国家戦略会議

エネ政策見直しに3会議 国家戦略会議統括へ
2011年10月10日 朝刊

脱原発依存を柱とする中長期的なエネルギー政策の見直しを検討する会議が政府内に三つあり、統率を欠いているとの批判を受けて野田佳彦首相は九日、近く発足させる首相直属の「国家戦略会議」で統括し、最終的な結論をまとめる方針を固めた。政府内の混乱を避けるため、首相自ら指導力を発揮するべきだと判断した。(城島建治)

 国家戦略会議は経済や財政など国の重要課題に関し、省庁の枠を超えて方針を打ち出すのが狙い。メンバーは閣僚や経済界など各界の代表で、今月中に発足する予定。首相は所信表明演説で「国家として重要な政策を統括する司令塔にする」と位置付けた。

 首相としては、重要課題を取り扱う国家戦略会議の議題に据えることで、エネルギー政策見直しに取り組む姿勢を内外にアピールしたい意向だ。

 エネルギー政策の見直しは東京電力福島第一原発の事故後、経済産業相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」と内閣府の「原子力委員会」、菅直人前首相が「減原発」を進めるために設置した関係閣僚による「エネルギー・環境会議」で進められている。

 各会議では、急速な原発依存度の引き下げに対する反対意見が出るなど、対立も見られる。それぞれの会議が個別に見直し案をまとめた場合、方向性がバラバラになる可能性が指摘されていた。

 また、三会議のうち経産省と内閣府の会議はこれまで原発の推進役を担ってきた。首相周辺は「両会議が単独で見直し案をまとめても、国民の信頼は得にくい」と指摘する。

 このため、首相は今月三日、三会議のうちエネルギー・環境会議に主導権を持たせ、経産省と内閣府の会議の意見を集約するように指示した。さらに、エネルギー・環境会議がまとめた意見を踏まえて国家戦略会議で議論し、最終的な政府の政策として決定することにした。

 ただ、政府内には、国家戦略会議が強い指導力を示せるのか、不安視する声もある。

 同会議は政策課題ごとに分科会を設置し、国の基本方針を策定する。しかし、スタッフは約五十人。エネルギー政策の見直しだけでなく、多くの課題も抱える中で、他の会議の意見を十分に点検し、独自の対応をできるのか、疑問が残る。政府関係者は「数ある会議の屋上屋になりかねない」と指摘する。

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最終更新:2012年12月11日 22:22