能性はゼロ。

この瞬間、彼女は全世界の敵となった

※小惑星の衝突が物語上では久喜祀を『どうにかする』ことでしか解決できないことを指して「世界の敵になる」と表現しているのであれば、ただのアオリであり、下記の問題は発生しない。
実際には祀をどうにかする以外の選択肢が作中に用意されておらず、全世界の敵になった割には主人公周辺の事情しか描かれていない。
「世界」の幅を一個人にまで狭め、「祀にとっては全世界が敵」とでも解釈しない限り、世界が狭いと言われても仕方がない内容となっている。

ラブストーリー

  • ラブストーリーにしてしまうと倫理上の問題が発生する。昴と祀=ひみつは親子なので
  • ページの大半が昴と祀がキャッキャウフフする物語になってはいるものの、二人がくっつくことはない。
    そもそも恋愛要素自体が皆無で、好意を寄せる描写もなし。ラブでもなければストーリーでもない。

時間移動ギミック・タイムパラドックス

  • 「暴走によって生み出された開闢にも等しいエネルギーは時空間すら歪める」(原文ママ)
  • 時間移動ギミックを用意したはいいものの、それを展開するロジックが稚拙としか言いようが無い。「開闢にも等しいエネルギー」も意味不明。どんな理屈だ。
    現実に起こりえない、起こりうる可能性が極めて低い空想科学的な事象なのだから、別に「なんでか知らんけど過去にいた」でも構わない。わけのわからない理由をつけるくらいならつけないほうがまし。
  • 伏線を全て「お母さんだから」という台詞ではぐらかし、ラストに時間移動を組み込むのだからギミックとしても無様。
  • 時間移動系の作品ではままあることだが、『アトラ・シンドローム』においても「始まりの時点でタイムパラドックスが発生している」という問題もある。
    すなわち古河ひみつと久喜祀が同一時間上に存在することと、祀の超能力病の原因がひみつにあるという二点。
    これが物語の「始まり」である以上は何となくわかってくれよと言わんばかりにごまかすことはできない。
  • 事象の修正をどのように扱うかで様々な意見があるが、世界線が1つであった場合に未来も過去も「起きなかったこと」として修正されていくのであれば、祀の暴走が止まったことで古河ひみつが生まれなくなり、超能力病も発生しなくなる。これによって社会問題となりつつあった超能力病関連の事件も終息することになるだろう。しかしその場合は古河昴も生まれなかったことになり、古河昴が生まれなかったのであれば久喜祀の暴走が止められなくなり、結局古河ひみつは生まれてしまう。
  • 時間線が複数ある、分岐した先の世界がある場合も「誰が最初の古河ひみつになったのか」という始まりがポイントになってくる。
  • 物語中のセリフから読み取れる部分も少なくはない。しかし、「私の時はさ、来てくれなかったのにさ、今回はすぐに動いてさ、ちょっと妬けちゃうな…・・・」「けどまぁ、私の教育がよかったってことだよね!ほーんと、昔とは大違い!」と昴に対して愚痴を言ってるので、ひみつがタイムスリップする前にも昴に会っている可能性がある。とすれば昴の母親がだれかという話になってしまう。
    その時間軸でもひみつが昴の母親だった場合は同一時間軸に同一人物の過去と未来が存在することになり、事象が衝突してしまう。
  • ひみつが別世界線の過去世界にタイムスリップしたとすれば表面上のつじつまは合う。しかしその場合はやはり上記のようにひみつの愚痴を言う相手が誰だったのかという点で疑問が生じてしまう。別に名も知らぬだれかでもいいのだが、わざわざ昴に向かって言う必要がなくなるからだ。
    • やや強引だが、好意的に解釈して、「私の時はさ、(誰も)来てくれなかったのに」「ほーんと、昔(私の時)とは大違い!」という意味で解釈すると、どちらのタイムスリップでも問題はより小さくなるか。しかしやはり昴からすれば「なんで俺に言うの」と釈然としないところ。
  • このあたりのタイムパラドックスはそもそもそのようにデザインされた物語でなければ、その多くはご都合主義的に「そのあたりは想像にお任せします」となっていることがほとんど。まして『アトラ・シンドローム』はドタバタラブコメディーなのでそこをつつくこと自体ナンセンスか。
  • また、物語開始前にあった大きな驚異をその時点では対処できず、未来に飛ばして解決という物語のおおまかな流れは「The Elder Scrolls V: Skyrim」(2011年11月11日発売)ともよく似ている。
    全世界で空前絶後の大ヒットとなった名作中の名作。2019年になっても未だにプレイ動画やMOD開発が盛んな人気作品であり、ゲームプレイヤーであれば名前も知らないということはまずないと言われるほど。2018年3月20日にはNinendoSwitch版も発売された。
    宇野氏は自身がtwitterで投稿していたように一般的なゲーム好きであり、時期的に見ても影響がまったくなかったと言うのは到底無理がある。
    むしろ知っているなら似たようなネタになってしまうのを避けるもので、それゆえに「宇野氏はスカイリムを知らなかったからセーフ」と見ることもできる。しかし宇野のことだから……。

同規模・同質量の小惑星同士をぶつければ問題は解決する

  • 「ぶつかった後どうなったか」の描写はない。
    • 『アトラ・シンドローム』の物語としての主眼は時間移動と「どうやってそこまでもっていくか」なので、ぶつけた結果「なんとかなった」でも構わないかもしれない。
      下手にあれやこれやと付け足してしまうよりは良い。

馬鹿馬鹿!

  • 「キャラが何かをけなしながら語る」というパターンばかりなのは本作でも踏襲されている。
    • 素直になれない二人がワーワーと怒鳴りあいながら、というのはドタバタコメディーでは定番中の定番だが、それしかないのはやはり問題では。

この世界を壊す超能力病~

  • 前作『伊月の戦争』でも用いられた「世界を壊す」。これはPSO2の高難易度エリア「壊世地区」にも流用されていると思われる。
  • 普通「世界を壊す」というのは「既存の社会秩序を破壊する」か「世界の根幹となる現象・法則を無効にする」というイメージであり、小惑星が衝突するのは「人類の滅亡」「地球の破壊」であっても「世界を壊す」とは印象が異なるのでは。
    • 『伊月』であれば「(伊月が平和に暮らせた)社会秩序の崩壊」、「壊世地区」であれば「出現するエネミーが生物学の法則を無視している」など理解可能な用法だが……


カレンダーの暦は、一九九九年七の月

  • カレンダーの暦という言い方はしない。というか、カレンダー自体に暦の意味がある。
  • 『カレンダーの日付』をカッコよく言いたかったのかもしれないが、暦には日付という意味はない。「(小惑星の)規模も日時もピッタリ」「同年同日」との事であるが、肝心の日時の記述がない。
  • 「7月」ではなくわざわざ「7の月」としたのは、「ノストラダムスの大予言」関連でよく使われた表現なので、それを踏襲しているだけだろう。

本文中の表現


カーテンの音で「ふと」振り向いた

ふ‐と	 【ふと】	

[副]
1 はっきりした理由や意識もないままに事が起こるさま。思いがけず。不意に。ふっと。「―立ち止まる」「夜中に―目がさめた」
2 素早く容易に行われるさま。すぐに。即座に。「竜あらば、―射殺して」〈竹取〉
3 動作の敏速なさま。つっと。「猫また、あやまたず足もとへ―寄り来て」〈徒然・八九〉
◆「不図」「不斗」などと当てても書く。
参照:デジタル大辞泉

  • 厳密には誤用ではあるが、最近では「ハッキリした理由や意識があっても」ふ - とを使ってしまうことは多く、一般的にもまま用いられることはあるため許容の範囲内。

いきなり頭を撫でられてスタン状態(P,17)

「いきなり頭を撫でられ、スタン状態だった水礼は、昴の姿消えてからはっと正気に戻る
  • 不意に頭を撫でられてスタン状態になり、正気に戻るという表現はおかしい。そもそも意味が分からない。
    • 恐らくビックリしていたorウットリしていた所から我に返る、と言いたかったのだろう。
  • 《問題なし》
    この場面では「昴が突然水礼の頭を撫でる」→「水礼、いきなり頭を撫でられスタン状態」→「昴が立ち去る」→「水礼が元に戻る」という一連の流れになっている。
    いろいろと状況説明をすっ飛ばしてまとめた悪文ではあるが。
  • 《問題あり》
    意図は理解できるが、「頭を撫でられてスタン状態」というのはやはり不可解。スタン状態(stun)とは「(人・打撃などが)気絶させる」「びっくりさせる・ぼうぜんとさせる」という意味で、物理的・精神的に強い衝撃によるものを指す。昴が電撃を流したであるとか、手のひらで強烈に張り飛ばしたなどであれば理解できるが、このシーンではそうではない。
    「頭を撫でられてウットリとしている」のならスタン状態は適切ではないし、ビックリして呆然としていたのなら「頭を撫でられてスタン状態」は適切ではない。

三十六計逃げるが勝ち(P.48)

  • 『送還』でもやっているネタ。
    同人作品と異なり『アトラ・シンドローム』ではプロの校正も入っているはず、意図的なものと思われる。
    • しかしこれは「わかっていてやっている」のであれば語のミックス、または誤用ともとれる表現に関して何らかのフォローが必要ではないだろうか。
    • それに対してツッコミが入ったり、文学少女から誤りの指摘があるなど会話の広がりにもなるのだが、無駄に消費してしまっている。ちなみにこれは昴の内面描写。
  • 一応、兵法三十六計の第三十六計は「走為上(走(に)げるを上と為す)」つまり「逃げるが勝ち」なので技名調に語ったと考えればおかしくはない。(「北斗神拳奥義 北斗百裂拳」のイメージ)
    《反論》まず兵法三十六計の「走為上」は「逃げるが勝ち」ではない。「(これまで三十五計を列挙してきたが、これらが通じなかったら最後は)逃げろ」または「色々語ったけど結局逃げるのが一番いいよね」である。そのため「逃げるが勝ち」という負け惜しみ、または「争いを起こさないことが勝利に等しい」という逆説的なものではない。すでに戦いは起こっている状況でのものである。
    技名のイメージであればなおさら意味不明。要するに「三十六計」と「逃げるが勝ち」は意味や用法が異なっているのだから、それをミックスしたところで意味不明になるのは当然。
  • ちなみに宇野氏の作品に影響が見られると言われるゴッドイーターの「雨宮リンドウ」のセリフ「死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。運が良ければ不意を突いてぶっ殺せ」はこの三十六計「走為上」'をざっくりと噛み砕いたものである。

辞書に書いてあるような情報を~(P.61)

  • 「辞書に書いてあるような情報」を調べもせず、正しく使うこともできないライター渾身のギャグ。宇野氏にしては諧謔のキマッた秀逸な自虐ネタ。

終わりの句(P.85))、続きの句(P.91)

  • 不自然な使い方。古い言葉をかっこいいと考える作者の好みはわからないでもないが。
  • 基本的に「句」単独では「俳句、または詩歌の一部分」という意味しか持てず、「語句」の意味で用いるのは不自然。
    • 「最後の語」「続く言葉」など「語」「言葉」で置き換えるか、「終句/結句」「二の句」など熟語とした方がよい。
    • 会話シーンでのセリフなので「一応最後まで聞いてやろう」や「続けて、どうぞ」といった口語を用いたほうが自然。

会話のデッドボール(P.91)

  • 言葉のドッヂボールと言いたかった?
  • デッドボールは、野球においてピッチャーの投球がバッターに当たること。物語中の「全員が勝手気ままに発言を行っているシーン」を表現するには不適切。
    • デッドボールは一回の投球の結果であって試合の進行の様子を表すものではないため、時間の広がりのある「会話」を形容するのはおかしい。また、デッドボールは「投げた人」「当たった人」がはっきり分かるため、「互いに好き勝手なことを言う」という状況にもそぐわない。
  • 「言葉のキャッチボール」が元ネタなのだが、そもそも「会話は言葉のキャッチボールである」という意味であり、「『会話』の〇〇ボール」という表現は基本的に誤用である。
  • 「書き手」と「受け手」が明確に分かれる小説媒体で、読者の受け取れない「会話のデッドボール」という語を放ってくる、この表現こそが『会話のデッドボール』と言えるかもしれない。

予知メーリングリストが来た(98ページ)

  • メーリングリストを通してメールが来るのであって、メールが届いた事を指してメーリングリストが来た、とは普通言わない。
    由来や意味をよく知らない低年齢層によくある誤用のたぐい。「よくあること」だが物書きが平気で子供じみた誤用を使っているのでは話にならない。

まさか今日び校舎を走っていただけで説教を食らうなんて(P.99)

「すみません昴くんに祀さん!まさか今日び校舎を走っていただけで説教食らうなんて思っていませんでした!
時間は常に走って過ぎ去っていくものだというのに、教育の現場というものはいつもいつも時代錯誤甚だしいですよねまったくっ!」
  • エロ妄想が爆発して学校を走り回ってきた水礼のセリフ。
    校舎を走り回っていたら説教されるのは当たり前。小学生でも知っていることが「まさか」というのが「まさか」である。
    • ちなみになぜ校舎で走ってはいけないのかというと危ないから。走るなら校庭を走りましょう。

祀の能力(109ページ)

  • 極端に言うと「やろうと思えば何でもできる」(原文まま)。
    いわゆるライトノベルで定番の「チート主人公」の設定だが、実際はなんでもできるわけではない。
    かすみのように精神に干渉することはできないし、機初のように「手を触れずにものを動かす」ことができるわけでもない。鉄腕アトムやスーパーマン、超人ハルクのように「物理的にすごいパワーがある」だけのものに過ぎない。
    作者が超能力をそのような平面的な力でしか捉えられておらず、「人の能力を超えた」ものとしては広がりがない。要するに現実ではありえない能力を用いるための想像力が足りていない。

発散光(P.159)

  • 『アトラ・シンドローム』では超能力を行使した際に「能力波」と呼ばれる特殊な脳波を発生させることが序盤に語られている。
    この能力の発散光は祀が能力の暴走を起こしたときにはじめて出てきた描写であるが、それに対して祀はこの現象が当然のように対応している。いつの間にかそれがあることになっている。
    • このシーンは夏祭りの後で昴と祀が二人きりでいい雰囲気という場面。
      おそらく「発散光」は「能力波」が空間に干渉し、光を屈折させて「光っているように見える現象」ではないかと思われる。
      しかし、能力波がどのようなものであるのかは序盤にサッと触れられているだけで「超能力を使うと観測される波長」としか語られていなかった。そのため「光を曲げる現象を起こす」というファクターはここで突然登場する。
    • PSO2でも散々に論じられているが、「新要素が出てくる」ことが問題なのではなく「その新要素が重大な意味を持つ場面で初出」という伏線張りと回収を同時に行うという宇野氏の作風・物語展開のこと。
      重要な情報が重要な場面で重要な役割をするのは当然のこと。しかし、それが重要であることや存在そのものが重要な場面になって初めて明かされるのでは「いつの間にかそうなっている」ご都合展開としかいいようがない。

お祭りで何をしたかを覚えていない(P.192)

  • 『アトラ・シンドローム』の日常パート山場ともいうべき「お祭りイベント」。それまで浴衣あわせなどでこのお祭りイベントが大きな意味を持つであろうことは明白な「布石」であった。
    しかし「お祭りの最初に浴衣のお披露目」「お祭りの最後に花火で締め」だけを書きたかったせいか、肝心のお祭り自体は「あまりよく覚えていない」と問答無用とばかりにイベントスキップ。布石かと思わせて実は何でもなかったというまさかの肩透かし。

嵐のような人

「……相変わらず嵐のような人ですね」
「なるべく来て欲しくないって意味では、台風のほうが正しいな」

嵐(あらし)は、自然現象・気象のひとつである。強い雨を伴う暴風のことを指す。なお、正式な気象学の用語ではない。

台風(たいふう)は、北西太平洋に存在する熱帯低気圧のうち、低気圧域内の最大風速が約17m/s(34ノット、風力8)以上にまで発達したものを指す呼称。
(共にWikipedia)
  • 「台風」は「嵐」の原因となる気象現象を指す用語である。台風はすべて嵐である(すべての台風は嵐を引き起こす)と言えるため、言い換えになっていない。
  • 「台風は来てほしくないけど嵐ならオッケー」という認識はかなり理解に苦しむ。普通どっちも来てほしくないのだが。

ゴーグルのようなもの→(直後に)ゴーグル(P.203)

  • ゴーグルのようだがゴーグルでないのか、ゴーグルなのかはっきりしない。結局ゴーグルなら最初からゴーグルでいいのでは?
    • 「ゴーグルっぽくないことは『ゴーグルのようなもの』って書いたから分かってくれたよね!次から『ゴーグル』って書くね!」ということだと思われる。
    • 「〇〇ゴーグル」なり固有名詞を与えてから「ゴーグル」を省略形として用いるか、「それ」「その装置」など指示語で言い換えをするのが普通。

その他・メタ発言

  • クッソもったいないですよ/クソもったいない(P.96/P.97)
    2014年当時に流行ったた淫夢ネタか。
    今日び女子高生の言葉遣いなんてこんなものだが、水礼は誰にでも丁寧語、「〇〇くん」「〇〇さん」という折り目正しいキャラクター。
    それが時々暴走するからキャラ付けになっているのであって、こうした乱暴な言葉遣いはライター側からのキャラ崩壊。何でも淫夢という流れは賛成しがたいが、流行りものに飛びつく宇野氏の性格からするとありえなくはないか。
  • やられたからやりかえすだと、ずっと悲しみが続くだけらしいぞ(P.122)
    ガンダムSEEDのアスラン・ザラのネタ。作中ではこのセリフで相手を非難し、反撃や抵抗は悪いことと説いていった。
  • 身体は大人、心は子供!(P.137)
    名探偵コナンのキャッチコピーをひっくり返したネタ。
  • わたしは昴くんの嫁候補の中でも最弱!(P.189)ギャグマンガ日和の劇中劇「ソードマスターヤマト」のネタ。このセリフからも「チート主人公のハーレム嫁選び超能力コメディー」という本作の本質が見てとれる。

総評

  • 『アトラ・シンドローム』の物語の骨子は割とよくできており、物語のトリック、ギミック自体に大きな破綻もない。意外にも(といったら失礼なのだが)ポイントだけを見れば面白い作品になっている。
    超能力病という正体不明の現象と小惑星の接近に実は大きな因果関係があり、物語序盤では単に「便利だから」という軽い認識で扱っていた超能力が、終盤には世界を滅ぼしかねない重大な問題を抱えていることが明らかになるところは起承『転』結の大きな仕掛けとして機能している。
  • 同時にタイムリープの要素を盛り込み、超能力病の始まりが何であったのかを「小惑星の接近と超能力」と絡めた二重の仕掛けになっている点も特徴的。
    これによって一般的なクライシスものにサイエンス・フィクションの要素を加え、かなり大掛かりな、ある意味では「地球滅亡」よりもスケールの大きいギミックを展開している点も良い。
    • とはいえタイムリープの部分に少なくない不備が見られ、「物語の始まり」がなんであったかが語られてない点や古河夫妻の時系列に即していない情報を持っている点などは無視できないレベルで不自然さを生んでしまっている。
  • しかし、物語の根幹部分だけを抜き出してみると面白く見えるものの、その肉付けが「宇野ワールド」全開ですべて台無しにしてしまっている。
    まず話の展開に問題があり、物語の本質を掴むだけであれば本文の最初と最後の数ページを読むだけで充分事足りてしまう点。
    冒頭の1999年7月に小惑星が飛来したところから、2016年に昴が時間を飛び越えて飛来してきた小惑星アトラと小惑星ハシスをぶつけて世界の崩壊を回避した、という結末の前後に上述したほぼすべての情報が詰まっている。それ以外のページはひたすら主人公達が大騒ぎするだけの日常が描かれているだけ。
    超能力病が持つ側面が明かされていくこともなければ「能力波がない超能力者」に関して語られることもない。また「超能力病患者と社会の関わり」といった世界との関連性もほぼ語られていない。
    その結果、せっかくの「惑星衝突系クライシス」のじりじりと追い詰められていく危機感を目の当たりにすることもなければ「世界の敵」となった祀に対する人々の関心も描写されない。またタイムリープ要素も「実は○○でした」という最後の種明かしにしか用いられておらず、「未来に起きることを知っている」ことや「過去に起きた謎の現象に対する真実」に関しても全く生かされていない。
    これらの要素はこれは作者の伏線ごっこ伏線張りと回収を同時に行う悪癖の最たるものであり、その他の時間移動の要素や超能力病の原因などもすべてそこで行う宇野ドミノの集大成で終わってしまっている。
  • また、超能力ものとしては「最強の超能力病患者」である久喜祀が「やろうと思えば何でもできる」ため、それ以外の超能力者が穴埋めの「便利道具」になっている点も稚拙。
    主に登場するのはかすみの祀の超能力を隠蔽するための能力と、機初の現場に急行するための転移能力。あとは中盤以降存在自体忘れられた予知能力くらい。
    また、超能力に対するデメリットが小さすぎる点も挙げられるが、これは「便利すぎる能力」に対して「小惑星を呼び寄せている」という伏線になっているため、これ自体を問題とは言い難いが、「なぜか」という疑問に持つ場面があまりにも少なすぎるため、読者も「なぜこんなに便利な能力なのに無制限に使えるのだろう」という違和感を覚えるヒントとして機能していない点は残念。
    • 祀も機初も超能力病とその副作用に関しては疑問を持っているが、祀は「便利だし使えばいい」、機初も「祀が暴走したら止められないけど便利だし使おう」という楽天的な対応に終始している。また、全体の大半を占める日常の広がりのないハイテンショントークで読者側がそれに気づくのは不可能。
      この「当然予想されうる危機に対してなんの対策もせずとりあえず突き進んでしまう」のはPSO2でも全く変わっておらず、シオンという未来を知りうる万能の全知存在からして「起きてしまったこと」の対応に汲々としているところからもわかる。
    • 超能力バトルものではないので論じることはナンセンスかもしれないが、超能力の優劣を「けっきょくは純粋な力比べ。強い力に弱い力は押し流される(P.83)」と作中でも語られている通り、能力ごとの特徴を生かした「使い方」が提示されていない点も挙げられる。
      せっかく「現実ではありえない超能力」という要素を取り入れていながら「殴る力が強いほうが勝つ」という平面的な思考で終わってしまっているのはいかにも勿体ない。
      普通、力の押し合いになった場合に「力が強いほうが有利」「体重が重いほうが有利」といった現実では覆し得ない要素を覆しうるから面白い、あるいは超能力である意味があるのに、そうした三次元的な思考を要しないのであればただの現実の延長であり、様々な超能力である必要がなくなってしまう。
  • 時間移動に関してもやはり1行で「開闢にも等しい云々……」という意味不明な理屈で一気にオチをつけようとしているが、これも非常に残念。
    タイムリープの骨子である「古河釣鐘が1999年に飛来した小惑星アトラを2016年に飛ばし、古河昴がそれを受け取って未来を救う」という大掛かりなギミックが解説されていない。
    古河釣鐘が1999年の時点で小惑星アトラを破壊しなかったのは2016年に飛来する小惑星をひみつから聞いていいたためで、1999年の時点で古河釣鐘が命と引換えにすれば破壊できるが、それでは2016年の小惑星が破壊できずそこで世界が終わってしまう。これを回避するためにわざと破壊せずに2016年に飛ばし、そこで息子である古河昴が超能力に目覚めて自身の意志(遺志)を継ぐ……というドラマチックなもののはずである。
    しかし物語の始まりである「2016年に久喜祀の暴走を止められなかった世界線」に関しての情報が極めて少なく、また古河ひみつの情報に不自然な点があり、物語の根幹ともいうべき重要な要素をかなりの憶測で補わなければ整合性が取れないという点はやはりギミックとして欠陥と言わざるを得ない。
  • それでも文章や構成が良ければ「読める」作品ではあると思われるが、200ページ近くが益体もない雑談に終始してしまっていることでなにもかもぶち壊し。
    もう少し物語をしっかりと組み立てることができていればもっと高い評価を得られてもおかしくはなかった。
    辛辣なもののいいかたをするのであれば、この「超能力と惑星」「時間移動と惑星」のギミックはよそから持ってきたもので、それを満足に再構成することができなかったために「ページの殆どが寒いトーク」「種明かしはご想像におまかせします(笑)」という見るも無残な残骸になってしまっているのではないだろうか。ギミックだけを見れば悪いものではなく、構成や展開次第では充分に良い作品にできたはず。PSO2の物語の整合性のなさや設定のブレ、要点の定まらない展開などを見ると、これだけのものを宇野氏自身が考えたものとは到底思えない。『伊月の戦争』同様、いい素材をどこからかパクってきたが出来上がった料理は腕の差が如実に現れた、といったところだろうか。

とにかく話があちこちに飛ぶ

  • 『アトラ・シンドローム』では文章の大半が会話で構成されている。
    登場人物同士のやりとりで人物像をえがき、キャラクターを身近なものと感じさせつつ理解させ、クライマックスでの祀の気持ちや昴の決意へとつながっていく手法。
    その濃厚で表現力豊かな描写を中心にしているため感情移入はしやすいものの、一方で必要な情報が偏りすぎる傾向がある。
  • これはテレビゲームのイベントを時系列順に置いているだけで、それぞれのつなぎができていないことが原因。ゲームであればイベントからイベントまでの間は「ゲームプレイ」によって埋めることができ、プレイヤーそれぞれに依存するかたちで補うことができるからだ。しかし、小説ではそうした手法ではかなりの部分を読者に依存することになり、作品としては場面があちこちに飛ぶ印象を受けてしまう。
    これはちょっとした移動シーンや時間経過にまで場面転換を挟まなければならない作風からしてもわかる。何しろリビングから祀を送っていくだけの、たった3行でも場面を飛ばさないと描写できないのだ。
    • PSO2のイベントクロニクルでマターボードだけ見ているのと同じ。話が飛び飛びで最後に「実はこうでした」とやっている。

人物描写の引き出しの少なさ

  • 『アトラ・シンドローム』ではキャラクターに強くスポットを当てているため、かなり頻繁に会話シーンが登場する。
    しかしその大半はハイテンションで大騒ぎする「ドタバタギャルゲー」の内容に終始しており、人物像の掘り下げや理解につながるものとは言い難い。
    唐突にかすみの過去や内面描写などを行うなど、会話以外に関してはやや雑。「人」は会話だけではなく沈黙やしぐさでも描写することができるはず。
    もちろん言わなければ伝わらないという点や、明るい雰囲気づくりのためには会話は不可欠であるが、おおむね会話内容がダダ滑りでグダグダ、痛いメタトークかエロ妄想の連発という点を考慮すると、良策とはいいがたい。

構成が稚拙

  • 『アトラ・シンドローム』は、ちょっと変わった少年少女たちのドタバタな日常を描きつつ、後半訪れる大規模な脅威に対して選択を迫られるという大転換のある物語である。
    後半の「選択」のために前半の日常でどれだけの情報を積み重ねられるかというのが非常に重要なところだが、上記の通り基本的にエロ妄想とワンパターンな寒いトークに終始しており、それが本文265ページ中180ページくらい続く。
    一方、クライマックスである小惑星ハシスの接近、祀と昴の想い、決意、すべての決着を残り80ページで行うとなれば無理が生じて当然。
    読者も前半の延々と続く会話で疲れ切ってしまい、最後の盛り上がりまでに本を閉じるかついていけないかのどちらかが大多数を占めると思われる。

無意味な登場人物

  • 上記の那珂湊に加え、二課の人員(P.203)なども登場しているが、これらは他のキャラクターと異なりなにがしかの描写をされていることから「一般通行人以上」の何かしらの役割があると思われる。
    前者は名前やセリフがあり、後者は容姿にも触れられているが特に物語にかかわってくることはない。文字稼ぎにしては露骨。

その他


アトラ・シンドローム

「アトラ・シンドローム」は実在する病気であり、現実のアトラ・シンドロームは超能力病ではない
急性前骨髄球性白血病(APL)の治療薬である「全トランス型レチノイン酸-All Trans Retinoic Acid」の略称がATRAとなる。
ATRAの副作用によるレチノイン酸症候群を指して、ATRA症候群、すなわちアトラ・シンドロームと呼称される。

+ 参考1
2.治療薬の全トランス型レチノイン酸(ATRA)と分化誘導療法

全トランス型レチノイン酸(ATRA、ベサノイド(R))は、ビタミンAの活性型代謝産物で、のみ薬です。
レチノイン酸には構造上cis型とtrans型があります。1980年代から、レチノイン酸には、骨髄性白血病の
幼弱な細胞を芽球レベルから好中球へと分化・成熟させる作用があることが、実験室レベルですがわかっていました。
1987年、急性前骨髄球性白血病(APL)の患者さんの24例中23例で、活性型ビタミンA代謝物(ATRA)を
のむことによって完全寛解にすることができたと報告し、中国・上海のWang博士が脚光を浴びました。
そして2000年には、APLの白血病細胞ではレチノインレセプターαに異常があり、そのため白血病になること、
また、高用量のレチノイン酸がそこに作用することによって、治療効果をもたらすことが判明しました。
こうしてATRAによる分化誘導療法は、最近多く用いられている分子標的治療にほかならないことがわかりました。


APLは、ATRA導入以前は播種性血管内凝固症候群DIC等の合併により、寛解導入時のリスクが高い白血病でした。
その後、ATRAによる分化誘導療法により、DICのコントロールが容易になりました。ATRAと化学療法の併用により、
現在ではAMLの病型の中で最も治癒率の高い白血病といえ、寛解率は90%以上、長期生存率も70~80%に達しています。
ATRA単独でも高率な寛解が得られますが、再発が多く、最後に残ったわずかな白血病細胞を除去してとどめを刺すためにも、
化学療法の併用は必須です。同時に、ATRA療法時に特有のレチノイン酸症候群(APLのATRA療法中に発熱、呼吸困難等で
発症する副作用で、胸部X線写真では間質性肺炎様の像が見られます)は致命的な合併症であることが明らかにされました。
寛解導入中の白血球増多時は化学療法の併用などにより、その合併症の減少が図られるようになりました。
http://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/topics/ATRA.html
レイアウトのため文章を一部改変(改行を付加)しています。
+ 参考2
ATRA Syndrome

All trans retinoic acid (ATRA) is used in the treatment of acute promyelocytic leukaemia (APML).
APML is now defined in the WHO subtype by the presence of the t(15;17) translocation
(or variants thereof) leading to production of an abnormal fusion protein PML/RAR-alpha.
This protein inhibits differentiation of the myeloid progenitor beyond the promyelocytic stage.
ATRA induces differentiation of the leukaemic promyelocytic clone by binding to the abnormal
fusion protein releasing the differentiation block.

ATRA syndrome (or differentiation syndrome) occurs in between 6% - 26% of patients
treated with ATRA (worse when ATRA is used as monotherapy).
The pathophysiology is poorly understood but the clinical features are of a "cytokine storm"
and multiple pathways are probably involved.
https://www.starship.org.nz/for-health-professionals/national-guidelines-paediatric-oncology-and-haematology/a/atra-syndrome/
レイアウトのため文章を一部改変(改行を付加)しています。
参考3:http://www.medicmedia.com/informa/byomie/20090105.html
APLとATRAの関係についてわかりやすい。

アトラという単語にそもそも超能力という意味がないため、アトラ=超能力、超能力症=アトラ・シンドローム、という宇野氏の造語だと思われる。
また、作中では超能力症の定義について何一つ語られておらず、超能力者の総称としてしか使われていない。
しかし残念ながらコ・レラと同じくアトラ・シンドロームは実在する
アトラ、という名称自体はなんの問題もない。ただ、それを実在のアトラ・シンドロームと同じ名称にする必要が、同じ病気というカテゴリに設定する必要があったのだろうか。
今度は白血病(の治療薬の副作用)、コ・レラから進歩が見られない不謹慎なネーミングである。意図しているのだろうか?
宇野氏の「もともとあるものを自分の解釈で汚染していく」という悪癖(というかまさに「病気」)は現実世界をも侵食しつつある。

あとがき

  • あとがきの冒頭で「おはようございます」と読者に挨拶。「『相手方の状況はわからないものだから、挨拶は「おはようございます」にしておくといいよ』と教わった」そうだ。
    • 手紙やメール、著書など相手に依存する挨拶の場合、一般的には時刻に絡む挨拶を避ける。朝に目にするだろうことを見越して「おはようございます」と置手紙をしておいたり、ある程度予測がつく場合はその限りではない。
      あとがきなどの遊びが許される場合であれば「今締め切り前の朝5時です」といった自虐ネタに転用したり、「おはようございます、こんにちは、こんばんわ」と朝昼晩を網羅するなど様々な形がある。その時々に合わせて使い分けるもので、日本語的・作法的にこうしろというルールは無いと思われる。
      • この「状況が分からないので『おはよう』にせよ」という指導自体も謎。芸能界で挨拶がおはように統一されている、というあたりからの勘違いかと思われる。
        おかしな指導を鵜呑みにせず、書棚から何冊か引っ張り出して参考にすればよかったのではないか。
    • 宇野氏はこの教えを受けて、夕方にあった先輩に「おはようございます」と挨拶をしたところ「どこが朝だよ」と怒られたそうだ。しかし前述のとおり「相手方の状況はわからないものだから」と断っているにも関わらず、「夕方」という時間を共有して相手方の状況がわかっているのに「おはようございますと挨拶したら怒られた!話が違う!」とやっている。
      この数行で自分で提示した前提を無視して腹を立てているというのはジョークにしても不出来。きょうび小学生でもやらないような屁理屈である。よほどこれが腹に据えかねたのか、締めでももう1度やっている。こんなことにつき合わされた先輩こそ理不尽な思いをしただろうに。
    • 自分から前提を満たさずに曲解したあげく「世の中はけっこう理不尽で、適当で、デタラメなんだなぁ、と思いました」と当てこすり。そんなライターが書く物語はきっと整合性のある、理路整然とした、設定のブレもない物語なのだろう。
  • アトラ・シンドロームはそうした「理不尽で適当なもの」として超能力を挙げ、「自分が超能力を得たらどうなるかわからないのでそれを物語にした」そうだ。
    • 別に意図しなくても「そのような物語」に仕上がっているので安心してほしい。


売れ行き

914 名無しオンライン[sage] 投稿日:2014/05/29(木) 11:35:34.07 ID:4NlKTDWv
SD文庫スレから甜菜

POS週間 5/19-5/25
30位7950/50位6150/100位3500/200位2050/300位1400/400位1100/500位950
(先週30位8200/50位5750/100位3200/200位1850/300位1300/400位1050/500位900)
284 クライシス・ギア
382 All you need is kill

POSデイリー
23d 24d 25d 26d
090 105 281 262 クライシス・ギア
272 366 (---) (---) 諸刃のヴェセル
330 (---) (---) (---) Brave Blaze Breaker
426 (---) (---) (---) アトラ・シンドロ-ム
354 332 452 358 All you need is kill

だめだこりゃ
※wikiのテキスト整形上の理由により、--- を (---) に置き換えて記述しています

上記はPOS設置店舗でのライトノベルを含む文庫本すべてを対象としたランキング。参考:5/23デイリーTOP500
アトラ・シンドロームは23日の売り上げ順位が426位(TOP500)で、(---)はTOP500に入らない。
つまり24日からランク外で、同日発売のSD文庫作品4冊中では最下位。
本の売り上げ数は週間TOP500までしか載らないため集計不能であるが、週間500位が950冊なので最大でも初動950未満となる。

コメント

  • 試し読み見てきたけど、ツッコミ所かなりあるから、まとめるなら別に涼野遊平wikiでも作ったほうが・・・ここ本来の趣旨であるPSO2のシナリオに~ってのを塗りつぶしかねない気がする - 名無しさん 2014-05-23 11:22:08
    • 他所に作ってPSO2に似たキャラが~ってやる方が余計面倒。恐らく宇野スレ住民くらいしか注目してない作品のwiki建てた所で宇野かSDが喜ぶだけよ。試し読みの時点でかなり突っ込めるから、そこだけまとめてみればいいんじゃね?試し読みでこうなのだから続きもこうなのだろう、で締められそうだし。 - 名無しさん 2014-05-23 15:47:30
      • いやいや、「続きもこうなのだろう」って憶測で書くのはいかんよ、どんな理由があろうとね。試し読みにしても序盤も序盤で切れてるから、内容面に踏み込んだ事は書かず、あくまで文章的な突っ込みに終始しておくのが無難。 - 名無しさん 2014-05-24 02:25:10
      • ああ、勿論ちゃんと本を買って内容を精査した上で突っ込むなら、ストーリー的にもバッサリやっていいと思うよ。大なり小なり変な展開があるのは間違いないだろうしw - 名無しさん 2014-05-24 02:27:16
  • その「ふと」が誤用かどうかは判断難しいねえ。カーテンの音という外的要因があるから「ふと」は誤用だとすることもできるし、カーテンの音があって、だがしかし、その由来を確かめようと思ったとか、誰か・何かが来たのだろうかと考えたとか、そういう意識的な動機なしに(≒不意に)そちらを向いたのか。 - 名無しさん 2014-05-27 23:16:26
    • 「ふと」は間に挟む言葉として使いやすいだけに、慣用的な、というか文脈次第で恣意的に意味を変えられる単語ではないだろうか チャットの話題転換などで「ふと考えた・思ったんだが」という言い回しをたまに聞くが、このとき発言者はだいたいそれまでの話題に沿った内容のことを、あるいは連想したことを繋げることが多い 個人的には、『一人称小説なんだから口語表現における辞書からのブレは許容すべきではないか』と思うんだがねえ - 名無しさん 2014-05-27 23:22:57
    • >ぼうっとしている、気が抜けている状態ではない この訳語としてfaintを当てるとして、「フェイント状態」と読んだ読者の一体何人が「頭をなでられた何某がデンプシーロールしている」と解釈しちゃうだろうか。 - 名無しさん 2014-05-27 23:29:39
  • 1999年で宇宙の誕生から数百奥年とは…。背景放射の観測から140億年程度なんだが…。 - 名無しさん 2014-06-16 03:52:32
    • 現時点ではね。140億という具体的数字を出して、その根拠をいちいち作品に盛り込む必要はないんだから、さらっと流すのは正しい。司馬遼太郎作品じゃないんだから、ラノベにそんな衒いを入れてどうするんだーって思うねえ。 - 名無しさん 2014-06-16 10:21:58
    • 具体的数字を出せ、という突っ込みではないと思うのだけど。例えば「百数億年」とかだったら違和感ないでしょ? 曖昧な表現を使うにしても、こういう数字の多寡はある程度は事実に沿った規模にすべきだろう、っていう。細かいと言えば細かいミスだけど、宇野はこの手の「調べずに適当に書いちゃう」ってパターンが多すぎるからね。 - 名無しさん 2014-06-17 00:43:30
      • あれ、俺は概数数百億で実数140億でもとくに違和感ないんだけど。 - 名無しさん 2014-06-17 20:41:45
        • 数本の棒があるって描写で実は一本しかなかったら明らかにおかしいと思うが。 - 名無しさん 2014-08-03 19:48:00
          • 仰ることはその通りですが、今回は数百億年を140億年として自然か不自然かという話ですので、ぶっちゃけ桁が違いますよ。 - 名無しさん 2014-08-04 02:43:56
            • いやだから、数~という表現は数本や数十や数個を見れば分かる通りその直後の文字に掛かるんだよ。この場合百に掛かるんだから百というかたまりが少なくとも二つ以上ないとおかしい - 名無しさん 2014-08-04 16:01:17
              • 参考程度に。【yahoo!JAPAN知恵袋】言葉の質問です。十数回と数十回 意味はどう違いますか? ttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1347312808 - 名無しさん 2014-08-04 18:34:24
              • なるほど。では「>概数数百億で実数140億でもとくに違和感ない」という自分の認識がズレていたようですね。 - 名無しさん 2014-08-04 19:12:02
  • 地球に向かってる岩塊(地球に落ちてから“隕石”と呼ばれるが、この程度の誤用はまぁ普通)が一人の人間を標的にしてるってなんでわかるの? - 名無しさん 2014-06-19 13:25:01
    • ヒロインが特定の物質を引き寄せる超能力もちで隕石がその物質の塊であるなら可能 - 名無しさん 2016-08-04 02:30:44
  • スタン状態 - 名無しさん 2014-09-12 19:33:18
    • 途中送信してしまった。スタン状態に関しては、本当にその状態というわけではなく、単なる隠喩だと思うのですが。 - 名無しさん 2014-09-12 19:34:30
      • 「呆けて硬直していた」という意なのは前後の流れから読み取れるけど、それを「スタン状態」なんて表現するヤツがいるか、という話。喩えである以上完全に間違いとも言い切れないのは確かだけど、もうちょっとまともな表現があるだろうと。或いは無理して比喩なんざ使わず、単に「呆けていた」とでも書けばいいところなので。 - 名無しさん 2014-09-13 15:32:24
        • 少なくとも小説的表現ではないわな・・・まあ他のラノベでも大差ないレベルの文がわんさかあるのは確かだが - 名無しさん 2016-07-08 14:27:39
  • メーリングリストを通して届いたメールを指して「メーリス(メーリングリストの略)が届いた」という言い方をする人も実際にいるにはいる。まあこれは自分の周りでの話だし、そうでなくても小説の中でこういう書き方をするのはどうなのかという疑問はあるけど - 名無しさん 2014-10-03 15:36:48
  • 庁の名前が空白ってどういうセンスしてんだ。あと極秘はいらなくね? - 名無しさん 2015-03-22 19:31:03
    • ぶっちゃけ省庁にする意味もない。 - 名無しさん 2015-09-14 08:10:35
  • 小惑星の名前がアトラとハシスなら、ふつうに考えると古代バビロニアのアトラ・ハシースと関係あるのかとも思うが、実際どうなの? 無駄遣いしたくないから読んでないんだが。 - 名無しさん 2015-04-26 09:48:13
    • 突然「ハシスと名づけました!」って言われて「???」ってなったしどうだろうなぁ…とにかく書きたいと思われるシーン以外の描写が不足しすぎて何とも言えない - 名無しさん 2015-06-03 04:08:26
    • 命名法則なんてそんな大それたものじゃないことも少なくないし(娘の名前を付ける学者だっている)別にそこんとこはそんなに気にしなくてもいいんじゃないかな。ただ、アトラ・ハシースっていう元から取ってるのが明確なら「古代バビロニアの賢者にあやかって」とか一言あるだけでいいと思うんだよね。 - 名無しさん (2017-08-24 18:14:52)
  • あらすじを読んだだけでは、EP3-7と似た感じの印象を受けるね。あくまであらすじを見ただけだけど - 名無しさん 2015-10-19 20:43:21
  • ヒロインがウザくて序盤で読むのやめたわ… - 名無しさん 2015-10-20 10:52:35
  • 世界壊し→壊世(地域)でPSO2汚染してるね。 - 名無しさん (2017-08-22 21:30:49)
  • このwikiでネチネチやって5年目になりますが、ウノを降格させることができましたか・・・? - 名無しさん 2017-10-25 21:18:36
  • PSO2で「バル」シリーズ★13武器をジグにアップグレードしてもらうと手に入るのが★14「アトラ」武器。ちなみに必要な素材は「時還石クロノス」。なにやら刺激臭がする。「バル」って「昴」かい? - 名無しさん (2018-08-18 10:30:46)
    • やらかしてきた実績を鑑みたらまぁ否定はできないよね。ただ、そうした過去を切り離してみた場合、「アトラ」も「クロノス」も名称としてはおかしくはないかなと思う。アトラ・シンドロームの物語展開からしてほぼ間違いないんだろうけど。 - 名無しさん (2018-08-18 15:09:40)
  • メタ発言の項目、報復による負の連鎖なんてSEEDの遥か以前からある説教だし、〇〇の中で最弱がソードマスターヤマトのパロとか何のギャグだ?むしろヤマトが〇〇の中では最弱ネタをパロディしてる側なんだが? - 名無しさん (2019-08-18 05:48:34)
    • 報復による負の連鎖とか「やめろ!そんなことしても○○は喜びはしない!」的な説教は一杯あるけど、「らしいぞ」というのは昴の意見ではなく受け売りであることと、ここはそんなシーンじゃないのよ。ソードマスター云々は論拠持ってきて。 - 名無しさん (2019-08-18 09:23:31)
      • いや、だから一杯あるから別にガンダムSEEDだけを元ネタにしてる訳じゃないでしょ?ヤマト云々って、マジで奴は四天王の中で最も格下!がヤマト初出のネタだと思ってんの? - 名無しさん (2019-08-18 12:01:19)
        • 一応言っていくと、ストーリーの流れでキャラの発言の内容が妥当か否か?という話をしている訳では無いので、このキャラの発言の意図云々の反論は要らない。特に最弱ネタがパロディギャグである事は間違いない事実だし。ロボットの腕を飛ばして攻撃するのはガオガイガーのパクリだ!みたいな、元ネタ指摘するにもそれを持ってくんのはアホだろ、というのを指摘してる訳。あとはヤマトは四天王同士が本拠地で語り合うタイプであって、敵に対して宣言するタイプjないので、そもそも元ネタとして不適切 - 名無しさん (2019-08-18 12:15:51)
          • なんで話の流れでキャラの発言が妥当か否かの反論が不要なの?困るの?大前提として本編を読んでると考えて反論するけど、まずアトラ・シンドロームはそういうメタ発言で固めたオタクトークの作品じゃない。最弱ネタも、別に昴の嫁バトルランキング物語から出てきたわけじゃない。その前後が全く関係ないところから飛び出てくる「メタ」な発言、言い換えれば物語と無関係な「よそのネタ」なわけ。ガンパレード・マーチの石津萌も「前後の脈絡もない厨二トークを始める」キャラだけど、あれは裏の事情を知っていると「本当は世界の本質に気がついている」ことがわかるから、そうした不自然な発言をすることが逆にヒントになってるわけ。水礼の発言はそういうものじゃない。アトラ・シンドロームが全編通してそういうよそから持ってきたネタ満載の作品じゃあないから指摘してるわけ。 - 名無しさん (2019-08-19 18:03:21)
            • いや、だってアトラのストーリーの話してないもん。元ネタとして元祖ではなく、影響を受けた側の作品を挙げるのおかしくない?って話してるの。例えば、この作品以降に私は〇〇の中で最弱!というセリフのある作品があったとして、このセリフはアトラのパクリだ!って言ってる奴がいたら、アトラ以前からいくらでもあるだろアホかってなんない?・・・っていうかそもそも、これオタ発言であってメタ発言ではなくない? - 名無しさん (2019-08-19 22:33:22)
              • 自分で言ってるけど、この話自体アトラ・シンドロームと関係ないってわかってるじゃん。だからこのネタ自体も「アトラ・シンドロームの物語と全く関係ない」んだ。原典が特定できなくたって別に良いんだよ。どこから持ってきたのを問題にしたいんじゃなくて「アトラ・シンドロームと関係のないネタトークをねじ込んでくること」自体が問題なんだって - 名無しさん (2019-08-20 04:39:08)
                • アグリアスはセイバーのパクリ、賢者の石はハガレンが元祖とか言ってる奴の批判とか真面目に聞く気になれるか?あの記述そのものが、このWIKIの信憑性そのものを損なってる。ハリポタでハグリッドが、生徒の安全を考えるならアズカバンにぶち込むのが妥当なのに、マルフォイやアンブリッジの適当な批判のせいでハグリッドが被害者に見えるだろ?それと同じ - 名無しさん (2019-08-20 15:30:08)
                  • 何が言いたいのか全くわからん…もう少し伝える努力しような。ハリポタ知らないんで申し訳ないのもあるんだが…。要するに「俺はわかってる!お前はわかってない!だから不適切!」というマウント取りたいだけでOK?この記述ではおかしいと思うのであれば「ただ俺が気に入らないからやめろ!」ではなく「こういう文章にしたらどうだろうか」という改善案を出してくれ。違う!これは違うよ!だけでは非生産的じゃないか? - 名無しさん (2019-09-16 19:12:34)
                  • 要するに「どこから出てきたのかが問題」じゃなくて「アトラシンドロームと全く関係ないメタトーク・オタトーク」を持ってきてるところが問題だ、っていってるわけよ。原典探しじゃないの。 - 名無しさん (2019-09-16 19:15:16)
        • っていうアスランじゃなくてカガリじゃなかったかこれ言ったの? - 名無しさん (2019-08-19 16:32:12)
          • 正しくはカガリのセリフに影響されて考え方を変えたアスランだと思う。カガリは1回しか使ってないが、アスランは事あるごとにこのセリフでシンやその他の反論を封じていったから。カガリのときはおかしくないと思う。 - 名無しさん (2019-08-19 17:55:29)
  • あと世界って言葉にも過剰反応しすぎ。世界中が熱狂した映画!という煽りに対して、は?俺はみてないし。つか紛争地帯の人とか映画見る余裕なんてないですよね?機械文明に触れない奥地の人たちも熱狂したの?世界中の人が見たんですよねそれ?みたいな大人げなさを感じる - 名無しさん (2019-08-18 06:00:58)
    • そりゃそうだ。だがwiki全体でもいわれてることだけど「宇野リオでは世界といいながら対象が狭すぎる」ことが問題なんだ。大山鳴動して鼠一匹な部分で、世界がー!世界がー!って言いながら実際は身内の話。町内会の範囲ですらない。宇野リッシュではたいていがこういう宣伝文句と実体がひどく乖離しているケースが非常に多い。煽るだけ煽って肩透かし。この点に関して大人の意見を聞きたい。 - 名無しさん (2019-08-18 09:20:14)
      • 世界が狭いと言う意見は別に異論は無いんだけど、世界といからには、あらゆる組織人種国家、全人類一人残らず敵になったんだろうな!と言わんばかりの過剰反応はどうなん?って話。 - 名無しさん (2019-08-18 11:54:33)
        • 申し訳ないが、どの部分から「あらゆる組織人種国家全人類一人残らず敵になったんだな!そうじゃないのはおかしい!」という記述があるのか教えて欲しい。確かにそこまでヒステリックな過剰反応はおかしいよな。どこ? - 名無しさん (2019-08-19 17:54:07)
          • この瞬間、彼女は世界の敵になったの項。事情を知らない者、殺害以外の解決を図る者が居たとしても、世界各国に殺害を真剣に検討している者が居れば世界中が敵と言っても過言ではないだろ。特に一般人の理解を得られるかとか、単純明快な勧善懲悪で全人類の敵と断言されるような奴でも、一般人がそれを知らないのは割とある事だし、全人類って事件の関係者だけが人類なの?って突っ込みは普通しない - 名無しさん (2019-08-19 22:57:41)
            • 本編ちゃんと読んでるよね?まず祀を○○する以外の選択肢は提示されていない。古河ひみつが「なんとかしなくちゃいけないのはあっち(隕石)」と言っているように、誰もかれもが祀を○○する以外のプランを提示していない。そしてその結論は空白庁長官である機初から語られるだけで、「世界各国に○○を真剣に検討している者がいれば~」という指摘は全く当たらない。「それ以外の方法を模索した(けどダメだった)」と一言で済ますだけで、迫りくるクライシスに対し、全世界は「少女一人に対してそれ以外の対応策のコストが大きすぎる、見捨てるしかない」という苦渋の決断があったとかそういう描写はない。そもそも惑星ハシスの軌道が地球に向かっていることを知っている人自体ほとんどいない。「全人類って事件の関係者だけが人類なの?ってツッコミは普通しない」というけれど、祀が隕石を引き寄せているという事件には作中で数名しか関わってない(空白庁関係者の一部は知っているはずだが多くはないはず。祀が拘束されたのは隕石を呼び寄せたからではなく、力場支配の能力が制御できなくなっていたから)明確にこの事件を認識しているのは昴、祀、ひみつ、水礼、かすみ、機初の6名。これを全世界とするのはあまりにもギャップが大きすぎるとは思わない?そして該当の項目を読んでも「世界といからには、あらゆる組織人種国家、全人類一人残らず敵になったんだろうな!と言わんばかりの過剰反応」には読み取れない。あと直接は関係ないけど、祀を「敵」として見ている人は作中0人。全員が「できることなら祀を助けたい」と考えている。事情を知る数名が「全世界」としたとしても、全世界の「敵」ではない。要するに「彼女は世界の敵になった」自体が内容に即してない。 - 名無しさん (2019-08-20 01:46:51)
            • 「祀が故意ではないにせよ隕石を引き寄せている」「その隕石が衝突すると地球規模の被害が出る」この前提がありながら「祀の周辺人物以外の人間はそれを知らない」っていう一点で世界の敵という表現を大げさだとするのはいくらなんでも無茶じゃね? - 名無しさん (2019-11-21 20:21:29)
              • 間違いなく世界の「危機」ではあるんだが、世界の「敵」というのはセンセーショナルな表現という意味で「大げさ」ではないか。本文の上の方にもあるけど、そもそも祀は世界を敵視していないし、世界も祀を敵として見ていない。言うなれば災害のようなものであって、それを「敵」とするのは拡大解釈だと思うのだけど。そこんとこの見解をお願いしたい。 - 名無しさん (2019-11-22 04:41:48)
最終更新:2019年11月11日 09:49