「このような荒廃した地で何をされておられるのですか?」 『何って……… ふふっ……』 『ええ…… 視ての通り……』 『……舞っております』
夜露に映えし霞の城 足を運びし者こそ途絶え、幾星霜 一夜の宿をと敗衄の兵 憂懼に怯え慄くも上へ上へと昇り奉らん 天守閣にて婉艶に舞いし姫君達 奇幻・不可思議・惑いと、思ふ事ありが誘うその手こそ抗えぬ 盃は甘美に狂わせ、 香は真那架と聞きし、 伽は誠、夢現…… 明朝、酸鼻に兵は骸と成り果て、その身には苔こそ宿らん 古き化生か、妖か、はたまた人か堕神か? 夜露に映えし霞の城 足を運びし者こそ途絶え、幾星霜