○品詞
名詞、形容詞、副詞、動詞、動形容詞、動副詞、計6種類の品詞があります。名詞は文が表す動作に関わる人、モノ、概念を表し、形容詞は名詞を、副詞は形容詞を修飾する役割を持ちます。動詞は動作や変化を表し、文の中核となる品詞で、動形容詞は動詞を、動副詞は動形容詞を修飾する役割を持ちます。他言語の接続詞が持つ役割は動形容詞によって、感動詞が持つ役割は名詞と動形容詞によって代行されます。
○語順
ピース語の基本語順はSOV:NA:NG:Pr(主語→目的語→述語、名詞→形容詞、名詞→属格句、前置詞使用)です。普通の散文ではこの順番で単語を並べることが多いですが、文法的な都合による語順の縛りはほとんど無いので、同じ段落に属している単語なら何をどこに置いても文法上は問題ありません(読む人にとって読みやすいかは別です)。詩歌を作るときは韻律(アクセントの位置とか)を優先するため、関連し合う単語をかなり離して配置することもあります。
○初音(語根第1音節母音)の交替
単語の語根(一切の助詞、語尾を除いた、単語の基礎となる部分)の第1音節を構成する母音を、ピース語では初音(しょおん)と呼びます。初音はその単語の被修飾語があらかじめ持つ初音に応じて「a」、「i」、「u」、「e」、「o」のいずれかの音に交替します。
初音は単語間の修飾関係に応じて様々に変化し、結果として単語の識別に役立たないため、特定の条件下(合成語の一部となった場合など)で脱落することがあります。
○名詞の原形語尾
名詞の格変化には6種類の体系があり、全ての名詞がいずれかの体系に属しています。どの名詞がどの体系に属しているかは、名詞に連結された原形語尾によって表されます。原形語尾はその名の通り接尾辞の形態を取り、必ず単語の最後尾に連結されます。
ņaçoņ-aニャチョーニャ(任侠団体)
zegsaņup-iゼクサニューピ(ブースタ) Savét-øサヴェト(ソビエト)
赤字で示された部分が原形語尾となります(ハイフンは便宜上付けられたもので、実際の文中には現れません)。名詞が格変化を行うと原形語尾は消滅し、代わりに格語尾が現れます。
○単語の原形
名詞を除く全ての単語は、格語尾もしくは人称語尾を切り離し、特定の助詞(原形品詞転換辞)を連結させることで、その動作や状態などを表す名詞へと品詞転換します。このときに連結される助詞は単語ごとに異なり、その品詞に応じて個別に選択されます。選択される助詞の種類は、各品詞ごとに6種類存在します。これらの助詞が連結された形態を「単語の原形」と呼び、単語の最も基本的な姿として扱います。
eèst-oエースト(愛される)→eèst-eňエーステン(愛されること)
名詞の場合は、原形語尾を連結させた形態(つまり、本来の語形)を「原形」として扱うため、助詞(品詞転換辞)の接続を必要としません。
○隠し語尾
全ての単語は、原形語尾もしくは原形品詞転換辞に加えて隠し語尾を持ちます。隠し語尾は、名詞の原形語尾と同じ形状を取り、単語が品詞転換辞によって名詞に品詞転換したときに発現します。
ļozveţ-eň-aリョズヴェーツェン(計算する…原形品詞転換辞-eň、隠し語尾-a)+具格分詞化品詞転換辞^po-(~に使う道具)=po-ļozveţ-aポリョズヴェーツァ(計算機、コンピュータ)
発現した隠し語尾は、名詞の原形語尾と同じく、その名詞が属する格変化の体系を示します。
○性
ピース語の単語は文法上の性を持ちます。性は男性、女性、中性、乱性(中性第2)、楽性(特殊単語)の5種類で、単語ごとに異なった性が与えられています。この区分は形式的なものでその単語が表す人、動物などの実際の性別とは無関係ですが、男性や雄の生物などを表す固有名詞は必ず男性として、女性や雌の生物などを表す固有名詞は必ず女性として、音楽、音声学に関係する単語は楽性として扱われます。
性は単語を表す指示語(代名詞など)を限定する役割を持ち、単語の性に従って異なる指示語が使用されます。
○色
ピース語の単語には「色」と呼ばれる文法区分が存在します。色は性と同じく単語ごとに設定されていて、赤、緑、青、黄色、黒、白の6種類が存在します。色の区分は形式的なもので、その単語が表す人、モノ、動作などとは原則として無関係ですが、ごく稀にその単語が連想させる色彩に近い色が文法的に設定される場合があります(例:heģgufeŭa共産主義→赤色名詞)。
単語の色は、その単語の修飾語の語形に影響を与え、修飾・被修飾の結び付きを強固なものとします。
この6種類の色は、ゲームフリーク社のゲームソフト「ポケットモンスター」シリーズ初代と5代目の作品群が冠する色彩に由来します。
○じゃんけん
ピース語の単語には「じゃんけんの手」と呼ばれる文法区分が存在しました。じゃんけんの手は性や色と同じく単語ごとに設定されていて、グー、チョキ、パーの3種類がありました。製作者が「スマイルプリキュア!」のキュアピースの変身バンクを見ていたときに思い付きで採用し、合成語を作る際の単語の連結方法を決めるためなどにしばらく使われましたが、使い勝手が悪かったので廃止されました。改定前の単語に未だ残っていますが、現在の文法においては機能していません。
○文の配置
文の並べ方も語順同様、同一段落中であれば制約はありませんが、説明的な文(補助的、従属的な文)は前方に、結論を述べる文(段落の主体をなす文)は後方に置かれることが一般的です(ピース語には主文、従属文の区別は存在しません)。段落を構成する文の数が少ない場合、この順番が逆転することがあります。
この解説では便宜上、前者を先行文、後者を後行文と表記します。実際に現れる文の順序と一致しない場合もありますが、ご了承ください。
○修飾関係
文中に現れる単語は文法上の関連を持つ別の単語の支配を受け、その要求に応じて語形を変化させます。単語の語形を見定めることで、どの語がどの語の支配を受けているか推察することができます。
・動詞は、文中に現れる全ての名詞を支配します。
・動詞は、文中に現れる全ての動形容詞を支配します。
・動形容詞は、文中に現れる全ての動副詞を支配します。
・名詞は、自身を形容する全ての形容詞を支配します。
・形容詞は、自身を形容する全ての副詞を支配します。
・動詞は、後行文の動詞を支配します。
他の語の支配を受けた単語は、支配者の本来の初音に合わせて自身の初音を交代させます。
Caligulaカリグーラ(カリグラ)→Ciligulaキリグーラ、Culigulaクリグーラ、Celigulaケリグーラ、Coligulaコリグーラ
他の語の支配を受けた単語は、支配者の色に合わせて自身に連結する格語尾もしくは人称語尾を変化させます(これらの語尾は、支配者が持ち得る6種類の色に応じて別々のものが用意されています)。
○単語の語幹
単語は子音語幹のものと母音語幹のものに分かれます。子音語幹の単語と母音語幹の単語は、同じ助詞や語尾をそれぞれ異なった形状で連結させる(=助詞の形状に子音語幹用と母音語幹用の2種類が存在する)ことがあります。
joţapt-eňジョツァプテン(切り刻まれる…子音語幹)、paļa-ļaパリャーリャ(降る…母音語幹)
単語の後方に連結される一部の助詞は、その最後尾の形状によって単語そのものの語幹を変質させる(子音語幹が母音語幹に、もしくはその反対になる)ことがあります。
最終更新:2014年06月07日 19:09