童話『背の高い男』 「…飴をあげようか?」 背の高い男がそこには立っていた。 「ううん、いらない」 男の子はそう答えた。 母親から知らない人に何かを貰ってはダメと言われていたからである。 「…そうかい」 背の高い男は寂し気にその公園をあとにした。 男の子は少し気になっていたが、そんな事すぐに忘れて遊びの続きを始めた。 夕暮れ、母親が公園に男の子を迎えにいく、 片手には男の子の好きなハンバーグの材料を買ったスーパーの袋を持って。 公園には男の子は見当たらない、何処を探しても見つからない。 誰に聞いても皆、首を傾げるだけ、 その後、男の子が帰って来ることはなかった…。 それでも、男の子はまだ公園にいる…。