3日目の朝、

いつものようにトイレに行くと何と昨日までの赤いおしっこが普通の透明な尿になっていたのです。「もう治ったんだ。」と私は思い、今までのことなど気にする事無く仲間と遊んだり、走り回ったりしていました。もちろん学校にも毎日休まず行きました。
赤いおしっこのことなど何時しか忘れ中学に入学しました。中学でも走り回って遊びました。
体育の時間になり、逆上がりをする練習をしていた時のことでした。
鉄棒の下に頭が来たとき、ふと空を見上げたら雲と雲の間を「すーっ」と白い物体が横切りました。私はとっさに「UFO」だ。と思いました。隣にいた柔道部のクラスメートに「今、UFOみだいな、何が見ないけが」と聞いてみました。すると彼も「見た゛、何だがわがんねげど楕円形の白いもの見だ」と言うのです。私とその友人はもう一度一緒に空を見上げました。
偶然というかまた「白い楕円形をした物体」がゆっくりと雲と雲の狭間を横切っていきました。明らかに飛行機やヘリコプターではありません。当時飛行機はプロペラ機が主流でしたので飛行機では無いと確信、やはり「UFO」だ。と隣の友人に声を掛けようと振り向くと、彼は仲間と一緒に遊んでいました。私は、「やっぱりまた見た。」「お前も見だべ。」と聞くと、彼は何故か、「俺、見なかったな。」と返事をするだけでした。

私はその後も、幾度か同じような飛行物体を見ています。ただ、TVでやっているような誘拐されたり、というようなことはありません。
中学生になってからも、1度血尿になりました。しかし、2〜3日で元に戻るので誰にもこのことは言いませんでした。
高校に進学して血尿が出ることもなくなり、私はクラスメートとモトクロスなどをして青春を謳歌しました。山形の誰も登ったことのない丸太をつかって階段を作った細い山道をバイクで頂上を制覇。トライヤルなどにも挑戦、1度だけ月山の中腹から下の河原まで転落しそうになりましたが、運良く崖の途中に生えていた松の木にバイクが引っかかり九死に一生を得たこともありました。その後、オートバイ仲間も出来て、最上川の堤防をモトクロス場に見たて、登ったり下ったりジャンプをしたりし、2人の友人と楽しんでいたある日曜日の事、堤防に寝そべっていた複数のチンピラ風の男達に取り囲まれ、「お前ら誰の許しを貰ってここでバイクを乘っているんだ」と言いがかりをつけてきました。その後、私と友人は複数のチンピラたちに殴られたり、蹴られたりしましたが謝りもせず手出しもしない私たち2人を見て、チンピラたちは「ばかばかしい」と言って何処かに行ってしまいました。

翌日、また血尿が出てしまいました。「昨日蹴られたのが原因だと」そう思いました。
今回は、今までとは少し違っていました。2.3日で元に戻ると思っていたのですが、そうではなく、左脇腹が激しく痛みだしたのです。学校を休みました。
痛みが更に激しくなってきたのを母親が心配し、町内の県立病院に父の同級生が泌尿器科の医者をしているから診てもらうことになりました。結果は緊急入院となりました。原因不明の左腎性血尿と診断され、左側の尿管に血の凝血の固まりが詰まっているため痛みがある。ということで入院し点滴を受け続けました。入院3日目に煮こごりのような固まりが尿と一緒に出てきて、痛みも治まり血尿も元に戻りました。それでも念のため1ヶ月様子をみるため入院させられました。医者は父の同級生ということもあり、「俊夫君(父)の息子なら、これからも何かあったら相談に乗るから、ここに連絡をください。」と新しい名刺を渡してくれ親身になって話しかけてくれました。医者によると、「原因は分からないが何かの衝撃で左側腎臓の血管が破れやすくなっているために起こる。完全に治るのは、大人の身体になり堅固な状態になって血尿が出なければ大丈夫でしょう。」という結論でした。私には原因が分かっているので意味が理解できました。大人になれば治る。そう確信しました。

入院していた同じ病室に、山形の平清水焼きの窯元「丹羽龍之介」先生がおられました。先生は私の隣のベッドでした。先生の方が早く退院したのですが、私は退院記念に先生が作った「平清水焼き(梨青磁)」という茶碗と色紙をいただきました。色紙は病室で「風雪も育ての親か、梅の花。」
と独特な書体で書いてくださったものです。私はありがたいと思う気持ちより先に、その文字の独特で大胆な印象に圧倒され、梨青磁のもつ質感に感動してしまいました。

それからは、図案家という職業がある事を知り、そういう職業に就きたいと強く思う様になったのです。






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最終更新:2013年02月03日 00:08